アウディ、EVロードスター「スカイスフィア・コンセプト」を発表

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独アウディは8月10日(現地時間)、新しいコンセプトモデルファミリーの第一弾となる「skysphere concept(以下Audi skysphere:アウディ スカイスフィア)」を発表した。

 

 

「Audi skysphere」は、「グランドツーリング」体験と「スポーツ」体験という、2つの全く異なる運転体験を提供できるように設計され、その実現のためにアダプティブホイールベースという新しいテクノロジーを採用。電気モーターとボディ/フレームコンポーネントが互いにスライドするという洗練されたメカニズムにより、ホイールベースおよび車両の全長を最大250mm変化させることが可能なのに加え、車高も10mmの範囲で調整され、快適性とドライビングダイナミクスを強化している。

ドライバーはボタンを押すだけで、好みの走行モードを自由に選択することができる。「スポーツ」モードを選択すると全長は4.94mとなり俊敏な走行が可能となり、自動運転を実現する「グランドツーリング(GT)」モードを選択すると全長5.19mに延長され最大のレッグルームが確保されるほか、このモードではステアリングホイールとペダル類が乗員から見えない位置に格納されることで広々としたスペースを確保する。また、センサーシステムで道路と交通状況を自動的に監視することにより、より安全な走行を可能としている。

インテリアデザインでは、ラグジュアリー、デジタル化、エコシステムを現代的に新しく解釈している。アウディ独自のサービスと統合されたデジタルサービスによって、乗員はソーシャルメディアを介して、クルマのインテリアや周囲の画像を送信して、走行体験を友人と共有することができるほか、自動運転機能を備えた同モデルでは、乗員の現在地情報を取得して、その場所まで迎えに行ったり、駐車や充電を無人で行うことが可能となっている。

【カリフォルニアの本拠地で発表された「Audi skysphere」】

「Audi skysphere」は、同コンセプトモデルがカリフォルニアで開発されたことから、米国カリフォルニア州モントレーとその周辺で開催される自動車関連イベント「モントレー カーウィーク」の一環として、8月13日にペブルビーチゴルフコースの伝説的なフェアウェイで公開された。同モデルは、歴史における伝説的なクラシックモデル「Horch 853 roadster(ホルヒ853ロードスター)」からインスピレーションを得ており、全長約5.20メートルの印象的なコンバーチブルモデルは、1930年代のモダン ラグジュアリーを定義しただけでなく、2009年にペブルビーチで開催されたクラシックカーのコンテスト「コンコース デレガンス」でも優勝している。「Audi skysphere」と「Horch 853 roadster」との視覚的な繋がりは、その寸法、コンパクトなキャビン、長いボンネットを備えたプロポーションに限定される。「Horch 853 roadster」には排気量5リッターの直列8気筒エンジンが搭載されていたが、「Audi skysphere」のフロントアクスルとフロントウィンドーの間には、充電器、DC/DCコンバーターといった電気駆動コンポーネントに加え、アダプティブホイールベース用のアクチュエーターとエレクトロニック/メカニカルコンポーネントが搭載されているほか、トランクルームには専用にデザインされた2つのゴルフバッグを積載することが可能となっている。

【最高出力465kWを発揮するドライブシステム】

リヤアクスルに搭載された電気モーターがホイールを駆動する役割を果たし、最高出力465kW、最大トルク750Nmを発生する。前後重量配分を約40:60に設定したことにより、リヤアクスルに十分なトラクションが生まれ、フル加速した場合、0~100km/hまでわずか4秒で到達することが可能。バッテリーモジュールは、主にキャビン後方に搭載されており、車両の重心を下げて敏捷性を高めるための理想的な配置となっている。さらに別のバッテリーモジュールが、ビークルダイナミクスを考慮してインテリアの運転席と助手席の間のセンタートンネル内に搭載。バッテリー容量は80kWh以上で(予測値)、経済的なGTモードで走行した場合、500kmを超える航続距離(WLTPモード)を実現する。

【最新世代のエアサスペンションを装備】

サスペンションは、フロントおよびリヤともにダブルウィッシュボーンを採用。アッパーおよびロワーウィッシュボーンは、鍛造または鋳造アルミニウム製で、ステアリングは、前輪および後輪の両方を制御するステアバイワイヤシステムを介して行われる。システムはフロントアクスルに機械的に接続されていないため、ドライバーはボタンにタッチするだけで、さまざまなステアリングレシオと設定を選択することができ、ステアリングを非常にダイレクトな設定から、快適性重視の設定まで、幅広く調整することが可能となっている。さらに、駐車時にはステアリング操舵力を変化させることもできる。

