【遠藤徹の業界ココに注目】国内新車需要、本当はどうなっている?

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国内新車需要のいかんは数字的だと、登録、届出時のナンバー取得台数で公表されている。これは概ね実需を証明しているといえるが、最近はかなりずれが発生している。サプライヤーからの半導体を中心とした部品供給が遅れ、自動車メーカーが実際の受注台数を生産できず、ユーザーにスムーズに納車ができない実情が生じているためだ。

販売店が受注しても納車に半年以上、場合によっては1年余りもかかるモデルが続出している。バックオーダー台数は毎月の販売台数の20%以上も存在すると推定できる。週末を中心に首都圏にある新車販売店を回って見ると、多くの店舗はユーザーが訪れ、営業スタッフと商談する風景をよく見かける。中には購入交渉を申し入れると、かなり待たされるケースも珍しくない。実需は相当に上昇傾向にあるに違いない。

それなのに毎月公表される登録&届出実績は、前年同月実績を大きく下回っている月がほとんどなのである。あまり待たされると下取り車がある場合は車検を取ってしまい、キャンセルするケースもある。販売店はユーザーをつなぎとめるために、車検料金の割引をしたり、無料で代車を貸出したりしている。中には新車の代わりに中古車を販売するケースもある。このため中古車ニーズが高まり、タマ不足で中古車価格が跳ね上がっている。

また、ニューモデルの投入計画にも影響を与えている。予定通りに生産開始ができず、発売を先送りする車種も目立っている。発表はするが、発売を先送りするケースもある。正式な発売まで可能な限り受注台数をためておきたい狙いもある。正常化するにはあと2年程度必要と予想する販社もある。

(遠藤 徹)

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