【第41回JAIA試乗会レポート②】Google搭載で魅力を増したボルボ・XC60

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XC60は、ボルボ・ラインアップの中核となるミドルクラスSUV。全長4710×全幅1900×全高1660mmで、全幅がやや大きいがボディ全体としては日本の環境でも扱いやすいサイズといえる。

このXC60、昨年の9月にマイナーチェンジされたが、その大きな変更点はインフォテインメントシステムを刷新したこと。ボルボは、これまで「SENSUS(センサス)」と呼ぶボルボ独自のインフォテインメントシステムを搭載してきたが、これに代わってGoogleを搭載したAndroidベースの新型インフォテインメントシステムが新たに搭載された。

センターディスプレイのサイズは9インチで従来と変わらない

これによりGoogleマップやGoogleアシスタントなど、Googleのサービスをそのまま利用することが可能になった。もちろん従来のSENSUSでも、スマホを接続してAndroid AUTOを利用することは可能だったが、新システムでは車両側がスマホになったと考えればよい。いちいちスマホを接続する必要なく、多彩なサービスを利用できるという事だ。まだ搭載がスタートしたばかりで日本語への対応はこれからという段階だが、クセのあるSENSUSよりも使いやすくなることは間違いないだろう。試乗時間が限られていたため十分に検証することは出来なかったが、大いに期待されるところである。

メーター内にも地図が表示されるが、ちょっと文字が小さい

さて、現在のXC60のラインアップは、2Lターボ+48Vマイルドハイブリッドの「B5」と、これにスーパーチャージャーを加えた「B6」、2Lターボ+スーパーチャージャー+モーターという組み合わせのプラグインハイブリッド「T8」という構成。今回は「T8」に試乗した。

モーターは前後2つで、フロントは最高出力34kW、リヤは65kWのモーターを搭載。フロントはエンジン+モーター、リヤはモーターのみで駆動するが、エンジン単体でも233kW(318ps)とかなりパワフル。ちなみに全長が4710mmと同じサイズの三菱アウトランダーPHEVの場合、エンジン出力は98kWで半分以下だが、前モーターは最高出力85kW、後モーターは100kWでXC60よりもハイパワーなモーターを搭載している。同じ前後2基のモーターを備えたSUVのPHEVといっても、システムの構成は大きく異なるのが面白いところだ。なお、EVのみでの走行距離はXC60の40.9kmに対し、アウトランダーPHEVは87kmと倍以上になる。大きく見るとアウトランダーPHEVはBEV寄り、XC60はHV寄りといったところだろうか。

それはさておき、実際に走らせてみるとパワフルなエンジンを搭載するだけあって、発進から高速域まで淀みなく、極めてスムーズな加速が心地よい。さらにアクセルを一気に踏み込めば、下手なスポーツカー顔負けの鋭い加速感。本来は高速での長距離クルージングで本領を発揮するモデルだが、非日常的な楽しさを味わえるのも魅力といえるだろう。

ボルボらしい上品な室内空間

乗り心地は滑らかで、室内の静粛性の高さも特筆できるレベル。北欧家具を思わせる上質な雰囲気の中で、静かに心地よく過ごすことが可能だ。価格は959万円で手頃とは言い難いが、それだけの価値はある実力モデルである。(鞍智誉章)

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