トヨタ、日産、ホンダ…国産車各ブランドの販売台数ランキング

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2021年1月から3月まで、毎月発表される車名別販売台数を合計し1月から3月までの累計販売台数で国産各ブランド別にランキングを作成してみた。順位づけは登録車、軽自動車を分けることなく、ブランドごとに一番売れたクルマと、販売台数の少ない“少数派モデル”も紹介する。

(データ出典:日本自動車販売協会連合会、全国軽自動車協会連合会)

《トヨタ》鉄壁のラインアップ=ヤリス

ベスト5=ヤリス:6万7541台

ルーミー:3万9397台

アルファード:3万4104台

カローラ:2万9206台

ハリアー:2万7611台

少数派モデル=センチュリー:6台

C+POD:24台

グランエース:112台

※乗用車販売における軽自動車の比率:約1.4%

ヤリスクロス

5ドアハッチバックのヤリス、ハイパフォーマンスバージョンのGRヤリス、SUVのヤリスクロスで合算される「ヤリス(シリーズ)」が、トヨタブランドではトップ。2位以下を約2万8000台引き離す、まさしくブッチ切りの圧勝だ。人気のSUVを含むシリーズ構成が幅広いニーズに応えているといえる。

2位はスライドドアを持つハイトワゴンのルーミー。毎月1万台以上が確実に売れている。取り回しの良いボディサイズに、スライドドアがもたらす乗り降りのしやすさ、ミニバンに迫る利便性の高さが受けている。驚くべきことに、トヨタ最高峰のミニバンのアルファードも、ルーミー同様に毎月1万台が確実に売れている。4位のカローラもセダンとステーションワゴン(カローラツーリング)、ハッチバック(カローラスポーツ)と併売されている旧型(アクシオ、フィールダー)の合算だ。これにタイで発売された“SUVタイプ”が、仮に国内に投入されるようなことがあれば、今後、数字が大きく跳ね上がることも予想される。

一方、少数派モデルのうち、C+PODは現在、法人や自治体向けに販売される二人乗りの超小型電気自動車(EV)。このモデルはクルマを売るだけでなくEVによる新たなビジネスモデルの構築にも取り組んでおり、現在のEVの“ネガティブ要因”が解消されるビジネスモデルが出現すれば、EVがもっと気軽なモビリティになるかもしれない。

《レクサス》FRスポーティセダンの面目躍如

ベスト5=IS300h:2428台

NX300h:1509台

RX300:1512台

RX450h:1249台

LS500h:1034台

少数派モデル=RC350:27台

RCF:34台

LC500h:46台

※乗用車販売における軽自動車の比率:0.0%

IS300h

レクサスブランドでは、SUVモデルを抑えてスポーティFRセダンのIS300hが最も売れたモデルとなった。5位にはフラッグシップセダンのLSが入り、セダン離れといわれる中、セダンモデルが健闘している。2~4位はSUVではコンパクトサイズのNXとRXの2.0リッターターボ(RX300)とハイブリッドが(RX450h)が僅差で分けた。

少数派モデルでは、フラッグシップの一角を担うLCやエンスージアスト向けの“F”モデルということもあるが、奇しくもクーペモデルが並んだ。レクサスらしくスポーティかつ優美なスタイルを持つクーペモデルを揃えたが、やはりここでも人気はSUVということか。

《ホンダ》N-BOXがダントツ1位

ベスト5=N-BOX:6万2124台

フィット:2万902台

フリード:2万692台

N-WGN:1万6832台

ステップワゴン:1万3089台

少数派モデル=クラリティ:9台

レジェンド:84台

Honda e:272 台

※乗用車販売における軽自動車の比率:約54.3%

N-BOX(左)とN-BOXカスタム

ホンダブランドのトップは、2位以下を約4万1000台引き離した、軽自動車のN-BOXで圧倒的な人気だ。N-BOXが従来の軽自動車の概念を超えた安全装備や走行性能で、リッターカーを凌駕するクルマであることは周知のこと。軽自動車のNシリーズはホンダのトップ10の中に3モデルもラインクインしている。

フィットが登録車トップの座を守っているものの、販売店ではフィットを検討しているお客さんが、N-BOXに決まることも少なくない、との声も聞かれ、N-BOXの魅力は計り知れない。今回は3月までの集計での順位だが、フルモデルチェンジしたヴェゼルが4月以降の順位で上位に食い込んでくるか興味深いところだ。

