今や全体の1%のみ 国産乗用車のMT販売比率を調べてみた

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日本自動車販売協会連合会(自販連)が発表した最新の新車登録台数年報によると、2019年に発売された国産乗用車の98.6%がAT(オートマチック・トラスミッション)車であった。1985年のAT車は48.8%と半数に満たなかったが、1990年代になってAT車の普及が進み、1995年に8割を超え、2000年には91.2%となり、今や国産乗用車の約99%がAT車となっている。その存在や販売ボリュームも希少なものとなったMT(マニュアル・トランスミッション)車だが、今回は2019年に発売された国産乗用車の中で、MTの設定があるモデルにおける、MT販売比率を調べてみた。なお、モデル名などは2019年末時点のもので、軽自動車と輸入車扱いになっているモデル数字は対象外。

 

■トヨタ

トヨタのMT設定モデルと販売比率は以下の通り。

 

・86 販売台数:4630台、MT販売台数:3004台、MT比率:64.9%

・カローラシリーズ 販売台数:10万4406台、MT販売台数:4033台、MT比率:3.9%

・C-HR 販売台数:5万5667台、MT販売台数:301台、MT比率:0.5%

・ヴィッツ 販売台数8万1554台、MT販売台数:1084台、MT比率:1.3%

 

スポーツモデルの86は例外であるが、C-HRやヴィッツのMT販売比率は、国産乗用車の約99%がATという現状と、ほぼ同じ数字が記録されている。

 

カローラシリーズは、カローラスポーツ、セダン、ツーリング(ワゴン)の1.2Lガソリンターボ車に6速MTを設定。この6速MTは、変速・発進操作をアシストするiMT(インテリジェントマニュアルトランスミッション。C-HRのMTも同じ)が装備されている。また、従来型のアクシオ(セダン)、フィールダー(ワゴン)とも、ガソリン「EX」グレードの2WD車の5速MTが併売され、他の車種よりMTの選択肢が多いこともポイントになっている。

 

■日産

日産のMT販売モデルは、2019年においてはフェアレディZのみ(マーチは輸入車扱いのため対象外)で、販売台数546台、MT販売台数253台、MT販売比率46.3%と半数を下回る結果となった。フェアレディZも2021年にフルモデルチェンジを予定。プロトタイプの内装ではMTのシフトも確認できており、次期型でもMTの設定は存続となりそうだ。

■ホンダ

ホンダはスポーツモデルの中核的存在のシビックタイプRをはじめ、シビックハッチバック、先代のフィットにMTが設定されている。先代フィットは7万4410台の販売のうち、MT車の販売は1151台となり、販売比率は1.5%であった。なお、フィットは2020年2月にフルモデルチェンジされ、この時点でMTの設定は無くなっているが、この販売比率を見る限りはそれも仕方ないことかもしれない。

 

■マツダ

マツダのMT設定モデルと販売比率は以下の通り。

・アテンザ 販売台数:3027台、MT販売台数:2274台、MT比率:7.5%

・MAZDA6 販売台数:2341台、MT販売台数:137台、MT比率:5.9%

・アクセラ 販売台数:6085台、MT販売台数:105台、MT比率:1.7%

・MAZDA3  販売台数:24667台、MT販売台数:1028台、MT比率:4.2%

・デミオ 販売台数:2万6656台、MT販売台数:972台、MT比率:3.6%

・MAZDA2  販売台数:1万728台、MT販売台数:592台、MT比率:5.5%

・ロードスター 販売台数:4689台、MT販売台数:3217台、MT比率:68.6%

・CX-5 販売台数:3万1538台、MT販売台数:1020台、MT比率:3.2%

・CX-3 販売台数:9889台、MT販売台数:486台、MT比率:4.9%

・CX-30 販売台数:9068台、MT販売台数:248台、MT比率:2.7%

 

CX-8以外の乗用車全てにMTを設定していて、ロードスターが7割近いMT比率で突出している。さらに、他のモデルでも他のメーカーに比べるとMT比率は高く、MT車の多さもマツダの特徴の一つになりつつある。

 

■スズキ

スズキのMT設定モデルと販売比率は以下の通り。

・スイフト 販売台数:3万3238台、MT販売台数:8052台、MT比率:24.2%

・ジムニーシエラ 販売台数:1万827台、MT販売台数:3131台、MT比率:28.9%

 

スイフトはスイフトスポーツの数字も含まれるため、他社のコンパクトカーに比べてかなり高いMT比率になっている。フルモデルチェンジによって、悪路走破性だけでなく、デザインの良さが新たな購買層を獲得したジムニーシエラも、MTの比率が高い結果となった。

 

■SUBARU

SUBARUのMT設定モデルは以下の通り。

・WRX 販売台数:6997台、MT販売台数:4088台、MT比率:58.4%

・BRZ 販売台数:1291台、MT販売台数:969台、MT比率:75.1%

BRZは、今回の中でMT比率が最も高いモデルとなった。ただ、WRX STIとBRZの販売が終了し、2021年1月時点でSUBARUの新車で買えるMT車はない。以前はMT車の設定が多いメーカーという印象があったが、世代交代とともに急速に減ってリニアトロニックと呼ぶCVTに集約されている。

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