オランダの風車を知らない人はあるまい。その内部がどうなっているのか、好奇心が旺盛な私は子供の頃から気になっていた。
そもそも風車は紀元前3600年頃エジプトに登場し、13世紀頃オランダに到着。そもそもオランダの別名ネーデルランド={低地の国}と呼ぶように、国土の25%が海より低く、45%が湿地帯。
其処に農地を造る干拓、要は海面より低い処の水を汲みだして、海に排水するための揚水ポンプが必要だったのだ。
で、最盛期には1万基、今でも1000基が稼働中というが、減ったのは19世紀の産業革命で登場の動力普及によるものだった。
が、農地が完成すると、その加工が必要になり、風車の一部はその動力として活用されることになる。
製材、製紙、製油、そして粉挽きには今でも使われているが、本来の使命である揚水ポンプとしても僅かだが働いているそうだ。
風車はなかなか良くできており、風向きに合わせて回転し、風の強弱に合わせて四枚羽の骨組みに張る帆布の面積を変えて対応する…私が見学した風車は、石臼で粉を挽いていた…ちなみに英語で風車はWind Mill=風と臼である。
長年の夢?その風車が見られたのは、三菱のお陰だった。

1995年三菱は欧州で新開発カリスマの発売を開始し、翌96年の日本発売を前に、フランクフルトで試乗会を開催した。
此処での収穫は、試乗途中に寄ったランゲンブルグの城で、領主収集品を展示したドイツ自動車博物館…カー&レジャーの新聞やwebサイトで何度も登場しているので、皆さん記憶している車が沢山有るはずだ。

その試乗会の後、アムステルダムでも生産工場で試乗した。工場名はネッドカー。和蘭陀政府+ボルボ+三菱の合弁会社で、三菱開発の新プラットフォームを共用する、三菱カリスマとボルボV40/S40が同じコンベアラインを流れていた。
その試乗が終わり、案内されたのが風車の見学だったのだ。とにかく長年の夢が実現して嬉しかった。当時の三菱はまだ元気一杯だったが、帰国後に例のリコール問題が起きて一気に評判を落とし、運悪くその後の風評被害で評判回復せず、踏んだり蹴ったりの結果が尾を曳いて、不運が付きまとう気の毒な結果となった。

車屋四六:1960年頃よりモーターマガジン誌で執筆開始。若年時代は試乗記、近頃は昔の車や飛行機など古道具屋的支離滅裂記事の作者。車、飛行機、その他諸々古い写真と資料多数あり。趣味はゴルフと時計。<資格>元JAFスポーツ資格審査委員・公認審判員計時一級・A級ライセンス・自家用操縦士・小型船舶一級・潜水士等。著書「進駐軍時代と車たち」「懐かしの車アルバム」等々。