【ワンダー速報】ヴェルファイアオーナーが語るグランエースの良い点・悪い点  試乗インプレッション

試乗レポート

トヨタの4列シートミニバン「グランエースG」に試乗させていただきました。私は現行ヴェルファイアの前期型のエグゼクティブラウンジを所有していたことがあり、さらに最近ヴェルファイアZ Gエディションに試乗したばかりなので、アルファードやヴェルファイアと比較レビューをしてみたいと思います。

■エクステリアはまさに箱!

試乗車はグランエースG 車両本体価格は620万円から。

グランエースは3列6人乗り仕様のPremiumと、4列8人乗り仕様のGがありますが、どちらもエクステリアは同じです。

ボディサイズは全長5,300mm×全幅1,970mm×全高1,990mm、ホイールベース3,210mmと、センチュリーと同じくらい長いボディで、さらにスクエアなので余計に大きく見えます。

アルファードやヴェルファイアよりも大きなサイズのボディは駐車場からはみ出すくらい巨大。

一方、全長5mを超えるボディながら、FRなので最小回転半径は5.6mとかなり小回りが効きます。

RAV4の19インチホイール装着車の最小回転半径が5.7mなので、それより小回りってことになりますね。

フロントマスクは、アルファードやヴェルファイアとも一線を画する、ややシンプルな造形になっていて、ノアの上級モデルのような顔つきだと思いました。

グランエースにはアダプティブハイビームの設定はなし。ウインカーも豆球。

ヘッドライトはLEDですが、アダプティブハイビームは備わらずオートマチックハイビームに留まります。ウインカーも豆球。

このあたりはフルLEDヘッドライトでアダプティブハイビームも備わるアルファードやヴェルファイアのほうが優れている部分です。

ボディサイズは全長5,300mm×全幅1,970mm×全高1,990mm、ホイールベース3,210mmと、巨大な箱のよう。

サイドビューはまさに巨大な壁のような印象で、垂直に切り立った側面には、単調に見せないようにキャラクターラインやメッキモールが入っています。

PremiumでもGでも17インチタイヤ&アルミホイールが標準装備されていてデザインも一緒です。

リアから見ると特に箱型なのが強調される。スペアタイヤはボディ下に吊り下げられてるタイプ。

リアから見ても箱の印象は強く、スペース効率を最大限に取ったデザインだと思いました。

■運転席助手席の内装の質感はアルヴェルに軍配

運転席の内装を見てみると、乗り込む際に気になるのはフロアの高さ。

アルファードやヴェルファイアでもフロア高は高いですが、グランエースは更に高いです。

運転席へのアクセスもフロアが高いので、グリップ必須となる。

インパネやドアトリムなどの質感は、アルファードやヴェルファイアのほうが見た目に上質感があり、グランエースはやはり送迎目的として運転席はあまり重視していない印象です。

アジアを中心とした需要も高そうなクルマなので、メンテ性を重視してなのか電動パーキングブレーキではなくサイドブレーキになっています。

電動パーキングブレーキ非採用で、サイドブレーキとなる。

シフトノブやサイドブレーキの操作感も「よっこらしょ」と言いたくなるほど大味な感じで、上質感というのは感じられません。

この辺りはやはり商業車ベースだなと感じる部分です。

グランエースの運転席内装は、アル・ヴェルほどの質感や装備はない。ドライバーズカーとして乗るならアル・ヴェルを勧めたい。

また、シートヒーターこそ運転席助手席に備わりますが、シートベンチレーションの設定はありません。

これもアルファードやヴェルファイアのほうが優れている部分です。

■2列目以降の座り心地は?

続いてはグランエースの一番の特徴である2列目以降のシートです。

運転席が高いのはもちろん理解できますが、2列目以降もフロアの高さが同じくらいあります。

これはアルファードやヴェルファイア以上のフロア高です。乗り込むには階段を上がるような感じになります。

後席もフロアは高い。これはアルファードやヴェルファイア以上のフロア高。

試乗車のGの2列目のシートは、ヴェルファイアのZ Gエディションと同じエグゼクティブパワーシートが採用されています。

シートだけで見ればアル・ヴェルと同じなんですが、乗り心地はグランエースのほうが良いと思えるフシがありました。

私はつい最近ヴェルファイアの2.5Lで旅行に行く機会がありましたが、走行中の2列目のエグゼクティブパワーシートはシートバックがブルブルと常に揺れている感じでした。

