【河村康彦 試乗チェック】アウディ・A4 アバント40TDI クワトロSライン 想像以上に軽快な加速

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随所に良さがにじみ出るディーゼル4WDワゴン

1994年に初代モデルが発表され、翌年からは日本にも導入がスタート。そんなお馴染みのA4は、数あるアウディのラインナップ中でも今も”基幹モデル”と紹介できる存在。2015年にローンチされた現行5代目は、2020年にドアパネルやインテリアのデザインにまで手を加える大幅なマイナーチェンジを敢行。その中からここに取り上げるのは、欧州のユーザーからすれば「えっ?これまで日本には無かったの!?」といわれること必須の、「シリーズ初のクリーンディーゼル・エンジン搭載」を謳う1台である。

アウディ車に詳しい人は、『アバント40TDI クワトロSライン』なる正式名称を耳にした段階で「高出力型のターボ付き直噴ディーゼル・エンジンを積んだ、特にスポーティな装いが特徴の4WDのステーションワゴン」と、ここまでの情報が読み取れるはず。ちなみに、いずれも7速DCTと組み合わされるディーゼル・ユニットは、こちら「40TDI」が190PS/400Nm、FWDシャシー用の「35TDI」が163PS/380Nmと、同じ2リッターながら出力に明確なヒエラルキーが与えられている。

シリーズ初のクリーンディーゼルユニット

予想よりも大きな車外での”ガラ音”に、いささかの危惧を抱きつつ走り始めると、車内での静粛性は全くの文句ナシ。パノラマサンルーフや標準比1インチ増しとなる19インチ・シューズなど、重量の嵩むオプションが装備されたこともあり、テスト車の重量は1.7トン超と決して軽量とはいえない状態である。

けれども、その加速感はスタートの瞬間から思わぬほど軽快!ターボブーストの高まりを待つまでもなくDCTが滑らかで素早いアップシフトを繰り返し、するすると車速を増していってくれるのが好印象。最高出力の発生ポイントは3800~4200rpmと高くなく、全力加速でも4500rpmに達せず自動アップシフトが繰り返されるが、回転フィーリングはすこぶる上質で「これは6気筒」といわれればそのまま信じてしまいそうだ。

やはりオプションの電子制御式ダンパーを装着していたこともあってか、乗り味がしなやかで上質だったのも特筆できるポイント。とにもかくにも「良いクルマ感」が随所ににじみ出た、「ディーゼルで4WDでステーションワゴン」なアウディ車であった。

(河村康彦)

〈車両本体価格:641万円〉

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