電動化の流れが今後さらに加速しそうな趨勢になっている。政府は2030年までに100%ガソリン車廃止を打ち出している。地球温暖化防止策は急務になっているので、基本的にはこの方策はやむを得ない面がある。
しかしながら、実際問題としてすべての車種というわけにはいかないだろう。100%ガソリン車はディーゼル車を含めた内燃機関全般を指していると理解できる。ガソリン車であれば、ネックになるのは軽自動車の軽量なハッチバックモデル、トラック、バンなどの貨物車は対応が難しい。ハイブリッドだとモーターアシスト方式のマイルドハイブリッドでも20万円以上のコストアップになる。
農村、山岳、過疎地だと軽自動車は欠かせない足替わりで、山間部の狭い未舗装路では軽自動車の4WD車が必須になっている。ハイブリッド車や電気自動車では高価過ぎて、主なオーナーの高齢者にとっては買い替えるのが難しい。かといって手放せば生活ができなくなるので、中古車をいつまでも乗り続けなければならなくなる。
トラックを中心としたディーゼル車にとっても厳しい現実がある。クリーンディーゼルはターボとの組み合わせで対応しているが、電動化となるとまずハイブリッド化で対応するが、小型車や普通車クラスで50万円以上のコストアップとなる。
次のステップとしては電気自動車があるが、こうなると長距離の輸送で使う運送会社では使えない。1充電距離が限定され、相当なインフラ整備が必要になる。軽油だと5分程度の給油で済むが充電だと急速でも30分かかる。10トン以上の大型車ではさらに時間がかかるので業務に支障をきたすことになる。
(遠藤 徹)