見た目がかっこいいだけでなく、悪路走破性の高さや多用途な使い勝手などから、幅広い世代から人気を集めているSUV。2000年代はミニバンがファミリーカーの代名詞的な存在であったが、SUV人気の高まりから、ここ数年で3列シートを備えたミニバンに近い機能性を持つモデルも増えてきた。そこで今回は、いま買える3列シート国産SUVを紹介するとともに、どれくらい実用的なのか考察してみた。
■マツダ・CX-8
マツダSUVの最上位に位置づけられるモデルとして2017年末に発売。3列シートは全車に標準装備されており、発売当初は2.2Lディーゼルエンジンのみの設定であったが、現在はガソリンエンジンも選択できるようになった。
2列目シートは、3人掛けベンチシート(7人乗り)と独立したキャプテンシート(6人乗り)を設定し、3列目を使用した状態で239L、格納すると572Lの荷室容量を実現。3列目は床下に格納されるので床面がほぼフルフラットになり、使い勝手も高い。2列目の格納時の床面は多少の段差が生じるものの、格納することで約2mの奥行きが生まれ、長尺物の収納をはじめ、マットレスなどの工夫次第では車中泊も問題なくできそうなスペースとなっている。そもそもCX-8はマツダがミニバンから撤退するにあたり、その代替として登場したモデルだけあって、今回紹介するモデルの中では一番実用的と言える。
【車両価格】299万4200円~510万9500円
■トヨタ・ランドクルーザー/レクサス・LX/ランドクルーザープラド
ランドクルーザー/プラドともに、グレードによって2列および3列シートを設定。プラドはディーゼルエンジンモデルも選択できる。
3列シート仕様車の室内長は2台とも2520mm(LXは2760mm)であるが、ランドクルーザーとLXの3列目は跳ね上げ、プラドは床下格納と、3列目の格納方式が異なるが、いずれも3列目を使った時の荷室は狭い。
さらに、室内高が低いため体育座りのような着座姿勢になりがちということも留意しておきたいポイント。基本的には2列目までの使用で、3列目はいざと言う時の補助的な使い方と割り切りが求められる。
【車両価格】ランドクルーザー=482万6800円~697万4000円/LX=1135万6481円/プラド=362万1000円~553万円
■レクサス・RX450hL
2015年から発売されている現行モデルに、2017年末に3列シート仕様の「450hL」を追加。パワートレインは今回紹介するモデル中で唯一のハイブリッドで、2列シートモデルに比べ全長を110mm拡大し、2列目シートは3人掛けベンチシート(7人乗り)と、独立したキャプテンシート(6人乗り)仕様が選択可能。価格はいずれも796万円となり、2列シート仕様車との差額はおよそ40万円となっている。
3列目の居住性は高くないものの、電動で床下に格納可能で、格納することで2列シート仕様車より広い荷室スペースが生まれる。広い荷室と、補助席的な3列シートを持ったモデルと言える。
■日産・エクストレイル
ガソリンエンジンモデルの20Xiと、AUTECH i Packageに3列シート仕様車を設定。しかし全長は2列シート仕様車と同じで、3列目に大人が座るには窮屈な印象だ。シートの座面や背もたれもフラットなため座り心地は良くないが、床下に格納可能で、フラットな荷室にできる利点も持つ。
フル乗車時の荷室は狭いが、2列目まで倒したり、3列目を片側だけ倒すなど工夫次第で使いやすくなる。2列シート仕様車との価格差は約7万円と、今回紹介するモデルの中では一番差が少ない。
【車両価格】323万5100円~368万600円
■ホンダ・CR-V
ガソリンエンジンモデルに3列シート仕様車を設定。室内長はランドクルーザー/プラドと並んで2520mmと、今回紹介するモデルの中では一番短くなっている。3列目の居住性は大人が長時間座るには厳しく、3列目シートを展開した状態での荷室容量は150Lで、SUVとしては使い勝手は良くない。2列目と3列目を倒すと床面はフラットになり、荷室後部のボードを上段にすれば荷室との段差も解消できる。
2列シート仕様車との価格差は約20万円。3列目の居住性は低く荷室の大きさもほぼ同じなので、2列シート仕様車の選択が間違いなさそうだ。
【車両価格】355万6300円~418万8800円