フェラーリ「デイトナSP3」を発表 フェラーリ史上最強840馬力、最高速340km/h以上

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フェラーリは11月21日、イタリアのジェロ・サーキットで開催されている「2021年 フェラーリ・フィナーリ・モンディアーリ」において「Icona」シリーズ」の新モデル「デイトナSP3」を発表した。

 

 

【1960年代に活躍したスポーツプロトタイプからインスパイア】

フェラーリは、1967年にデイトナ24時間レースでトップ3を独占。330 P3/4、330 P4、412 Pが横一列で並びチェッカーフラッグ受けたシーンは伝説となっている。「デイトナ3」は、1960年代に活躍したスポーツプロトタイプにオマージュを捧げた限定生産のタルガモデル。肉感的なフォルムとシャープなラインが交錯するボディは、330 P4や350 Can-Am、512 Sなどのレーシングカーに通じるものがあるという。着脱可能なハードトップを備える「タルガ」ボディも、スポーツプロトタイプの世界に倣って採用された。

頂点が二つあるフロントフェンダーは、512 S、712 Can-Am、312 Pといった過去のフェラーリ・スポーツプロトタイプの彫刻的エレガンスを参考にしており、エアボックスが内蔵されたバタフライドアでは、サイドに搭載するラジエーターへと空気を導き、結果的に生まれた彫刻的なフォルムによってドアに明確なショルダーができ、そこに配置されたエア・インテークがウインドスクリーンの垂直なカットと視覚的につながっていく。また、ドアの前端はフロント・ホイールアーチの後部を形成しており、ドアの特徴的な表面は、フロントタイヤから出る気流の制御にも役立っている。この表面の処理も512 Sといったレーシングカーを強く想起させる。

フェンダーミラーの位置は、1960年代のスポーツプロトタイプを思わせる、ドアの前方からフェンダーの頂点へ移動。この位置は、視認性を高め、ドア・インテークへの気流に及ぼす影響を減らすために選ばれた。ミラーのカバーと支柱は、これに特化したCFD(数値流体力学)シミュレーションを行って、インテークへの流れを阻害しない形に整えられた。

フロント・バンパーには広いセンターグリルが設けられ、これを挟む2本のピラーと上下に並ぶ水平ブレードを、バンパーの外縁が取り囲んでいる。ヘッドライト・アッセンブリーは上部の可動パネルが特徴となっており、初期スーパーカーのポップアップ式ヘッドライトを想起させる。

リアには複数の水平ブレードを採用し、テールライト・アッセンブリーはスポイラー下の輝く1本の水平なバーを形成し、ブレードの1列目に組み込まれている。ディフューザ上部の中央にはツイン・テールパイプが配置され、デザインを引き締めている。

 

 

【フェラーリ史上最高の840cvを発生する自然吸気V12エンジン搭載】

パワーユニットは、フェラーリ史上最高の840cvを発生し、最大トルク697Nm、最高回転数9500rpmを達成する、自然吸気V12エンジンをミッドリアに搭載する、レーシングカーの典型的レイアウトを採用。吸排気レイアウトと流体力学上の効率性を最適化している。

特に、エンジンの重量と慣性の削減に注意が注がれ、スチールより40%軽量なチタン製コンロッドを採用し、ピストンにも異なる素材を活用。新ピストン・ピンにはダイヤモンド・ライク・カーボン(DLC)コーティングを施し、摩擦係数を下げて、パフォーマンスや燃費を向上した。クランクシャフトはバランス取りを行ったほか、3%軽量化された。バルブを開閉するのはF1から派生したスライディング・フィンガーフォロワーで、質量を削減し、よりハイパフォーマンスなバルブ・プロフィールを利用するために開発された。吸気システムは再設計され、経路全長を短縮。高回転域でさらに強大なパワーを発揮する。これにより、フェラーリ史上最強の最大出力840hp/9250rpm、最大トルク71kgm/7250rpmを実現する。

トランスミッションは7速デュアルクラッチ「F1」を採用。専用の戦略を開発したことで、シフトチェンジがいっそう素早くなり、操作感も向上した。

【F1の技術を活用した完全コンポジット製のシャシー】

シャシーはF1の技術を活用した完全コンポジット製で、シートはシャシーと一体化しており、重量削減とともにレーシングカーに似たドライビングポジションを実現している。シートがシャシと一体化しているため、ドライビングポジションは他のフェラーリのラインアップモデルより低く、シングルシーターと似たポジションとなっている。これにより重量削減のほか、全高を1142mmに抑えることができ、ドラッグが低減。ペダルボックスは調整可能なため、ドライバーは最も快適なポジションを見つけられるという。

ステアリング・ホイールには、既にSF90 ストラーダ、フェラーリ ローマ、SF90 スパイダー、296 GTB4に導入されているものと同じヒューマン・マシン・インターフェース(HMI)を採用。タッチコントロール式のため、ドライバーは手を動かさずに昨日の80%を操作でき、16インチの曲面HDスクリーンに、ドライビングに関するすべての情報が即座に表示される。

エアロダイナミクスの研究と設計では、インスピレーションの元となったレーシングカーと同様に、純粋にパッシブ式の空力ソリューションのみを活用して効率を最大化することに注力した。アンダーボディから低圧の空気を抜き出すチムニーなど、前例のないソリューションによって、可動式の旧力デバイスを使用せずに、フェラーリ史上最も空力効率に優れたモデルとなった。これらの革新的技術の導入により0-100km/h加速2.85秒、0-200km/h加速わずか7.4秒を達成している。

【「デイトナ SP3」主要諸元】

  • エンジン:65度 V12 DOHC
  • 総排気量:6496cc
  • ボア・ストローク:94×78mm
  • 最高出力:618kW(840cv)/9250rpm
  • 最大トルク697Nm/7250rpm
  • 最高許容回転数:9500rpm
  • 圧縮比:13.6:1
  • トランスミッション:7速DCT
  • 全長×全幅×全高:4686×2050×1142mm
  • ホイールベース:2651mm
  • 乾燥重量:1485kg
  • 重量配分:44%フロント/56%リア
  • タンク容量:86L
  • タイヤサイズ:前265/30ZR20、後345/30ZR21
  • 車両価格:200万ユーロ
    ※数値はすべて欧州仕様値
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