最新世代のエアサスペンションが装備され、3つの独立したエアチャンバーを制御することにより、優れた快適性を実現。アクティブサスペンションは、車両のハンドリング特性を変化させる際に主要な役割を果たし、コースティングする場合には個々のホイールを選択的に上下させることによって、路面の凹凸やうねりを補正する。また、空力デザインが採用された23インチの合金ホイールには、285/30タイヤが装着される。

【伝説的モデルHorch 853 convertibleからインスピレーションを得たエクステリア】

全長は5.19m(Horch 853 convertible:5.23m)、全幅は2.00m(同:1.85m)。顕著な違いは高さに表れており、「Horch 853 convertible」は、高くそびえる象徴的なデザインにより全高は1.77m(ボディ形状によって異なります)で、その子孫である自動運転の「Audi skysphere」は「スポーツ」モードを選択した場合、低い重心と優れたエアロダイナミクスを実現するために、全高は1.23mに設定される。

また、決定的な違いはラインに表れており、豊かなカーブを描き、大きく張り出したアウディならではのホイールアーチを備えた「Audi skysphere」は、幅広いトレッドを強調し、ダイナミックな走行性能を明確に表現している。サイドビューの特徴は、長いボンネットと、特にフロントにおける短いオーバーハングで、ホイールアーチとボンネットの表面は、有機的な曲面から構成されている。風洞実験室でテストが繰り返されたリヤエンドは、スピードスターとシューティングブレークのデザイン要素に、トラディショナルでスリムなデザインの大きなガラス面を組み合わせているほか、同モデルのためにデザインされた2個のバッグは、リヤウィンドー下のスペースに置くことが可能で、クロスパターンの専用ストラップで所定の位置に固定することが可能となっている。

ラジエーターグリルを持たないフロントエンドには、アウディブランドを象徴するシングルフレームと、発光3Dデザインのフォーリングスエンブレムが装着されており、シングルフレーム全体とその側面エリアには、ホワイトのLEDエレメントが配置され、視覚的な効果を演出する。サイドビューでは、リヤホイールアーチに突き刺さっているように見えるロッカーパネルが特徴となっている。ロッカーパネルは、車両のフロントエンドに固定されており、ホイールベースを変更すると、このパネルがドアの下で後方にスライドすることで、ホイールベースは25cmの範囲で変化する。

 

 

【デザインエレメント「sphere」を採用したインテリア】

今回のプロジェクトでは、将来合計3台のコンセプトモデル(Audi skysphere、Audi grandsphere、Audi urbansphere)が発表される予定となっている。アウディは、乗員を取り巻く空間を「sphere」(スフィア=球)と呼び、インテリアデザインの中心的エレメントとして採用している。3台のコンセプトモデルは、すべてレベル4の自動運転に対応しているため、ステアリングホイールやペダルなどのコントロールエレメントを、見えない位置に格納することが可能となっている。

操作類のないインテリアには、アールデコの世界からインスピレーションを得ており、デザイナー家具を連想させるシートを採用。サイドサポートと安全機能は、標準パッケージに含まれており、これらのシート地では、持続可能な方法で製造されたマイクロファイバーファブリックを採用している。またインテリアには、シート地だけでなく、環境認証を受けたユーカリ材や合成皮革など、持続可能な方法で製造された他の素材も採用されている。

 

 

【プログレッシ ブラグジュアリーのビジョンを示すために製作する3つのコンセプトモデル】

「Audi skysphere」、「Audi grandsphere」、2022年に登場する「Audi urbansphere」は、アウディブランドがプログレッシ ブラグジュアリーのビジョンを示すために製作する3つのコンセプトモデルで、車両の中心的な要素にインテリアを据えることにより、完全に新しいデザインを採用している。そのため、テクノロジーの要件によって、乗員が制約を受けることは一切なくなり、さまざまなレイアウトが可能なインテリア、格納可能なステアリングホイールやペダル類、広々としたキャビンなどに反映されている。また、自宅で利用している音楽や動画配信サービスと、車載ストリーミングサービスをリンクさせるなど、カスタマイズされたインフォテインメントオプションも利用できるほか、エクスクルーシブなコンサート、文化イベント、そしてスポーツイベントなど、ラグジュアリーカーユーザーに特化した専用のオプションを提供することも、将来的に視野に入れている。

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