【遠藤徹の業界ココに注目】内燃機関はなくしてはいけない

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2030年代に向けて、カーボンニュートラルは必至の情勢となっている。電気自動車や燃料電池車が主役であり、ガソリン、軽油をメインとした内燃機関はやがて消滅するといった状況が予想されている。しかしながら、これほど低コストで利便性の高い内燃機関はなくすべきではないとの声も根強い。

内燃機関を残しながら、カーボンニュートラルを達成する方法はないのだろうか。あると指摘したい。水素などの代替燃料によって対処が可能といえる。航続距離などの課題があるが、クリアできないことではあるまい。それができるようになれば、燃料供給施設など、従来のスタンドも使え、投資も少なくて済むに違いない。当然のことながら電気自動車との共存を図るべきである。

電気自動車も課題がある。火力発電に頼っていてはカーボンニュートラルが達成できない。コストや航続距離の問題もある。国や地方自治体の補助金の増額でコストも安くなるが、それにずっと頼るわけにはいかないだろう。

IT産業など他分野からの参入もあり、百花繚乱時代も予想される。内燃機関は自動車のピラミッド構造を構築し、今や国内でもファミリーも含めて550万人が携わっている。電気自動車が主役になれば、部品の大幅な減少と構造変化によって、生き残れないサプライヤーも多数出現することになる。

国内で販売されているクルマは新車と中古車合わせて年間約1000万台存在する。その90%以上が内燃機関によるモデルである。電気自動車に置き替われば、流通、アフターケアにも新たな課題が生じることになる。中古車になってからのバッテリー、モーターなどの価格や品質保証はどうなるだろうか。

(遠藤 徹)

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