専用装備により走りの質を深化させた マツダ・ロードスターRS 試乗記

試乗レポート

昨年10年ぶりのフルモデルチェンジを果たし、スカイアクティブ技術と魂動(こどう)デザインを採用した新世代商品の第6弾として、三つの主要カーオブザイヤーのうち見事二冠を獲得したマツダ・ロードスター。10月に追加された「RS」は、専用装備によってロードスターが持つ走りの良さを深化させ、人とクルマが対話できる〝人馬一体〟の楽しさにさらに磨きがかけられたモデルである。

そのエクステリアは、RS専用のエアロパーツやバッジが装着されているわけではなく、16インチのホイールなどもベースグレードと同じデザインのものを採用。グレード違いの見分けはほとんどつかないが、ブレーキディスクの大径化や足下に覗くビルシュタイン製の黄色いダンパーなどのRS専用装備が、熱い走りを期待させる。

インテリアはBOSEサウンドシステムのほか、アルカンターラとナッパレザーを組み合わせた専用レカロシートを標準装備。上質な素材感と腰回りの着座感覚が良く、下半身をしっかりとホールドするので、カーブが続くワインディングでも姿勢が乱れずにクルマの操作に集中できるのも好印象だ。

RSのミッション設定は6速MTのみ。従来からショートストロークでリニアなシフトフィールに定評のあるロードスターだが、RSにおいてもその持ち味が発揮されている。たとえ時速30㎞ほどでも純粋にドライビングの楽しさが味わえ、無駄にシフトワークを楽しみたくなるほどワクワクさせてくれる。

搭載する1・5Lエンジンはベースグレードと同じだが、既述のように足回りはRS専用装備。ベースグレードは、コーナーをヒラリと舞うように軽快に駆け抜ける印象がある一方で、ペースを上げたコーナーでのロールも気になっていた。RSに搭載するビルシュタイン製のダンパーは減衰力の設定を全体的にやや高めた設定とすることで、コーナーでも安定感が増した印象。ステアリング操作に対する反応も素早くなり、よりシャープなハンドリングを楽しめる。大径化されたブレーキも自然なタッチで、高速域から街乗りの速度域まで扱いやすいものに仕上がっている。

ただ、特に低速域では路面の感触がダイレクトに伝わってくるので、乗り心地に硬さは否定できない。好みの問題であるが、もう少し動きにしなやかさがプラスされてもいいのではと感じた。

高回転までスムーズに回転するエンジンの特性を活かすべく、RSにはエンジンサウンドを強調するインダクションサウンドエンハンサーも標準装備。3000回転あたりから抜けの良い高音域を体感でき、さらに回転が上がるにつれて伸びのいい軽快な音色を楽しめる。

RSは走行性能を高める専用装備をはじめ、先進安全装備まで標準装備された〝フル装備〟仕様。一方で、ロードスターのようなライトウェイトスポーツは、購入してから自分好みにカスタマイズしていくのも楽しみ方のひとつであると思う。気になる人はディーラーなどで自分の嗜好や環境にあわせた最適なモデルを選んでほしい。

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