■異例とも言える2度目の大幅改良
「はいどうもワンソクtubeです!」でお馴染みの(?)、クルマ買うチューバーことワンダー速報&ワンソクtube管理人のドラヨスです。
今回は2019年10月に行われたオールレクサスラインナップ試乗会といったメディア向けのイベントに参加させていただき、ランニングチェンジを行ったレクサスLSに試乗させてもらいました。
2017年10月にデビューした新型LSですが、デビュー当時の評判としては「乗り心地が硬い」「エンジンがうるさい」など、あまり良い評判は聞きませんでした。
私も試乗していましたが、多少オブラートに包んで「ドライバーズカー的な乗り味になった」と評していましたが、オブラートを取り払ってしまえば、上記のような感想になってしまいます。
そんな評判を受けてか、2018年秋には1度目のランニングチェンジを行い、乗り心地や走りの質感向上に手が入っていました。
しかし今回、2019年10月にも、異例とも言える2度目のランニングチェンジが行われました。レクサスLSは販売でも苦戦していますが、一度離れたユーザーを取り戻す事はできるのでしょうか。

■先代LSオーナーの好みから外れた動的質感
先代のレクサスLS600hは、センチュリーと同じ5.0L V8エンジン+ハイブリッドという贅沢なパワートレインでしたが、今回のLS500hは3.5L V6+ハイブリッドと、スープダウンしています。
それ故、先代よりも高回転寄りになるエンジンや、ドイツ製スポーツセダンのような硬めの足回りは、フワフワで雲の上を滑るように走る乗り味を期待していたオーナーさんからは不評だったのかもしれません。
たしかに、Sクラスなどと比べると、騒音振動面では結構厳しいな…と思ったものでした。
■静粛性と動的質感の改善で走りはどう変わったか
そうした状況を鑑みてか、今回のマイナーチェンジで異例とも言えるデビュー以来2度めの乗り心地の改良ということで、私も期待して試乗させてもらいました。
ランニングチェンジで改良されたポイントはかなり多く、乗り心地や静粛性改善のためにかなり手が入っている様子が事前のブリーフィングで発表されていました。
まずは、静粛性と日常使用領域でのドライバビリティ向上ということで、普段使いの街乗りでのストップ&ゴーが快適になるように、エンジンとモーターの出力特性を改善し、特に20km/hまでの加速でモーターのトルクを向上させ、エンジンの回転数を抑えることでかなり静かになった印象がありました。
出足の発進加速時に静かになっただけではなく、2017年のデビュー当時に感じていた「マルチステージハイブリッドと言う割にモーターのトルクが弱くてすぐエンジンかかっちゃうな…」というネガティブなイメージが無くなりました。
文字通り、発進のモーターのトルクが力強くなったので、私が好きなハイブリッドのドライブフィールに変わった感じです。これは良かったポイントです。

さらに細かいところでも変更があり、ランフラットタイヤの縦バネ剛性低減や、アブソーバーの伸圧独立オリフィス採用、AVS制御見直しなど見えないところでもかなりの変更が行われた模様です。
細かい技術的な解説はさておき、とにかく乗り心地がフラットになり、初期型で感じていた路面の凹凸をコツコツと拾う感じがかなりコンフォートになりました。
ランフラットタイヤのサイドウォールにまで手が入っているとは、乗り心地改善のために、かなり力を尽くした感が伝わってきます。
実際にLS500hを試乗した感想としては、たしかに乗り心地も静粛性も良くなっています。
ただし、「目指す方向性がこれでよいのか?」というところが難しいところだと思います。

■レクサスLSならではの世界観とは?
LSもオーナーの若返りを目指して、ドライバーズカー的な乗り味にしたのがデビュー当時の目論見だったのかもしれませんが、既存のオーナーさんが求めていたのは、旧来のセルシオが持っていたような「雲の上を滑るようなコンフォート性」だったのかもしれません。
それが日本の高級車の一つの正解だとするならば、今それを体感できるのはセンチュリーだけだと思います。
セルシオや2世代前くらいのクラウンなどは、ロードインフォメーションがとにかく希薄で、接地感のない軽めのステアリングなど、自動車評論家の方やクルマ好きからは嫌われがちなドライブフィールかもしれませんが、それが好きな層というの少なからずいるのだと思います。
先代LS600hはそこまでフカフカな乗り味ではなかったでしょうが、エンジンから来る騒音・振動は、現行のLS500hよりは確実に静かだった印象です。
そうした世界観を期待してLSに乗ると、「なんか違う」という事になってしまいますが、今回のマイナーチェンジで、初期型のドライバーズカー的な乗り味と、センチュリーのような雲の上を滑るようなコンフォート性の、ちょうど中間くらいになったような気がします。
メルセデスのSクラスにはSクラスの世界観があり、アウディA8にはアウディらしい世界観も貫かれています。

今回のLSのランニングチェンジで、乗り味の方向性は個人的には好みに近いものになっていたと思います。いわゆる、「角の取れた硬質感」とも表現できるような、ドイツ車的な乗り味に近づいてはいます。
しかし、ドイツ車勢の後追いをするのではなく、セルシオがデビューした時に世界を震撼させたように、日本独自の高級車の在り方を突き詰めていったほうが、結果的には日本国内だけでなく世界的に固定ファンが付くラグジュアリーカーになるのではないかと考えてしまいました。
少なくとも、センチュリーにはそうした世界観が貫かれているのを感じました。
一方でLSはと言うと、5.2mという長くなりすぎた全長で、ドライバーズカーとして操るには取り回しづらく、また都市部での駐車場事情にも難儀します。
そうしたプロダクトの大前提の部分で支持されていない可能性もあります。
ロングボディを作らなかったことで、中国市場をもターゲットに大きくせざるを得なかったのかもしれませんが、逆にロングボディでないことが中国市場では特別感がなくなり、それ以外の地域では5.2mでは大きすぎるという、まさに「帯に短し襷に長し状態」になっている可能性も否めません。
2020年以降のマイナーチェンジで、LS600hが復活するとの噂もありますが、ボディサイズ問題も含めた起死回生となるか、注目したいと思います。
以下の動画でもLSの試乗インプレッションを公開中!
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[ドラヨス]
月間100万PVのブログ「ワンダー速報」と、月間100万再生以上のYouTubeチャンネル「ワンソクtube」の管理人。
クルマ買うチューバーを自称し、年に何台もクルマを購入してレビューするスタイルが好評。
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