王道路線から変更?10月発売の新型エルグランドはどう変わる?

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上級ミニバンといえば、トヨタ・アルファード/ヴェルファイアの独壇場だが、この秋は日産エルグランド、ホンダ・オデッセイが相次いでマイナーチェンジするのも注目されるところだ。特に車格でいえばアル/ヴェルと同クラスとなるエルグランドの進化に期待されるところである。その新型エルグランドは、既に9月10日には特設ウェブサイトをオープン、9月14日には予約受注も開始している。

新型エルグランド

さて現行エルグランドが登場したのは、2010年8月。今年でちょうど10年目となり、本来ならフルモデルチェンジをしてもいいタイミングだが、日産ではまだまだ延命を図るようだ。ちなみに現行モデルは2014年に最初のマイナーチェンジが行われており、これで2度目のマイナーチェンジとなる。

今回のマイナーチェンジでは、安全装備の充実が大きなポイント。セレナにも搭載されている全方位運転支援システム「360°セーフティアシスト」を全車に標準装備するほか、2台前の車両を検知し、急減速などにより回避操作が必要な時は早めに警報する「インテリジェントFCW(前方衝突予測警報)なども搭載。同一車線自動運転技術「プロパイロット」が搭載されないのは残念なところだが、このクラスに求められる最新の安全技術はほぼフル搭載されている。

またナビは、従来の8インチから10インチに変更。画面サイズが大きければいいというものではないけれど、軽自動車のルークスが9インチナビを搭載する時代に、軽より小さいナビというのは最上級ミニバンとしては残念ポイントだったから、これは嬉しいところ。よりワイドになったことで視認性、操作性とも向上している。ただ従来あった「BOSE5.1chサラウンドサウンド付後席プライベートシアターシステム」は廃止されている。

一方、外観はマイナーチェンジとあって、全体のプロポーションに変化はない。大きな違いはフロントグリルの形状で、従来型は横格子で日産マークの周りを小さく囲ってVモーションとしていたのに対し、新型ではグリル全体をV字にしたのが大きな違い。グリル全体もギラギラした派手なデザインからブラック基調の緻密なタイプになり、上質感が向上している。

グリルが変更され、上質な印象に

 

室内ではインパネ周りが大きく変わった部分。インパネの基本的な構成・配置は変わらないものの、厚みのある従来型に対して、スッキリとした印象になった。いま改めて見ると、従来型は一昔前の高級車調。太い木目パネルに沢山のスイッチやダイヤルが並び、ゴチャゴチャした印象だ。

これに対して新型では、操作系も中央部のナビやオーディオの操作ボタンやダイヤルが整理され、シンプルにまとめることで洗練。太い木目パネルからシャープなピアノブラックのパネルとなり、都会的な印象を強めている。

インパネ周りはスッキリと整理された

 

そんなわけで、「プロパイロット」や「e-POWER」といった、日産の誇る最新装備の搭載はないものの、細部のブラッシュアップで魅力を増した新型エルグランド。これまではアル/ヴェルに追いつけ追い越せとばかり、派手なゴージャス感を追求していた感があったが、新型ではやや路線を変え、スタイルに合った都会的な上品さと走りのイメージを強調した印象だ。

そもそも、ボディの高さを下げ、着座位置を低くすることで、ハンドリングの良さを追求したのが現行エルグランドの本来の持ち味だったはず。トヨタのミニバンでいうと、アル/ヴェルよりもエスティマに近いキャラクターだ。が、今まではエスティマのスタイルに、アル/ヴェルの豪華さをプラスしたような感じでどっちつかずなイメージになっていたといえるだろう。

これを新型では方向性を統一したことで違和感がなくなった。マイナーチェンジだけに限界はあるものの、これまでより存在感を高めることが期待されるところである。発売が楽しみなところだ。(鞍智誉章)

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