ダカールラリーで、トヨタ車体が市販車部門8連覇達成!

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トヨタ車体のラリーチーム、チームランドクルーザー・トヨタオートボデー(TLC)は、ダカールラリー2021(サウジアラビア、1月3日~15日。全12ステージ)の市販車部門に2台のランドクルーザー(AT仕様)で参戦。難コースを制し、市販車部門で見事優勝を飾った。チーム史上初の市販車部門8連覇を達成する共に、通算優勝回数は21回となった。

1-2フィニッシュでゴール

 

前大会に続き、今回も中東のサウジアラビア王国で、新型コロナウイルス感染拡大対策を講じた上で開催された。走行ルートは刷新され、標高1000m以上の山間地、渓谷、砂丘越えなど変化に富み、複数の車両が転倒やパンクに舞われた。また、砂埃がひどく視界が悪い中、通過ポイントを迷いそうになるなどナビゲーションも難しく、気が抜けないルート設定だった。

1号車(№340):三浦選手/リシトロイシター選手組

今大会のTLCは、同社社員の三浦昂選手をエースドライバーに据え、ナビゲーターにはコンビを組んで6年目となるローラン・リシトロイシター選手を継続して起用(1号車:カー№340)。もう1台は、ダカールラリーでの豊富な経験を持ち、市販車部門初参戦のロナルド・バソ選手/ジャン・ミッシェル・ポラト選手を新たに迎えた(2号車:カー№345)。

2号車(№345)バソ選手/ポラト組

スタートからTLCは、市販車部門で1、2位を維持し順調なスタートを切った。第2ステージでは、2号車が砂丘を越える途中、バランスを崩して転倒。幸い一回転してタイヤを下にした状態で止まり、ドライバー・ナビともにケガもなく、車体へのダメージも小さく済んだ。

非常に難易度が高いと言われていた第5ステージの序盤では、1号車が岩場で前輪を当てパワーステアリングが効かない状態となり、残り約420㎞をステアリングが重たい状態での走行を余儀なくされた。ステアリングが切れないことによるパンクや、タイヤのリム落ち(空気圧を下げたタイヤがホイールリムから外れること)に見舞われたが、幸い2号車が後から追いつきスペアタイヤを提供したり、スタックの際にはお互いにけん引したり、2台で協力して無事に第5ステージをゴールすることができた。

前半の6カ所のステージを終え、1月9日は休息日としてメカニック陣が1日半かけて入念に、小さな不具合も見逃すことなく、点検整備を行った。後半戦の2日間(第7、8ステージ)は、ステージゴール後、ビバーク地でメカニックが整備できない“マラソンステージ”だった。草の茂った丘陵と、岩場の台地が舞台で2台ともタイヤ2本をパンクし、スペアタイヤは残り1本と、最悪の場合リタイヤという状況に陥ったが、マラソンステージ2日目を細心の注意を払って走行し、無事に第8ステージをゴール地点に到着した。

第9ステージでは、標高0mから1200mまで駆け上がるコースで、道が狭く深い轍が避けられないなど市販車には厳しい場所があり、我慢のステージとなった。第10ステージでは、トラックに接触されるアクシデンドがあったものの損傷は軽微で済み、第11、12ステージは、山間地や草の茂った丘陵といった難所を悪天候や砂埃に苦しみながらも、ほぼノーミスで走行。例年よりハードで難しい全ルートを2台揃って完走を果たした。競技用に大幅な改造ができない、市販状態での耐久性や堅牢さが求められるダカールラリーの市販車部門で8連覇を飾り、ランドクルーザー誕生70周年の節目の年に華を添えることができた。

【トヨタ車体・増井敬二社長のコメント】
新型コロナウイルス感染拡大で多くの大会、イベントが中止になる中、ダカールラリー2021年大会を安全に開催していただいた大会関係者の皆さまに感謝を申し上げます。そして、ランドクルーザー誕生70周年を迎える2021年のはじめに、市販車部門8連覇達成という明るいニュースをお届けすることができ、大変うれしく思います。チームメンバーの頑張りはいうまでもなく、パートナー企業の皆さま、地域の皆さま、ファンの皆さま、ランドクルーザーに関わる全ての皆さまと一緒に勝ち取った8連覇だと思います。“もっといいランドクルーザー”づくりに終わりはありません。TLCは、これからもランドクルーザーを鍛えるために、ダカールラリーに挑戦し続けてまいりますので、引き続きご支援をよろしくお願いいたします。

【チーム監督:角谷裕司監督〈同社総務部広報室〉のコメント】
新型コロナウイルス感染が拡大する中での大会で、チームで一人も感染させることなく無事に全日程を終えられ、まずはホっとしています。

