ピュアEV化ですべての軽自動車の常識を一新!
日産が開発を主導し三菱の工場で生産…そんな日産『サクラ』と一卵性の、三菱『eKクロスEV』をテストドライブした。
両車共通で最大となる特徴は、それが日本固有の”軽自動車”のカテゴリー内で作られたものであるということ。端的にいって、これまで発売されてきたあらゆるピュアEVは、国内外メーカーの作品を問わず、そのすべてが「日本以外を主たるマーケットとして生み出されてきた」といえるもの。それに対して、『サクラ』と『eKクロスEV』は明らかに”日本のユーザー”をターゲットとした作品。そこがまず、最大の見どころといえるわけだ。

早速走り始めると、その瞬間に驚かされる事柄が多数。まず圧巻なのが加速力。ピュアEVの例に漏れず、重い駆動用バッテリーの搭載で重量面では純エンジン車に対してハンディキャップを負うことになっている一方、いざアクセルペダルを踏み込むとそんな事は瞬時に忘れさせる力強い加速力を発生。
最高出力値には64PSという自主規制が課せられる軽自動車だが、最大トルク値は”青天井”。そんな抜け道(?)を活用して195Nmと、ガソリン・エンジンであれば実に2リッター級のユニットにも匹敵する値を、しかも走り出しの瞬間から発揮するのだから、ラフなアクセル操作では前輪が悲鳴を上げるほど強力な蹴りだしのシーンを演じることになるのである。

静粛性の高さも驚きの水準だ。速度が高まるに連れロードノイズその他が高まって行くので、ピュアEVならではのアドバンテージは薄れて行くものの、低速域を中心とした街乗りシーンでの静かさは、レクサス各車ですらかくや(?)という印象。
端的にいって、このスタートでの強力さと街乗りシーンでの静かさの二つのポイントだけからでも「これまでの全ての軽自動車の常識を塗り替えてしまう!」と思えたのが、このモデルの走りの印象であったのだ。
一方、そんなこのモデルの購入を考える人に”絶対条件”として出したいのは、「自宅に充電設備を用意できること」という一点。”チャデモ”に代表される外出先での充電は、これからプラグイン・モデルが普及をするほどに「待ち」が発生する可能性が高くなるであろうし、現状を鑑みるに充電拠点が急速に拡充される可能性も期待薄。逆に、自宅で毎日の充電が可能という前提条件付きならば、バッテリー容量をもう少し減らしてさらなる低価格にトライするという手もありなのでは? という気もしてくる。
加えればこの先、様々な補助金が”枯渇”した際に現在好調が伝えられる販売に急ブレーキが掛かってしまうのでは? と思わせるのも懸念材料。結果的に、様々な価格で新車を購入する人がいるという現状が、下取り価格や中古車マーケットにどんな影響を及ぼすかという点からも目が離せそうにない。ともあれ、良きにつけ悪しきにつけかくも話題性に富んだ、常識破りのニューモデルなのである。
(河村 康彦)
(車両本体価格:239万8000円~293万2600円/国の補助金[55万円]と自治体の助成金[45万円*]を活用すると、139万8000円~193万2600円)
*東京都の場合