まもなく本格EV普及期到来?bZ4Xから始まるトヨタのEV攻勢

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各社から新型EVが続々と登場する中、いよいよトヨタも本格始動。新EVシリーズ第1弾としてbZ4Xコンセプトが披露され、期待は高まる。兄弟車となるSUBARU「ソルテラ」とあわせ、1年後の発売が大いに楽しみなところだ。(編集部)

 

22年からトヨタ/スバルがEV市場に本格参入

EV(電気自動車)で先行する欧州自動車メーカーに比べ、EVに関してはやや慎重な取り組みに見えたトヨタだが、2025年までに新型EVシリーズ「TOYOTA bZ」7車種を含むEV15車種を導入する計画を発表、その新シリーズ第1弾モデルとなる「bZ4X」を今年4月の上海モーターショーで発表した。

このbZ4Xはスバルとの共同開発。スバルでは「ソルテラ」の車名で販売される。細部のデザインやスペック等は多少異なる可能性はあるが、おそらくトヨタ86/スバルBRZのような関係になるだろう。発売は22年年央が予定されている。

 

オフロード色の強いRAV4似の性格?

このbZ4X/ソルテラはCセグメントのSUVタイプ。このクラスは、既に登場しているメルセデスのEQAやマツダMX-30EV、間もなく登場する日産アリアやアウディQ4 e-TRON、ボルボC40等、新世代EVがひしめき合う超激戦区。そこに割って入っていくということになるから、価格も含めてかなり競争力のあるモデルとなることが期待できそうだ。

さて、そんなことを踏まえつつ、bZ4Xを見てみよう。まだコンセプトカーとして披露された段階ではあるが、発売時期を考えれば市販モデルに近いはずだ。

まず外観はRAV4によく似たイメージ。ボディサイズは一回り小さいが、SUVらしいスタイル。新世代のEVはエンジン車と変わらないオーソドックスなスタイルを採用したモデルが多いが、bZ4Xも同様といえる。スバルと共同開発した新AWDシステムの搭載による「高い走破性」も特徴の一つとしているから、都市型のハリアーよりもオフロード色の強いRAV4にデザインのイメージを寄せているのも自然な流れといえるかもしれない。

トヨタ「bZ4Xコンセプト」。全体のプロポーションはRAV4に似ている
リヤもオーソドックスなSUVスタイル。マフラーがないことを除けばEVと気が付かないかも

 

室内空間は、新開発のEV専用プラットフォーム「e-TNGA」を採用したことでDセグ並みの広い室内空間を実現したとしている。実際の広さ感はよくわからないが、画像を見る限り足元空間は広そうだ。

インパネ周りは機能的でスッキリとまとめられている

一方で、室内で最も特徴的なのは独特の形状をしたステアリングホイール。電子制御でハンドル操作を車輪に伝えるステアバイワイヤ方式としているからこそ実現できるデザインといえる。ただ、ハンドルをクルクル回してクルマの向きを変えることに慣れたドライバーにとっては少々違和感があるかもしれず、このまま市販化されるかは微妙なところではある。

特徴的なステアリング。飛行機の操縦桿を思わせる
シフトレバーはコンパクトな丸型タイプになっている

意外に感じられたのは、ドアミラーはデジタルアウターミラーではなく通常タイプであること。トヨタは量産車では世界で初めてレクサスESにデジタルアウターミラーを採用したメーカーである。その後、トヨタ/レクサスでは採用が進んでいないが、Honda eやアウディe-TRONなど他社では採用モデルも徐々に登場していることもあり、新世代EVには搭載されても良さそうなものなのだが、視認性などを含め、まだ発展途上の技術であるのは確かで、ここは慎重に、ということなのだろうか。

バッテリーの容量やモーターの出力といったスペックはまだ未公表。ただソーラー充電システムを採用するほか、冬場でもお客様に不便を感じさせない航続距離を確保するとしていることから、60~90kWh程度のバッテリーを搭載、最大航続距離は450~600km程度になるものと予想される。おそらく欧州の競合モデルと同程度のものとなるだろう。

 

本格販売は23年からが濃厚

発売はbZ4X/ソルテラともに、22年年央までにグローバルでの販売を開始するとしているが、現在の状況やトヨタの電動車戦略の目標値からみるとデリバリーは欧州や中国をまずは優先することになりそうだ。

日本では22年内に発売するものの、バッテリーの供給量が限られることもあって、RAV4PHVのように台数を絞ってのスタートとなることが予想される。このため、本格的なデリバリーは23年からと想像される。市場ニーズやインフラの状況を見つつ段階的に進めていくこととなるだろう。

ただ、トヨタはこのbZ4Xを皮切りに、25年までにbZシリーズ7車種を展開するとしていることから、その後は短期間でEVラインアップが充実しそうだ。

気になるのはトヨタではbZシリーズのパートナーとして、スバルの他ダイハツ、スズキ、BYDを挙げていること。BYDはバッテリーの開発・供給と中国での販売車での関係となりそうだが、注目はダイハツ、スズキ。軽自動車やコンパクトクラスでの新型EVも近いうちに登場する可能性が高い。7車種全モデルが国内で販売されるわけではないかもしれないが、ハイブリッドに続き、EVでもトヨタが大きく存在感を示すことになりそうである。

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