手放しで褒めるのは止めようと思っても、やっぱり良くできている…
”子ベンツ”などとも揶揄をされた事実上の初代モデルといえる190シリーズまで遡れば、そのデビューは1982年ということになる長い歴史を持つメルセデス・ベンツ Cクラスがフルモデルチェンジ。「全モデル電動化」といういかにも今風のフレーズと共に、まずはセダンの一部バージョンから日本の道を走り始めた。
ちなみに”電動化”といってもピュアなEV仕様は設定されておらず、日本での発売が発表されているのはセダン/ステーションワゴンのマイルド・ハイブリッドシステムを加えた1.5リッター・ガソリン、2.0リッター・ディーゼルのターボ付き4気筒直噴エンジン車と、EV走行距離が100㎞と謳われる2.0リッターのターボ付きガソリン・エンジン搭載のセダンのプラグイン・ハイブリッド。
その中から、セダンでガソリンのマイルド・モデル『C200アバンギャルド』の準備が完了とのことで、早速テストドライブした。
従来型に対して全長が100㎜弱、ホイールベースが25㎜、そして全幅と全高は10㎜ずつだけ増したルックスはなかなかスタイリッシュ。一方、インテリアのデザインはひと足先にデビュー済みの新型Sクラスのそれに非常に近いイメージ。バイザーレスのメーターパネルやセンターに置かれた大きなディスプレイ、照明の入る空調吹き出し口などが、何ともモダンで若々しい雰囲気を印象付けるのが、最近のメルセデスに共通するインテリアの仕上がりだ。
アイドリング・ストップ状態からの滑らかな再始動や、ほぼ無音状態でのクリープ力の発生はマイルド・ハイブリッドならでは。モーター最高出力は15kW≒20PSに過ぎないが、それでも高いギアで無理なく加速が効くシーンに多少のブースト効果を実感だ。
低速時には逆位相、高速時には同位相に作用するリヤ・ステアリングをオプション装着していたが、日常シーンではその動きを意識させられることは皆無。「Cクラスらしく、小回りが効くな」という思いを受けるが、それも見事に黒子的にこなしてくれるのだ。
ステアリングのフィーリングは見事に滑らかで、どんなシーンでもしなやかに路面を捉え続けるフットワークの働きは絶品。静粛性は従来型を凌ぎ、特にロードノイズが小さくなった。
今回は箱根の古くからある温泉街を基点にドライブしたが、それゆえの狭い道では大き過ぎないボディのサイズを何ともありがたく感じることに。メルセデスだからと言って手放しで褒めるのは止めようと思いつつ対峙をしても、悔しいかな「やっぱり良くできているナ」と、納得せずにはいられない仕上がりの持ち主であった。
(河村 康彦)
(希望小売価格:651万円~705万円)