少数派モデルでは、クラリティ(FCV:燃料電池自動車、PHEV:ブラグインハイブリッド車)があるが、このうちFCVは企業や自治体向けのリースで販売をスタートし、昨年6月より個人向けリース販売がスタートしたところ。Honda eは、昨年8月に発売された都市型コミューターのピュアEV(電気自動車)で、充電中の車内の過ごし方も考慮された新しい発想から生まれた。こちらも生産台数が限られているため、一定期間で注文を受け付けている。

《日産》軽スーパーハイトワゴン、ルークスがノートを抑える

ベスト5=ルークス:3万3377台

ノート:2万8130台

セレナ:2万1212台

デイズ:2万601台

エクストレイル:4664台

少数派モデル=シーマ:23台

フェアレディZ:133台

フーガ:208台

※乗用車販売における軽自動車の比率:約47.3%

ルークス

日産では、軽スーパーハイトワゴンのルークスが、ノートに約5200台の差をつけ1位となった。3位はミドルサイズミニバンのセレナ。登録車ではエンジンが発電した電力を使いモーターで走るe-POWERが支持を集めている。4位には軽ハイトワゴンのデイズも入り、トップ5に軽自動車2モデルが入り存在感を示した。この上位4モデルが2万台以上を販売し、現在の日産の主力モデルといえる。

少数派モデルは、フラッグシップセダン(シーマ)、ラージクラスセダン(フーガ)、趣味性の高い2シータースポーツカー(フェアレディZ)…と、当然ながら個人ユーザーではおいそれと手が出ないモデルばかりだ。

《マツダ》SUVを中心に僅差の順位で人気伯仲

ベスト5=CX-5:9471台

MAZDA2:8907台

CX-30:8496台

CX-8:7938台

MAZDA3:6614台

少数派モデル=スクラムワゴン:446台

MAZDA6:900台

キャロル:1222台

※乗用車販売における軽自動車の比率:約14.2%

CX-5

マツダブランドトップはミドルサイズSUVのCX-5だった。ベスト5のうち3モデル(CX-5、CX-30、CX-8)がSUVであり、改めてSUVの人気の高さを示した。コンパクトのMAZDA2が2位で、MAZDA3が5位につけた。MAZDA2は、コンパクトクラスでありながらクリーンディーゼル(1.5リッター)も設定し、選択の幅を広げている。

4位のCX-8は、SUVのフラッグシップモデルであり、3列シートを持つ。ミニバンをラインアップに持たないマツダにとっては、ミニバンを求めるユーザーの受け皿にもなっている。

また、マツダの特長として、販売台数に“大差”が見られないことが挙げられる。今回1~4位では500台前後で順位を分けている。それだけ、各モデルの人気が伯仲しているということだろう。

ちなみに少数派モデルのうち、スクラムワゴンはスズキ「エブリイワゴン」、キャロルはスズキ「アルト」のOEM車。数が少ないのも致し方ないところだ。

 

《スズキ》スペーシアがハスラーを退け1位に

ベスト5=スペーシア:4万7901台

ハスラー:2万7027台

アルト:2万449台

ワゴンR:1万8935台

ソリオ:1万6617台

少数派モデル=ランディ:208台

イグニス:720台

クロスビー:4543台

※乗用車販売における軽自動車の比率:約79.6%

スペーシア

コンパクトカー(軽自動車)が中心のスズキは、ランキング1位~4位を軽自動車が占めている。1位はスーパーハイトワゴンのスペーシアで、2位のハスラーに約2万台の大差をつけた。軽自動車の中でもスーパーハイトワゴンが絶大な人気を持つことを改めて示した。ハスラーも人気のSUVとして“先輩格”のアルト(ハッチバックタイプ)、ワゴンR(ハイトワゴン)を抑えて2位につけその人気は健在だ。

5位のソリオは登録車でトップ。コンパクトハイトワゴンではいち早く両側スライドドアを採用し、室内の広さ加え乗り降りのしやすさもアピールポイントに加えた。マイルドハイブリッド車も設定され、パワーユニットも選択できる。

