トヨタは、工場環境と製品機能の向上を両立したアルミ鋳造技術を開発し、第66回「大河内記念生産賞」を受賞したと発表した。なお、トヨタとしては今回が3年ぶり、12回目の受賞となる。
大河内賞とは、公益財団法人 大河内記念会が毎年、生産工学、生産技術、生産システムの研究開発並びに実施等に関する顕著な業績を表彰する、伝統と権威ある賞の一つ。
今回トヨタが受賞したのは、エンジンの性能を左右するシリンダーヘッドの世界初となるアルミ鋳造技術で、シリンダーヘッドの冷却水路は、通常、中子(なかご)と呼ばれる砂を接着剤で固めた砂型で形成されているが、中子の製造方法として現在主流の技術は、接着剤として有機物質であるフェノール樹脂を使っており、鋳造時に臭気と煙が発生し、臭気ガスの処理のための大型脱臭設備が必要となる課題があった。
今回トヨタが開発したアルミ鋳造技術は、臭気や煙が発生しない無機物質の水ガラスを使用しているほか、複雑な形状にも対応可能で、砂が再使用できる世界初の技術。熱分解しない水ガラスを接着剤として、アルミ鋳造時における臭気濃度を1/100以下にすることに成功し、脱臭設備の投資を削減した。また、界面活性剤の働きでムース状にし、砂の流動性を改善することで、シリンダーヘッドの細く複雑な冷却水路を実現し、熱効率41%の新型エンジンの量産に大きく寄与しているのに加え、砂処理温度の低温化を実現したことで、CO2の排出量を従来の半分以下にした。