【河村康彦 試乗チェック】プジョー・3008GTハイブリッド4 スポーツカーに比肩する加速

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新たな顧客層を吸引!? 300PSのプラグイン・ハイブリッド

プジョーからローンチされた最新のプラグイン・ハイブリッドモデル、『3008GTハイブリッド4』をテストドライブした。

現行型3008が発表されたのは2016年で、日本への導入開始は2017年の3月。今回取り上げるのは、フロントマスクを大きく変更するなどライフ途中の大幅リファインが施されたモデルをベースに、「プジョー市販モデルで最強」が謳われる300PSという出力を発するプラグイン・ハイブリッドシステムが与えられた、シリーズの新たなフラッグシップ・モデルである。

車名末尾の“4”の文字が示唆をするように、このモデルは後輪がモーター駆動される4WDシャシーの持ち主。純エンジン・モデルはいずれも前2輪駆動なので、「3008シリーズで唯一の4WDモデル」ということになるのも大きな特徴だ。

すべてのパワーユニットは対等な存在、というプジョーのポリシーに則り、電動化が図られてもそのルックスは基本的に“エンジン車”と同様。実際、テールゲートのエンブレムを見逃すとこのモデルの凝った心臓部を知ることは困難。ただし、インテリアでは専用のメーターグラフィックから“それ”を知ることが可能だ。

WLTCモードで64㎞というEV航続距離を実現する容量13.2kWhの駆動用バッテリーの充電状態が良好である限り、駆動力の基本は後輪用モーターが担当。最高出力が81kW≒112PSと大きいので、通常の加速はこれで十分。すなわち、圧倒的に静かでスムーズな“完全なEV”としての振る舞いを示すことになる。

ハイブリッド4のインテリア
プラグイン・ハイブリッドシステム

一方、特に機敏な加速が必要となってアクセルペダルを踏み加えれば“300PS”が実感できる強力パフォーマンスが印象的。実際、最高200PSを発するターボ付き1.6リッター・エンジンの威力が上乗せされた際の0~100㎞/h加速タイムはわずかに5.9秒に過ぎないというから、これはもはや一級のスポーツカー並の速さの持ち主なのである。

かくしてシリーズ内でも異端児のこのモデルは、価格も“規格外”という水準。が、だからこそこれまでのプジョー・ユーザーとは異なる新たな顧客層を開拓できそうな、注目の1台でもある。

(河村 康彦)

〈車両本体価格:565万円〉

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