世の中ミニバン大流行だが、二昔前はワンボックスの乗用車仕立てが流行し、上等版はハイルーフで豪華装備と高級仕立てで、道路を闊歩していた。
それはハイエースやキャラバンなど大型から軽自動車にも波及して、スズキ・キャリイもその一台。そもそもキャリイの歴史は古く、初代スズライトキャリイの誕生は昭和36年/1961年のこと。
61年というと、米ソ対立たけなわの頃…世界初宇宙船からガガーリンが「地球は青かった」と米国に差を見せつけ、国内では大鵬と柏戸横綱昇進で白鵬時代が始まり、植木等のスーダラ節が流行ってた。
その後キャリイは順調に進化して、トップ写真の八代目が登場したのが1979年…排ガス対策にテンヤワンヤの時代だが、81年に4WDを追加。大相撲では三重ノ海が横綱に昇進した。
キャリイ4WDハイルーフGの諸元は、全長3195㎜・全幅1395㎜・全高1885㎜・WB1850㎜・車重735kg・最低地上高175㎜・最小回転半径4.1メートル。
排ガス対策で81年のキャリイは4サイクルエンジンに換装されるが、4WDの方は未だ2サイクルJ50系だった。水冷三気筒539cc・25馬力/4500回転・乗員二名時の積載量350kg/四名時250kg。
LJ50は2サイクルでもスズキ自慢のCCSI/分離給油方式で扱いが4サイクルと同じが便利だった。燃費20.2km/ℓ・4MT・前ストラット/後リーフリジッド・四輪ドラムブレーキ・タイヤ500-12-4p。
ちなみに軽1BOXの四駆初はスバルサンバーだが評判が、良いので二匹目の泥鰌を狙ったのがキャリイだった。
が、キャリイは、高低二段型副変速機を持つ本格派だった。
このあたりは、軽唯一の本格派クロカン型ジムニーを持つスズキの強みだ。で、軽とは思えぬ踏破力で、専門家を感心させた。
もう一つの感心事は、操安性の良さだった。
エンジン搭載がミドシップなので、前後荷重バランスが良く、滑りやすい路面、例えば雪道などで抜群安定のトラクションを生み出してくれた。とにかく、その走破力は、なりは小さくとも本格派四駆に肩を並べる実力だった。
キャリイ四駆登場の81年に横綱に昇進は千代の富士。電子郵便なる物が登場…東京∽名古屋∽大阪間でファクシミリ電送が始まった。今では見慣れたデジタルカメラが登場、商品名マビカは28万画素で記憶媒体が3.5吋フロッピーディスクだった。
車屋四六:1960年頃よりモーターマガジン誌で執筆開始。若年時代は試乗記、近頃は昔の車や飛行機など古道具屋的支離滅裂記事の作者。車、飛行機、その他諸々古い写真と資料多数あり。趣味はゴルフと時計。<資格>元JAFスポーツ資格審査委員・公認審判員計時一級・A級ライセンス・自家用操縦士・小型船舶一級・潜水士等。著書「進駐軍時代と車たち」「懐かしの車アルバム」等々。