どこかフロアか何かの共振が起こってしまっているんだと思いますが、本来なら一番の豪華シートである2列目があまり快適とは思えませんでした。

一方で、グランエースの2列目や3列目ではこうした不快なブルブルは感じませんでした。

エグゼクティブパワーシートは、シートヒーター・オットマン完備。

グランエースGの3列目以降は、2列目シートとは異なり、かなり簡素化されます。4列全て座れるように設定すると、それぞれのシートの膝前にはコブシ1.5個分くらいずつしか空きませんが、それでも十分実用的に座れるスペースは確保されています。

3列シートSUVの窮屈さよりは数倍まともです。

3列目シートも十分に快適だが、4列目まで使うとそれぞれのシート足元にはコブシ1.5個分程度のスペースとなる。

特筆すべきは、USBポートが各席にしっかり用意されている点です。

アルファードやヴェルファイアではUSBポートが前席含めて不足気味で、オプションを付けないと2列目3列目には1つもないという状態です。

それに比べ得るとグランエースはスマホの充電事情にも対応した数のUSBポートが確保されているのは良いですね。

後席の中央は大人でも十分ウォークスルーでき、4列目までアクセスできる。
■走りは意外と静か、ただし運転支援は△

続いては、試乗へと繰り出しますが、グランエースに搭載されるパワートレインは1種類のみで、直列4気筒2.8Lディーゼルターボエンジンに6速ATが組み合わされています。

最高出力 130kW(177ps)/3,400rpm、

最大トルク 450Nm(46.1kgm)/1,600〜2,400rpm

WLTCモード燃費 10.0km/L

というスペックですが、ディーゼルの割には低回転トルクが薄いなというのが正直な感想で、発進加速では2名乗車にも関わらず3,000rpmまで回ってしまいます。

ただ、回しても騒音や振動は上手く抑えられているので、それほどディーゼル特有のカラカラ音が車内に入ってくるわけではありません。

乗り心地に関してはかなり良いなと言う印象でしたが、FRのせいかステアフィールは軽めでくるくる回ります。それ故、大きなボディとロングホイールベースなのに小回りが効きますが、内輪差には注意が必要ですね。

信号停止時に止まっても、ブレーキホールドが無いのでブレーキペダルを踏み続けなければならないのは、600万円を超えるクルマとしては物足りなさを感じます。

今回も高速道路での試乗もさせてもらいましたが、料金所からの合流加速では床まで踏み込んでもキックダウンスイッチがありませんでした。

2.7トンを超える車重のため、加速感はそれほどでもありませんが、回転フィールはディーゼルとしては高回転側に渋さもなく、騒音振動面でも悪くない印象でした。

ただ、この日は風が強かったので2mある全高で箱型のボディは横風で煽られる感が強く、なおさらステアフィールがもっとドッシリしていればと感じました。

ステアリングの中立付近の座りが軽過ぎで、高速域では昔のトヨタ車のようなスカスカなステアフィールに感じました。

デジタルインナーミラーは標準装備。後席に人を乗せるグランエースではこうした装備はありがたい。

高速道路では、レーダークルーズコントロールを試してみましたが、電動パーキングブレーキ非採用のためか、30km/h以下ではキャンセルされてしまうタイプになっていました。

また、白線の中央を維持するように走るレーントレーシングアシストは非採用で、はみ出しそうになったら戻す制御が入るレーンディパーチャーアラートに留まります。この点でもアルファードやヴェルファイアなどのほうが優れていると感じました。

いくら送迎用メインのクルマとは言え、運転支援装備が充実していないのは600万円以上するクルマとしては物足りなく感じます。

プロが運転するにしても、運転支援装備が充実しているに越したことはありません。VIPを乗せるのであれば、なおさら安全性が高いクルマであるべきだと思います。

■グランエースは個人よりは法人向け

試乗をして感じたのは、ドライバーズカーとして一般の家庭で使用するには、アルファードやヴェルファイアのほうが断然オススメということです。

大きすぎる車体はそもそも家庭向きではありませんし、運転支援や安全装備が明らかに劣るのであれば、積極的に選ぶ理由も無いです。

それでも、「大きいクルマが好き」とか「あまり周りが乗ってないクルマがいい」という人も一定数いるようで、個人で買われるお客さんもいるのだとか。

法人用途として送迎車に使用するのであれば、2列目のブルブルも無いことから、アルファードやヴェルファイアよりもグランエースを勧めたい部分もあります。

試乗車もほとんどないクルマなので、気になっている方は動画も併せて見ていていただければと思います。

 

 

[ドラヨス]
月間100万PVのブログ「ワンダー速報」と、月間100万再生以上のYouTubeチャンネル「ワンソクtube」の管理人。
クルマ買うチューバーを自称し、年に何台もクルマを購入してレビューするスタイルが好評。

ワンダー速報ブログ:https://wansoku.com/

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