昨年1年間はコロナ禍で、自分達でできることはやってきましたが、海外テストも例年通り行えず、スタートまでは正直不安でした。しかし、チーム全員が「何がなんでも8連覇するんだ」と強く思い、あきらめず、それぞれが役割を全うしたからこそ8連覇を達成することができ、改めてチームで戦うということの良さと、TLCのチーム力を感じることができました。

【1号車:三浦昂ドライバー〈同社総務部広報室〉のコメント】
自分自身、13回のダカールラリー人生で一番うれしい優勝です。最高の気分です。今回は、毎日ポジティブな気持ちを保ち、良い意味で走ることを楽しめました。歴史あるTLCのエースドライバーとして恥ずかしい結果は出したくない。常に“勝つ”ことを意識し、地道に取り組んできました。前半にパワステが使えなくなり、残り400㎞以上パワステ無しで走行したときも、不思議ともうダメだと思いませんでした。そのときにできた手の豆は僕にとっては勲章です。そして、必ず帰ってこられるランドクルーザーに携わるすべての方に感謝申し上げます。すばらしいクルマをありがとうございます。

【1号車:ローラン・リシトロイシター ナビゲーターのコメント】
アキラとコンビを組んで6年目、2回目の優勝です。2台揃ってポディウムに上がることができ、チームも8連覇できたので今までで一番うれしいです。今回からロードブックが当日のスタート15分前に渡され、ナビとしての力量が試される大会でした。コースに出ると埃がすごく、前が見えない時もあったり、砂丘、岩場、山間部等とバラエティに富んでおり、今年のコースの難しさを実感しましたが、終始落ち着いてできたと思います。トラブルがあっても気持ちを切り替えて走行することができました。

【2号車:ロナルド・バソ ドライバーのコメント】
市販車部門8連覇に貢献でき、とてもうれしいです。市販車部門で参戦するのは初めてですが、ランドクルーザーのタフさ、強靭さ、すばらしさを感じずにはいられませんでした。このクルマだからこそ市販車部門で戦えるんだと思いました。最初は、ランドクルーザーに合った走り方ができませんでしたが、日に日に順応できたように思います。途中、転倒等のトラブルもありましたが、アキラたちとサポートし合いながらゴールをすることができましたし、ビバークではメカニック陣による夜を徹しての整備のおかげで無事に完走することができました。次回は優勝目指して頑張りたいです。

【2号車:ジャン・ミッシェル・ポラト ナビゲーターのコメント】
ダカールラリーに20年以上出場し、今回が初めて市販車部門での参戦でした。市販車部門8連覇に貢献することができ、とてもうれしいです。砂丘や砂地では巻き上がる埃に視界に奪われ、ナビゲーションが難しい局面もありましたし、岩盤路ではクルマへのダメージを抑えることが必要で、とても難易度の高い?会でした。TLCは、走行中でも2台でサポートしあったり、ビバークではメカニックも協力しあったり、他のチームにはない団結力があり、とてもいいチームだと思いました。多くの人がランドクルーザーファンであることや、多くの人が応援してくれるのも納得できます。

【日本人メカニック:岩浅龍矢さん〈福岡トヨタ自動車〉のコメント】
1-2フィニッシュで8連覇達成できとてもうれしく思います。6連覇と7連覇を経験してきましたが今年の優勝はまた格別でした。今回、過去に誰も経験していない3回目のダカールラリーメカニックのチャンスをいただけたときは、本当にうれしかったです。このチャンスを絶対に無駄にしてはいけないと、新人の時のように気を引き締めてサウジアラビアに入りました。 フランス人メカニックと連携しながらの整備や、夜を徹しての整備等、思いっきり仕事ができました。また、様々な経験を積むことができました。

【日本人メカニック:中武祐太さん〈福岡トヨタ自動車〉のコメント】
優勝した340号車に関われ、チーム史上初の8連覇に貢献することができ、とてもうれしいです。今回は、コロナ感染拡大の影響で、本番前にランドクルーザーに触れる機会は前回大会よりも減っていましたが、自分自身も2年目のダカールラリーなので、とにかくできる限りの力を出し切るんだとの思いで臨みました。幸いにも致命的な大きなトラブルもなかったため、落ち着いて余裕をもって整備をすることができましたし、フランス人メカニックともコミュニケーションを図りながら、色々と勉強することができました。

ゴールを喜ぶチームメンバー

〈TLCの結果〉

1号車(№340):市販車部門1位/総合順位38位
2号車(№345):市販車部門2位/総合順位40位

〈出走台数と完走台数(日本時間:1月16日午前10時時点)〉

4輪部門(市販車・改造車):出走125台/完走89台/完走率71.2%
2輪部門(バイク):出走117台/完走74台/完走率63.2%
トラック部門(カミオン):出走44台/完走20台/完走率45.5%
合計:出走286台/完走183台/完走率64.0%

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