少数派のランディは、日産「セレナ」のOEM。ただし、こちらにはe-POWERとプロパイロットは装備されないのが残念なところ。

《SUBARU(スバル)》高度運転支援システム採用のレヴォーグが首位

ベスト5=レヴォーグ:1万3261台

インプレッサ:8741台

フォレスター:7705台

シフォン:1462台

プレオ:1308台

少数派モデル=WRX:387台

レガシィ:449台

ジャスティ:626台

※乗用車販売における軽自動車の比率:約11.3%

レヴォーグ

SUBARUでは昨年10月にフルモデルチェンジしたばかりの“グランドツーリングモデル”レヴォーグが、2位以下に約4500台の差をつけて1位となった。今や国産モデルでは希少なステーションワゴンボディであり、長距離をストレスなく走ることができるグランドツーリングモデルであり、予防安全では新世代のアイサイトをはじめ、さらなる高度運転支援システム“アイサイトX”を採用することで、ドライバーの高速道路での運転負担を軽減させ、ストレスフリーのレベルをさらに一段上に上げた。

2位はハッチバックとセダンタイプのインプレッサ、3位はSUVのフォレスター。インプレッサは昨年10月の一部改良で、ハッチバックモデルにマイルドハイブリッドのe-BOXER搭載グレードが増えた他、STIの手により乗り味を磨き上げたSTI SPORTも加わった。フォレスターには昨年10月に一部改良が実施され、レヴォーグに搭載された1.8リッター直噴ターボエンジンを積むグレードが新設された。

SUBARUはコンパクトカー(リッターカーと軽自動車)はすべてダイハツからOEM供給を受けており、現在のジャスティはダイハツ・トールの姉妹車に当たる。「シフォン」はタント、「プレオ」はミライースのOEM車だ。

《ダイハツ》室内の広さと独自の利便性を持つタントがトップ

ベスト5=タント:4万2736台

ムーヴ:3万1600台

ミラ:2万527台

タフト:1万7976台

ロッキー:6847台

少数派モデル=アルティス:11台

コペン:811台

ブーン:1003台

※乗用車販売における軽自動車の比率:約90.5%

タント

国産乗用車9ブランドの中で、新車販売に占める軽自動車比率が最も高いダイハツは、上位を軽自動車が独占。人気のコンパクト(リッターカー)SUVのロッキーが5位につけた。1位のタントは、他メーカーでも人気の高いスーパーハイトワゴンタイプの軽自動車。助手席側の前後ドア間にあるピラー(柱)をそれぞれのドアに内蔵させ、前後ドアを同時に開けると柱のない大きな間口になる“ミラクルオープンドア”をいち早く採用。さらに、運転席と助手席がロングスライド機構をもたせ、車内での前後移動や運転席から後席(チャイルドシート)へのケア等、室内の使い勝手も向上させた。2位のムーヴはハイトワゴンのムーヴ/ムーヴカスタムと、ミニバンシルエットを持つムーヴキャンバスがある。

少数派モデルの「アルティス」は、トヨタ・カムリをOEM供給したモデル。ハイブリッド専用の上級4ドアセダン。街中でもめったに見かけないレア車だ。

《三菱》eKシリーズがほぼダブルスコアで1位

ベスト5=eKシリーズ:1万2763台

デリカD:5:6274台

エクリプスクロス:3173台

デリカD:2:1890台

アウトランダー:656台

少数派モデル=アイミーブ:12台

タウンボックス:147台

RVR:433台

※乗用車販売における軽自動車の比率:約50.9%

eKクロススペース

日産との合弁事業から誕生した軽自動車、eKシリーズ(eKワゴン/ eKクロス、eKスペース/ eKクロススペース)が1位。2位のラージサイズのミニバン、デリカD:5とはダブルスコアの状態。改めて国内の新車販売における軽自動車の人気の高さが感じられる。

2位でデリカD:5は、ミニバンのスタイルだがクリーンディーゼルエンジンを搭載し、三菱がラリー出場で磨き上げた卓越した四輪駆動性能の持ち主で、単なるファミリーカーにとどまらない、優れた走破性の持ち主。3位はクーペシルエットを持つSUV、エクリプスクロスで、アウトランダーと同じ機構を持つPHEV(プラグインハイブリッド)モデルも選べる。PHEVは、瞬時に駆動が伝わるモーター駆動の利点を活かし、走行安定性を高めている。

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