文・写真:吉田直志(automobile columnist)
東京から伊豆半島へのアクセス方法は、目的地によっていろいろなルートがあるが、中伊豆へ向かう場合は、かつては東名高速道路の沼津ICで下り、市街地を抜けるルートが一般的だった。しかし、今ではIC、もしくは新東名高速道路の長泉沼津ICに伊豆縦貫自動車道(一部開通)が接続し、さらに有料道路を繋いで走ることで伊豆市まで渋滞知らずでアクセスできるようになっている。都心から修善寺までは距離にして150㎞ほどあるが、2時間と少しあれば到着できるようになり、日帰りも難しくない距離感となっている。
最初に訪れたのは伊豆のほぼ中心に位置し、温泉で有名なスポットである修善寺。街の中心には桂川が流れ、川の中には独鈷(とっこ)の湯と呼ばれる湯があり(現在は入浴禁止)、その前には「修禅寺」、川沿いに歩いていくと竹林の小径やギャラリー、山のほうには源頼家の墓などもある。
ここ修善寺の街はクルマで入ることができるのだが、道幅は狭く、また、一方通行があり、さらに歩行者も多いので走行には注意が必要だ。ちなみに、有料駐車場は意外と多くある。ちなみに、取材日は平日にもかかわらず多くの人で賑わっており、運転に気を遣うシーンもあったほどだ。
続いて向かったのは西伊豆スカイライン。この日は生憎どころか、大荒れの天気だったため景色を望むことはできなかったが、「だるま山高原レストハウス」からは天気の良い日には駿河湾を手前に富士山を眺めることができる。ドライブルート案としては、そのまま西伊豆へと下り、つまり土肥へと向かい、西伊豆の海を楽しむのも一案だ。
今回は天候が荒れていたため中伊豆へとルートを取り、伊豆の踊り子で有名な天城峠のある天城へと向かった。今では、峠を通ることなくトンネルを走ると山向こうへと出られるようになったが、今利用されているトンネルは実は2本目で、かつは切石で建造された旧天城トンネルが利用されていた。周辺には豊かな自然が広がりスポットも数多くあるが、天城トンネルの近くにある「道の駅 天城越え」には周囲の自然を活かした「昭和の森会館」、名物の「わさびソフト」を販売する店舗などもあり、是非立ち寄りたいスポットとなっている。
続いて訪れたのは中伊豆地区。今回、ドライブで巡ったスポットはかなり広範囲に渡っているが、すべて伊豆市に属している。実は、伊豆市はいくつかの町が合併によって作られた市であり、静岡県の中でも大きな面積となる市だ。中伊豆まで足を運ぶと天候は一辺して青空が広がった。この地域には、「サイクルスポーツセンター」、「中伊豆ワイナリー シャトーT・S」といった、それぞれで1日を満喫できてしまうほどのスポットがある。
今回連れ出したプジョー「 308」は、その快適な乗り味からはもはやスタンダードという印象は見当たらず、むしろプレミアム感を強く覚えた。しっとりとしたシャシーは乗り心地の良さにあふれ、シートやインパネのデザインに仕立ての良さを感じ、1.2Lターボながら不足を感じさせない走りに感心した。ちなみにトータル燃費は山道を行ったり来たりしたこともあって15.8km/Lにとどまったが、高速道路を大型トラックに合わせて走った時には22.0km/Lをオーバーしていたことをお伝えしておきたい。
今回紹介したスポットを1日で巡るのは少々忙し過ぎるかもしれない。ワイナリーに立ち寄って宿泊するもよし、下田まで足を伸ばしてもよし、自分だけの伊豆ドライブルートを楽しんで欲しい。
ドライブデータ
試乗車=プジョー 308 Cielo
パワーユニット=エンジン排気量1199cc(ターボ)、6速EAT、FF
乗車定員=5名
全行程走行距離=約320km
立ち寄りスポット[マップコード]
・独鈷(とっこ)の湯[116 186 050*36]
・昭和の森会館[248 681 240*82]
・サイクルスポーツセンター[116 316 653*18]
・中伊豆ワイナリー シャトーT・S[116 225 602*62]
※「マップコード」および「MAP CODE」は、株式会社デンソーの登録商標です。
※ナビの機種によっては、高分解能マップコードに対応していない場合があります。
プロフィール
吉田直志/automobile columnist
四輪駆動車専門誌、デジタルカルチャー誌の編集部を経て、フリーライターに。現在は新型モデルの評価を軸に、自動車雑誌のほか、ファッション誌にも寄稿。
(本稿は2015年4月に新聞「週刊Car&レジャー」に掲載)