2018年にフルモデルチェンジした、ジープのラングラーに試乗させていただきました。日本におけるラングラーは、世界的に見てもかなり売れているそうで、月によってはメルセデスのCクラスと同じくらい売れています。
たしかに街中でもよく見かけるラングラーですが、果たしてその実力やいかに?
ディフェンダーオーナーの視点でレポートします。
■唯一無二のエクステリア!これが人気の理由か
今回試乗させていただいたのは、ラングラーアンリミテッドスポーツという5ドアのベーシックなグレードです。
車両本体価格も539万円からと国産SUVとあまり変わらない価格で購入できるので、個性的でタフなラングラーが人気なのも頷けます。
まず特徴的なのが、どこから見てもジープである事がわかるフロントマスク。丸目のヘッドライトに縦縞のグリルは唯一無二の存在感があります。レトロな印象も受けますが、ヘッドライトはLEDになっており、アダプティブハイビームこそ備わらないものの、オートマチックハイビームやLEDのウインカーなど、昨今求められる装備になっています。
張り出したフロントバンパーとしっかり取られたアプローチアングルは、いかにもオフロードに強そうな印象を受けます。

ボディサイズは、全長4870×全幅1895×全高1845mmと、ディフェンダー110と比較すると一回り小さいものの、無骨でタフなデザインで存在感としてはディフェンダー以上に感じます。
エクステリアやインテリアの各部には、隠れジープのアイコンがデザインされ、お子さんと探す楽しみもあります。
ラングラーのエクステリアは本当に個性的で、ヒンジ類はあえて外側に見せるデザインとなっており、さらにドアやフロントウィンドウ、屋根まで全て取り外せるようになっています。
日本ではフロントウィンドウを外しての走行は道交法的にNGですが、ドアや屋根ごと外せるクルマは他にはなかなか無いですよね。
■インテリアもタフでシンプル!ただし欠点も…
続いてはインテリアを見ていきますが、運転席や後席への乗り込みは、フロアが高いのでサイドステップを使って乗り込む感じになります。
その際ルーフは意外と低いので頭をぶつけやすいのは難点。
ラングラーのインテリアデザインは、エクステリア同様に無骨でタフな印象です。

試乗車のアンリミテッドスポーツには、7インチのディスプレイが装備され、ナビなどは備わらず、有線でスマホを接続してCarPlayやAndroid autoでナビをする仕様になっています。この辺りのローカライズに関しては、ドイツ車などには劣る印象。
昨今では当たり前になってきた電動パーキングブレーキなども備わらず、古き良きサイドブレーキとなっていますが、ラングラーのキャラクターを考えればこれでも良いかなとも思います。
メーターも2眼タイプの中央に液晶のマルチインフォメーションディスプレイも備わり、運転に必要な情報を得ることもできるようになっています。
無骨な見た目とは裏腹にしっかりとしたインフォテイメントシステムを備えていました。
ただ、一つ気になったのはペダルレイアウトです。
左足のフットスペースがかなり狭くフットレストも無いので左足の置き場に困る印象でした。この辺りは右ハンドルにローカライズが難しい部分なのかもしれません。
アフターパーツでフットレストなども用意されてるようなのでそれを付ければ少しは改善しそうです。
■後席は想像以上に広く居住性は良い
続いて後席に乗り込んでみますが、前席同様にサイドステップを一段昇って乗り込むような形になります。
リアシート自体はやや平板で、座面長は短めながら、足元は十分に広く居住性は想像していたより快適でした。
ただ、後席にはUSBソケットは1つも無かったので、後席の人は充電できません。
ラゲッジは横開きのバックドアと、上に開くガラスの2枚構成となっています。
ラゲッジ容量も十分で、後席を使用した状態で548L、後席をたたむと1059Lまで拡大できます。
後席をたたむと少し段差はできますが、ほぼフラットな荷室は使い勝手も悪くなさそうです。
また、ラゲッジまで屋根を取り外せるので、荷室もむき出しにすることも可能です。そうすれば高さを気にした積載とは無縁ですね。
■走りは想像以上に上質!しかし運転支援は課題
内外装のチェックのあとは、試乗ドライブへと繰り出します。
まずエンジンを指導させると、3.6L V6エンジンが遠くの方でぶるんという嘶きを発して始動。無骨な見た目からは想像できないほど静かな始動に驚きました。
シフトをDレンジに入れてジックリと走り出しますが、これまた想像していた以上にダイレクト感のある走り出しに驚きます。組み合わされているトランスミッションはZF製の8速ATとのことで、これが良い仕事をしていそうな雰囲気です。3.6L V6エンジンは最高出力209kW(284PS)/6,400rpm、最大トルク347Nm/4,100rpmを発生させますが、大排気量NAらしく、最大トルクも高回転側にありますが、それを感じさせないほどトルクフルに発進します。
走り始めるとスイっと3,000rpmくらいまで回るのでやっぱりNAエンジンらしい回転フィールです。合流加速で全開加速も試してみますが、高回転まで一気に駆け上がり、トルクも回転につれて盛り上がる印象でした。

乗り心地としては、オフローダーらしくややステアリングの中立付近にも遊びを許容し、ふわふわとした船のような乗り味となっています。これは、岩山などの悪路を走破する際にはサスペンションを固めてしまうと突っ張ってしまって走れなくなってしまうので、こうしたフンワリとした足回りとステアフィールになっているのだと思います。
アメリカンなスタイリングにもかかわらず、アイドリングストップも備わり、さらに嬉しいのがレギュラーガソリン仕様ということです。ただ、燃費は推して知るべしという感じの9.0km/L(WLTCモード)となっています。
高速を走ってみると、風切り音が至るところから聞こえてきます。これは普通のクルマよりもヒンジなどの突起物が多く、あえて凹凸を出すデザインとなっているためだと思いますが、80km/hを超える速度域だとロードノイズよりも風切り音のほうが気になりそうです。
また、直進安定性ですが、やはり低速時と同様に中立付近の座りはややファジーで、ステアリングをギュッと握っていないといけないような感じはあります。
安全装備や運転支援については、ブラインドスポットモニターは装備されているものの、はみ出し抑制やレーンキープと言った装備は付いていないのは残念。
レーンキープアシストが無いクルマは結構ありますが、はみ出し抑制の警告すら無いのは、昨今のクルマとしてはプアだなと感じた部分。一方で、アダプティブクルーズコントロールについては、電動パーキングブレーキが付いてないにもかかわらず停止まで行う全車速追従タイプになっています。このキャラクターを考慮すれば、ここまで付いていればむしろ十分とすら思えてしまうのが不思議です。
MINIクロスオーバーの試乗でも感じましたが、ラングラーのエクステリアに惚れてしまったら、運転支援が付いてないとか左足スペースが狭いとか「細けぇことぁイイんだよ!」と、アバタもエクボでそれすら個性と捉えてしまえる魅力があるクルマだと思いました。
売れているのも納得です。
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[ドラヨス]
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クルマ買うチューバーを自称し、2か月に1台のペースでクルマを購入してレビューするスタイルが好評。
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