【エコツアーに行こう！】FUJI HAT（山梨県富士河口湖町） -

樹海のいのちの息吹を感じよう！

日本の世界文化遺産の一つである富士山には、国内外から毎年たくさんの観光客が訪れている。だが、その構成資産の一つである青木ヶ原樹海の中を訪れる人はまだまだ多くはない。

実際に山頂を目指せるのは限られた期間だけ。それ以外は景色としての美しさを求めて山麓を巡る人が多いだろう。樹海となると、国道沿いのごく一部の観光地化された場所を除けば、土産物屋やスイーツのお店があるわけでもないからだ。

でも、そこには文字通り手付かずの自然が残っている。景色として富士を眺めるのでなく、雑踏を離れ、少人数で富士山の大自然を知って、楽しむには最高の場所と言えるだろう。

「樹海では方位磁石が使えない」といわれるけど、実際にはそこまではない。ごくたまに、すずそばにくっつけると狂う希少な溶岩があるくらいだ

もっとも、何の予備知識もなく、素人が入れる場所ではないのも確かだ。そこで参加したいのが、FUJI HATが開催しているツアー。樹海の中を歩き、照明や階段などが整備されていない溶岩洞窟へ。積雪時期には、雪の上には動物たちの足跡など、フィールドサインも見つけられるだろう。

青木ヶ原樹海は、約1200年前に富士山の中腹から流れ出した溶岩原。樹海というと多くの人が昼なお暗い、うっそうとした森をイメージしているけれど、実は森の中は明るい。樹木は溶岩のために深く根を張ることができず、土壌も薄いため、大木が育つ前に強風などで倒れてしまうからだ。

土壌の代わりに岩や倒木を覆ったコケがわずかな水を保ち、次の世代の木を支えている。厳しい環境だが、1200年を経て少しずつ自然が回復しようとしている命の息吹を感じられるだろう。

また、富士山周辺に100以上あるといわれる溶岩洞窟も注目。溶岩の表面がかたまったのちに、その下をまだ溶けた溶岩が流れていった名残がトンネルとなったものだ。地下水が石灰岩を溶かしてできた鍾乳洞と違い、中に降りてみれば平らになっているのも特徴。気温が安定しているため場所によっては夏でも氷が残っているが、冬には風を受けない分、暖かささえ感じるかもしれない。