トヨタグループ、医療現場および医療用品への支援を表明

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トヨタならびにトヨタグループ各社は、新型コロナウイルスの感染拡大の抑制や医療現場の支援に向けて、自動車産業が持つ製造・物流面でのノウハウや、グローバルに広がるサプライチェーンを活かし、様々な側面から対策を検討し、迅速に取り組んでいくと同時に、事態収束後の経済活動の復興に向けた態勢を整えておくために、雇用を守りながら自らの体質改善を図ることで、日本の基幹産業であり広い裾野を持つ自動車産業が復興の先頭に立ち、経済の維持・発展に向けて貢献できるよう、この状況下で進められる準備を、将来を見据え着実に進めていくと述べた。

 

<医療現場および医療用品に対する支援>

  1. 医療用フェイスシールド(防護マスク)生産

    医療現場にて不足する医療用フェイスシールドを、試作型や3Dプリンターなどで製作し、医療機関へ提供する。具体的には、トヨタ自動車貞宝工場にて、試作型による医療用フェイスシールドの生産準備を進めており、週500~600個程度から、生産を開始する予定。加えてグループ企業でも生産が可能か検討を開始している。

  2. トヨタ生産方式(TPS)活用による医療機器メーカーの生産性向上への協力

    政府による日本自動車工業会(自工会)を通じた要請に基づき、医療機器メーカーによる人工呼吸器を始めとする医療機器の増産に対し、トヨタ生産方式(TPS)のノウハウ活用による工程改善など、生産性向上への協力を検討している。トヨタを中心にTPS支援チームを結成し、医療機器の大幅な増産などで困りごとを抱えている企業にすぐに支援に入れるよう、現在、製造者側を含めた関係各所と具体的な対応について調整を開始している。

  3. 軽症の感染者移送に対するサポートの検討

    東京都内を中心とした感染拡大地域において、軽症の感染者を他の医療機関や待機施設、自宅などに移送する際の運転者の感染を抑えるために、JPN TAXI等を中心に、車室内での飛沫循環を抑制する方法について、検討を開始している。

  4. サプライチェーンを活用したマスクなど衛生用品の調達支援

    政府による自工会への調達協力要請を受け、トヨタのサプライチェーンを通じ、医療用マスクや防護服、体温計など衛生用品の調達支援に向けた取組みを進めていく。

  5. 医療機関にて活用可能な備品の供給

    病院向けの簡易ベッド台、消毒液容器、医療機関等での簡易間仕切り壁など、医療機器以外で必要とされる備品の生産での協力の可能性について、アイシン精機株式会社が調査を開始している。

  6. 治療薬開発や感染抑制に向けた研究支援への参画

    治療薬開発や感染抑制に向けた各国の研究支援を目的に、カナダD-wave社が進める量子コンピューターの利用サービスの無償提供プロジェクトにデンソーが参画し、利用促進に向けた技術支援を行っていく。

 

<復興を牽引していくための企業体質改善に向けた取り組み>

感染拡大抑制策として、社会的に在宅勤務が推奨される中、製造業におけるオフィス勤務者の在宅勤務のあり方や生産性向上に取り組むとともに、生産現場では、需要減退による生産停止や縮小によって生まれる時間を活用し、今後の競争力強化につながる改善活動や人材育成などを積極的に進めることで、グループをあげて将来に向けた企業体質改善に取り組んでいくとともに、設備投資や研究開発費、必要人員などについても見直しを図り、さらにスリムでリーンな企業体質への脱皮を図ると説明した。

 

◆基本的な考え方

  • 無駄なことは、思い切ってやめる
  • より生産性を高めるために、やり方を変えていく
  • どのような状況でも「やるべきこと」はしっかりやる

 

◆主に事務・技術系職場での取り組み

  • 在宅勤務拡大に対応するネットワーク基盤強化やツールの整備
  • 生産性向上に資する働き方改革と在宅勤務ルールの確立
  • 人材育成の加速

◆主に生産系職場での取り組み

  • 生産停止や縮小によって生まれた時間を利用した改善活動と人材育成
  • 仕入先と一体となった生産ネットワーク維持と改善活動
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