知っていますか? キャンピングカーが災害時にも役立つこと
レジャーやクルマ旅、車中泊を快適に過ごす、今や人気のツールであるキャンピングカー。その最大の魅力は、“動く家”とも言われるように、車室内に生活設備の備わった居住スペースがあり、就寝もできることだ。
このアドバンテージを活かして、最近ではコロナ禍におけるソーシャルディスタンスを前提にしたクルマ旅や観光にも活躍。そして近年、レジャー以外の用途で特に注目されつつあるのがキャンピングカーの防災力、災害時での活用だ。
そもそも「キャンピングカーは万が一の災害時にも心強い」と広く知られるようになったのは、2016年の熊本地震以降のこと。同震災では、避難の際の車中泊、それも普通乗用車での連泊により「エコノミー症候群」を発症する事例がニュースとして多く取り上げられていた。このエコノミー症候群は、窮屈な姿勢を続けることで血液が固まり、血栓ができることから引き起こすおそれがある症状だ。
一方で、“動く家”キャンピングカーを所有していた場合はどうだろうか。万が一の際、避難生活においても様々な面で強い味方となるだろうことは、容易に想像できるのではないだろうか。
避難生活でも強い味方となる3つの理由
キャンピングカーが避難時に有用なその理由のひとつは「プライベートスペースが確保できる」ことだ。
避難所生活では、このプライベートスペースの確保が難しいと言われているが、キャンピングカーを所有していれば、避難先の駐車場に停めた車室内を自宅の部屋のように使うことができる。給排水設備を備えたシンクでの簡単な自炊、サブバッテリー搭載による電化製品の使用、車種によっては簡易トイレやシャワーを完備しているなど、クルマ旅に最適な用途がそのまま、災害時にはプライベートを守る最強ツールとなる。また、現在のコロナ禍においては、蜜を避けた避難生活ができるのも利点のひとつだ。
2つ目の理由は「フルフラットのベッドで就寝できる」ことだ。
窮屈な姿勢を強いられることによる、先のエコノミー症候群の心配もなく、寝具にこだわった車種であれば、むしろ自宅のベッドよりも広く、寝心地がいい場合もある。
そして3つ目は「ペットと一緒に避難できる」ことだ。
万が一の災害時、自宅にペットを残して避難することや、ペットと一緒に避難場に入れないという問題を解消できるのも、ペット愛好家にはうれしいキャンピングカーの強みと言える。
行政と連携したキャンピングカーの災害派遣
実際に災害支援実績のあるキャンピングカーの大手ビルダー「ナッツRV」は今年4月、災害発生時におけるキャンピングカーの提供に関する協定書を、九州経済産業局及び九州産業保安監督部と締結するなど、行政と連携した取り組みも始まっている。
特に現在、コロナ禍における災害発生時には、被災者の「分散避難」のため数多くの宿泊施設が避難所として利用されることが見込まれ、職員の宿泊先確保に加え、移動手段となる車両の確保も困難になるおそれがある。その際、九州経済産業局からの要請で、ナッツRVはキャンピングカーを1日最大10台ほど災害派遣するという。
提供する車両は、同社の主力キャブコン(キャブコンバージョン)「クレソンジャーニー エボライト」。最大6人の就寝が可能なうえ、急速充電システム「エボライト」搭載モデルなので、電源確保の車両としても活躍が期待できる。
災害の多い日本だからこそ、こういった災害時におけるキャンピングカーを使った支援活動が広く認知され、今後も新たな活躍の場が広がることが期待される。