家族で行こう! きままにクルマ旅(2020年10月)
京都府・舞鶴 もう一つの京都、海風を感じながら戦国と近代の史跡を訪ねる

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《舞鶴メモ》
金曜日はカレーの日……あっ、うちも金曜日の夕食はカレーです、という方も少なくないが、その始まりは海軍かもしれない。艦船で長い航海出ると、規則正しい艦内生活といえども曜日の感覚が鈍りがち。そのため、艦内の食事は金曜日にカレーを出したといわれている(諸説あり)。その伝統を引き継ぎ(?)、現在海上自衛隊の金曜日の昼食はカレーになっている他、舞鶴市内の小学校の給食も、金曜日はカレーに関連するメニューだったという。

碁盤の目のような市街地……京都、札幌、名古屋…これらの都市に共通する点は? 答えは、市街路がタテ×ヨコに規則正しく並び、碁盤の目のようになっていること。舞鶴も海軍によって作られた東舞鶴の市街地は碁盤の目のようになっている。舞鶴らしいともいえるのが通りの名称だ。南北方向(縦)に走る道は西から東へ、一条通り、二条通り、三条通り…九条通りと数字の1から9だが、東西方向(横)に走る道は北側から南側へ、富士通り、八島通り、敷島通り、朝日通り、初瀬通り、三笠通り…という。この東西方向の道の名称の関連性に気づいた方は、かなりの軍事通かもしれない。いずれも明治期の旧海軍一等艦船の名称だ。縦の道と横の道で座標のように交差点を呼ぶのは他の都市と同じだが、舞鶴の場合は“四条富士通り”となりまさに海軍のまちらしい。

ご当地グルメ『松榮館』
洋食が特別だった頃のレシピを築116年の建物で食す

縁結びや夫婦和合にご利益があるとも言われている筑波山

2020年で築116年という旅館の別館だった建物で、旧海軍の料理の教科書(海軍割烹術参考書)のレシビを再現した海軍のカレーライス(前述の海自カレーとは異なる)やビーフシチュー、舞鶴が発祥の地といわれる肉じゃが(教科書には甘煮と記載)等が食べられる。明治期の建物で、明治期のレシピに則った料理を。まさに明治期にタイムスリップしかかのようだ。

海軍割烹術参考書を元に、専門家の監修を得て現在に再現された“海軍カレー”は、カレー粉を用いず8種類のスパイスをブレンドして作られるため、まずその香り良さに驚かされる。当時は“男所帯”だった艦内で調理されるため、野菜類はごつごつとした大きめのカット。中辛よりも甘口に近い優しい辛さだ。ご飯は麦飯(白米7:麦3)で、一緒に添えられるコップ1杯の牛乳は、ともに脚気予防を兼ねている。

海軍カレー。一杯の牛乳も再現
スパイスの香りの高さとゴロゴロ野菜が特徴

海軍カレー。一杯の牛乳も再現 / スパイスの香りの高さとゴロゴロ野菜が特徴

*:脚気(かっけ)は、ビタミンB1の欠乏により起こる病気で、手足のしびれやむくみ、やがて心臓衰弱を引き起こす。かつて日本では国民病とされた。明治期の海軍では病死数で最大の原因だった。

“ビーフシチュー”は、明治期の牛肉の食感(歯ごたえ)に近づけるため、牛肉は産地にこだわった。現在の牛肉はさし(脂)が入り柔らかく、明治らしく(?)ない。日本中を探し巡り会えたのが沖縄県・石垣島の石垣牛だった。さしのすくない赤身の肉なので、本来の肉の味も味わえる。

9時間かけて煮込まれるビーフシチュー

9時間かけて煮込まれるビーフシチュー

シチューはバラ肉の部位を計9時間かけて煮込むので、テーブルに運ばれてきた時はナイフ・フォークを必要としないほど柔らかい。デミグラスソースは、約1週間かけていちから作り上げたもの。時間を惜しまず、手間をかけたシチューは濃厚かつとても奥深い味だ。

“肉じゃが”は、東郷平八郎がイギリスに留学した際に食べたビーフシチューの味が忘れられず、帰国後に部下に命じて作らせたもの。ところが、当時はシチューの材料となるデミグラスソースやワイン等の入手が難しく、日本独自のみりんで味付けして作った。その料理が現在でいう“肉じゃが”という。最初に牛肉をごま油で炒めるため、芳しいごま油の香りが特徴的だ。海軍割烹術参考書では“甘煮”として掲載されているが、戦後肉じゃがとなり家庭料理として普及したといわれている。

 芳しいごま油の香りをお届けできないのが残念

芳しいごま油の香りをお届けできないのが残念

1904(明治37)年の開業当時、この旅館には旧海軍舞鶴鎮守府の関係者の利用が多く、舞鶴鎮守府の初代長官を務めた東郷平八郎が逗留した部屋が2階に残っている。この部屋を含め、2階にある5間は個室として利用することもできる(要予約)。中には“東郷さんの部屋で”と指名する人も少なくないとか。

1階のテーブル席
かにの味噌汁付き江の島丼

1階のテーブル席 / 鳳凰が描かれた欄間

2階にある個室
東郷平八郎が逗留した部屋

2階にある個室 / 東郷平八郎が逗留した部屋

個室は2名~15名の利用で、メニューはコース料理のみ。2階の各間には東郷平八郎ゆかりの掛け軸が飾られているほか、欄間(らんま。天井と鴨居の間の開口部)の丁寧な装飾や、一本でない床柱など明治時代の建築の特徴も見られる。店内の混雑状況にもよるが、希望者には2階の見学にも対応してくれる。

「本日天気晴朗にして波高し」数ある掛け軸の一つは、秋山真之の日本海海戦出撃の報告電文

松榮館 【住】京都府舞鶴市字浜18 【時】(ランチ)11:30~14:30(ディナー)17:30~21:30 ※現在、コロナ感染症拡大防止の為、17:30~20:00の営業〈営業時間等問い合わせ(日中)0773-65-5000(夕方)0773-65-5007〉 【休】年中無休 【P】無料駐車場あり(50台) 【マップコード】174 797 674*44

旅グルマ紹介
「SUBARU・レガシィツーリングワゴン(3代目BH型)」高速巡航を得意とするツアラー

今回の旅グルマは、1998年にデビューした3代目のSUBARU(スバル)・レガシィツーリングワゴンの、2.5リッターNAエンジンを搭載する中間グレード「250S」。2.0リッターエンジンに2ステージツインターボを搭載する「GT-B」に比べると加速性能などは緩やかだが、高い直進安定性を持ち、高速巡行や追い越し時などでも頼もしい走りを見せてくれる。全幅が1695㎜と5ナンバーサイズでありながら荷室には大きなゆとりがあり、ゴルフバックやスーツケースも楽に収納できるパッケージングは、まさに秀逸の一言だ。

SUBARU・レガシィツーリングワゴン(3代目BH型) 【パワートレーン】水平対向4気筒2457㏄+4速AT 【最高出力】170PS/6000rpm 【最大トルク】238Nm/2800rpm 【10・15モード燃費】11.8km/L 【ボディサイズ】全長4680㎜×全幅1695㎜×全高1485㎜ 
今回の立ち寄りスポットマップ

1=五老スカイタワー 2=東郷邸 3=赤レンガ博物館 4=海軍ゆかりの港めぐり遊覧船 5=赤レンガパーク 6=舞鶴田辺城資料館 7=松栄館


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