英ジャガー・ランドローバーは9月29日、伊アクアフィル社と協業し、再生ナイロン糸「ECONYL」を使用した、海や埋立地の廃棄物から作った高品質なインテリアの開発を進めていることを発表した。
同社は、次世代のジャガー・ランドローバーのモデルには、再生工業用プラスチック、衣料品メーカーの生地の切れ端、養殖業界の漁網などいわゆる「ゴーストネット」と呼ばれる海に遺棄された漁網から作ったECONYLを使用したフロアマットやトリムを採用。再生原料からサステナブル(持続可能)な高級インテリアをデザインすることは、「ゼロ・エミッション」、「事故ゼロ」、「渋滞ゼロ」を掲げる「Destination Zero」へのコミットメントを体現しており、技術革新によって環境をより安全でクリーンにし、カスタマーに高品質でサステナブルな選択肢を提供すると述べている。
ECONYLは合成繊維業界大手のアクアフィル社が生産しており、化石原料から作られるナイロンと同等の特徴を持ち、カーペット、床材、繊維製品に加工することが可能で、すでに高級ファッション、スポーツウエア、時計ブランドが、ハンドバッグ、リュックサック、水着やストラップなどに採用している。
アクアフィル社は、世界中からナイロン廃棄物を回収しており、1年で約4万トンの廃棄物を再生し、その再生工程においては、ナイロンを石油精製から作るものと比べて地球温暖化の影響を90%低減。生産されるECONYLの原料1万トン当たり、7万バレルの原油が節約され、炭素排出量6万5100トン相当が削減される。
ナイロン廃棄物は、最先端の処理センターで分析、処理されてから化学工場に送られ、ナイロン廃棄物は解重合として知られる化学処理工程を利用して原料に分解され、ECONYLが作られる。その工程を通して、非ナイロン、金属素材、漁網上の海藻の成長を妨げる硫酸銅といった副産物は除去され、再生利用に向けてそれぞれの産業に送られることになる。
ジャガー・ランドローバー、インテリア・システム担当シニア・エンジニアのエイドリアン・イルズ氏は、「当社のデザイナーとエンジニアたちは、将来のジャガーとランドローバーのモデルに採用するため、最も革新的な技法とテキスタイルを採用した次世代のサステナブルな素材の開発に取り組んでいます。廃棄物を最小限にし、材料を再利用、炭素排出量を削減することは『Destination Zero』のミッションの中核となるものであり、実現に向けた重要な方法のひとつです。また、お客様に提供するデザインに不可欠なものであると信じています。」と語った。
現在ランドローバーは、レンジローバー・イヴォークのインテリアに、高品質なユーカリ素材を使用したテキスタイルを採用しており、イヴォークに加え、レンジローバー、ジャガー初のフルバッテリー電気自動車(BEV)のI-PACEでは、高い耐久性を誇るウール混紡 Kvadratプレミアムテキスタイルと、1台あたり53本分のリサイクルプラスチックと再生ポリエステルを活用したスエードクロスを組み合わせた高品質な素材をオプションで選択することが可能となっている。