ユニックとクライスラーとパッカード

コラム・特集 車屋四六

仏ユニック社はジョルジュ・リシャールが1904年創業、39年迄存在したが、写真のユニックはロンドン警察の規則に合わせて製作したタクシー専用車だった。

世界に著名なロンドンのタキシーキャブの原型と推測出来るユニック・タキシーキャブ/1914年頃:英国製と思いきやフランスのユニック社がロンドンから依頼を受けて製作したもの。

前席には運転手用の座席が一個のみで反対側にドアはなく、後年ロンドンタクシーはこのレイアウトを基本にしたようだ。客席は必要に応じて幌で覆うようで、ランドージョイントが見える。
1908年に完成したモノブロック型直四エンジンは12/14馬力。ヘッドランプはアセチレンガス、車巾灯は灯油のようだ。そしてシャシーボディー共に頑丈この上なく大変好評だったという。

クライスラー・カスタムインペリアルCLシリーズ

この1933年型クライスラーは、カスタム・インペリアルCLシリーズ・フェートン/17.863台/$745: CTロイヤルエイト型/10.389台/$895~WB3048㎜、CQインペリアル型/3838台/$1275~WB3200㎜などの頂点に立つ写真は最高級CLインペリアルカスタム型/151台/$3295~WB3708㎜。写真はこの151台中シャシー販売6台とある1台で、コーチワークの名門ルバロン社架装、看板の$42000は飛び抜けて高価だが少々眉唾でもある。
水冷直列八気筒・排気量6300cc・135馬力。柔軟ゴムマウント付き発動機で、フローティングパワーと自慢していた。

パッカード2-23ランナバウト/1914年型:斬新な電気式ライト、車巾灯下の真鍮製ラッパも電気式警報機/プラカードの{マザーインロウ…}は現在のバケットシートだろう。英語では{義理の母}だからベンチシートで寄添うのは御法度で生まれた呼称だと思うが推測だから誰か正解を教えて欲しい。

1914年型パッカード2-23-Six型ランナバウト$3750:高級高品質目標のパッカードは常に斬新で、12年にはライトを電気式に。怪我人も出た危険なクランク始動を電気始動器にした発動機は12年登場の新鋭6気筒で、6800cc・60馬力/1700回転。シリーズ名の末端Sixはその証し。
2-23は廉価版で、上級の3-48は$5065~、最上級4-48の価格表示無しは注文生産だからだろう。ちなみに14年型フォードTランナバウトは$500で生産量3万5017台、写真の2-23-Sixランナバウトは441台だった。

 

車屋四六:1960年頃よりモーターマガジン誌で執筆開始。若年時代は試乗記、近頃は昔の車や飛行機など古道具屋的支離滅裂記事の作者。車、飛行機、その他諸々古い写真と資料多数あり。趣味はゴルフと時計。<資格>元JAFスポーツ資格審査委員・公認審判員計時一級・A級ライセンス・自家用操縦士・小型船舶一級・潜水士等。著書「進駐軍時代と車たち」「懐かしの車アルバム」等々。

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