キャンピングカー業界を牽引する大手メーカー「ナッツRV」(本社:福岡県遠賀郡)は、フィアットプロフェッショナルの商用車「デュカト」をベース車両とする新型モデル「フォルトナ」を発表した。
この新型モデルは、キャブコン(キャブ・コンバージョン)の製造で培ってきた電装技術に加え、新素材を採用した強力な断熱システムを搭載。2月の「ジャパンキャンピングカーショー2023」で実車を初披露した。
スタイリッシュな外観と先進のセーフティ機能
ナッツRVは昨年9月、デュカトを生産するフィアットプロフェッショナルと正規販売代理店契約を締結。販売ネットーワークを担うと同時に、デュカトベースのフォルトナ開発に着手していた。
完成したフォルトナのカテゴリーはバンコン(バン・コンバージョン)となる。しかし、同カテゴリー定番の商用バン/ワゴンとは車体構造が異なるため、見た目もサイズ感も大きく違う。
同社がベース車として取り扱う車両は、L2H2と呼ばれる標準サイズと、ロングホイールベースのL3H2、同型のハイルーフL3H3だ。標準モデルでも大人が立って室内移動できる車高1900mmは大きなメリット。ノーズを持つ車体構造により空力性能が高く、2050mmの車幅は走行安定性に寄与している。
商用車とは思えないほどスタイリッシュな外観デザインも秀逸。これはインテリアも同様で、さらに商用カテゴリーでありながら乗用車セグメントに準じた安全支援機能も備わっている。
従来の断熱を超えたウルトラ断熱システム
ベース車として申し分のないデュカトに、キャブコンの製造で実績のある同社がキャンピングカーへと仕上げた新型フォルトナは、当然期待値も高い。完成車は、家具や内装の高クオリティはもとより、同社の持つ断熱・電装といった強みを活かした構造と、さらに新素材や装備が導入されるなど、その期待を大きく上回るものとなった。
まず断熱構造は、今回新しく国産の断熱材「エアフォリア」を車両の側面や天井に採用。この素材は、工業試験場で断熱実験を行った中でも、高い数値の断熱効果を発揮。さらに、同社のキャブコンに採用されている高断熱コンポジットパネルを床全面に敷き詰め、床下からくる冷気を防ぐ構造も組み合わせているため、非常に高断熱の新構造となっている。
急速充電システム「エボライト」を搭載
電装設備では、200Ahのリチウムイオンサブバッテリーを標準装備し、充電ユニットは同社のキャブコン「クレソンジャーニー」にも搭載されている「エボライト」を組み込んでいる。
安心の電力とキャブコンで実績のある充電機能を確保した上で、オプション設定として国産エアコンを設定。さらに、280Wソーラーパネルを2枚、リチウムイオンサブバッテリーは200Ahをさらに1個追加可能だ。フルサイズのキャブコン同等の電装設備になるため、様々なニーズに応えるポテンシャルを持ち合わせている。
電動昇降ベッドによる空間活用の新提案
室内は6人乗車/4人就寝、レイアウトは「タイプM」と「タイプC」の2タイプが設定されている。室内は、エントランスを入った正面に前向き2列目シートとテーブルを配置。このフロントスペースは、運転席側が回転式のため対座のダイネットとして活用できる。
車両左サイドはキッチンとなり、冷蔵庫や電子レンジがビルトインされている。Mタイプは2列目シート後方にシャワー設備が取り付け可能なマルチルームがあり、もう一方のタイプCはクローゼットとなる。後方は横向きシートを2列配したニの字ダイネット。マット移動で簡単にベッド展開もできる。
この後方スペースには、電動で昇降するパワーリフトベッドをオプション設定できる。無段階調整のため、収納スペースや2段ベッドなど、使い方に合わせて高さを変えられるのもうれしいポイントだ。このパワーリフトベッドは、寝心地の良さはもとより、湿気を逃がし、放熱や静音性に優れる同社オリジナルのウッドスプリングが採用されている。
また、デュカトのボディカラーは種類、ファブリックは16種類、そして家具色はPVCシート採用により10種類から選ぶことが可能になっている。
フィアットプロフェッショナル正規販売代理店の強み
そして最後に、輸入車につきもののサービスや保証、部品供給という面での心配事が、デュカトの場合は正規販売ディーラー誕生によって解消されたといえる。これは業界にとっても、ユーザーにとっても非常に喜ばしいこと。特にナッツRVは全国に8店舗のディーラー網を持ち、国内自動車メーカー相当の部品供給やサービスを期待できる。そういった意味でも、同社の新型フォルトナは最注目と言える一台となっている。