三菱自、電気自動車を活用したV2Gビジネス実証事業の試験運転を開始

業界ニュース

三菱自動車は、東京電力ホールディングスを含む30社が、経済産業省が一般社団法人環境共創イニシアチブを通じて公募する実証事業「令和2年度需要家側エネルギーリソースを活用したバーチャルパワープラント構築実証事業費補助金(VPPアグリゲーション事業)」を活用し、実証事業を開始したことを6月8日に公表した。

 

今回は上記実証のうち、三菱自動車、東京電力ホールディングス株式会社、東京電力エナジーパートナー株式会社、東京電力パワーグリッド株式会社、株式会社日立システムズパワーサービス、静岡ガス株式会社の6社にて取り組む、電気自動車(以下、「EV/PHEV」)を活用したV2G(Vehicle to Grid)ビジネス実証事業について、8月6日より実証設備の試験運転を開始したことを公表した。

 

今回の実証事業では、EV/PHEVをVPPのリソースとして活用することで、継続的な再生可能エネルギー(以下、「再エネ」)の導入と電力系統安定化の両立を目指し、2021年度以降には、電力系統とEV/PHEVの蓄電池との双方向間で電力需給調整を行うV2G事業のビジネスモデルを構築し、事業化を検討していくと述べている。

 

上記実証事業は、経済産業省が2018年度に開始し、共同申請6社が参画するのは今回が3年目となり、1年目の2018年度はEV/PHEVと電力系統の間で双方向の電力融通を実現する実証環境を構築するとともに、電力系統安定化に寄与する有効性を確認した(2月26日公表済み)。2年目の2019年度はEV/PHEVの台数を約40台追加(合計台数59台)し、国内最大規模の実証環境を構築しましたのに加え、EV/PHEVのモビリティニーズを踏まえ、実証サイトに駐車しているEV/PHEVをオンラインシステム上で同時制御した。

 

3年目の今回は、V2Gのビジネスモデルについて検討を進めるとともに、台数の変動などの突発的なモビリティニーズに対するバックアップ方法(サイト間融通)の検討など、V2Gのビジネスモデルに沿ったV2G制御の高度化について検討を実施すると説明している。

 

共同申請6社は、EV/PHEVの蓄電池を有効活用することで、再エネの導入を促進し、エネルギー・環境問題の解決に繋げていくと述べた。

 

<2020年度 V2Gビジネス実証事業の実施方針>

◆実証内容

  • 同一エリア(オンラインシステム上)における複数サイトのEV/PHEVを一括制御できる仕組みの開発・検証予定外のモビリティニーズ(例:台数の変動)に対応すべく、「複数サイト間の電力融通」の実現を目指し、実証用のシステムの検証および課題抽出を実施する予定。
  • 実態に即した電力系統安定化向けメニュー、シナリオの整理:太陽光発電などの再エネ出力抑制回避の施策との将来的な連携を見据えた制御要件に見直し実証する予定。
  • リソースの拡充:2019年度の実証事業から実証サイト(4台のEVPS/Vパワーステーションの略。充放電スタンド)1箇所を追加(表1)し、国内最大規模のV2G実証環境を構築する予定(図1)。

 

 

  • ビジネスモデルの検討:需給調整市場(2024年度開設予定)におけるアグリゲーションコーディネーター、リソースアグリゲーター別のマネタイズを試算し、事業性評価・分析を実施する予定。
  • V2Gに活用した場合のSOH評価(State Of Health:劣化状態)検証:PHEV約70台(V2G制御50台/V2G制御しない20台)を使用し、V2Gに活用した場合の駆動用バッテリーのSOH評価を実証する予定。
Tagged