トヨタ2000GT発売、本格派スポーツカー流行の気配 【アーカイブ】

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高性能なクポーツ車は、いつの時代もクルマファンをワクワクさせるものだ。その中でも特別な存在といえるのがトヨタ2000GTだろう。欧米車に追いつけ追い越せと日本車が奮闘していた時代に登場したこのトヨタ2000GTは、流麗なスタイルはもちろん、技術的にも欧米のスポーツカーに比肩する高性能ぶりを発揮し、未だに多くのファンを魅了し続けている。今回は、そのトヨタ2000GTが発売直後どのように評価されたのか、当時の記事を見てみよう。

当時の新聞広告。車のバックには3年前に開業した新幹線。翌年には東名の本格開通を控え、「スピード」がトレンドの時代だった。高性能スポーツ車だけに「運転のマナーを心得た方に乗っていただきたい車です」として暴走ドライバーの出現を暗に危惧している点にも注目

<交読新聞 1967年(昭和42年)5月29日号掲載>
「高速ツーリング時代に備えシンボル商品」

東京地区でトヨタ2000GTが発売になった5月16日。東京トヨペットのスポーツカー係は殺到する電話の応接に大わらわの状態だった。

その一週間、20日の土曜日までにわずか4日間で30台の注文を受けた。

238万円という、国産車ではまことに高い車だが、それにもめげず、どんどん注文してこようというのだから、いかに期待が大きかったかが分かるというものだ。

トヨタ2000GTは、トヨタにいわせると「レーシング専門の車ではなく、一般オーナーが市内を走行できる車であり、大陸横断という本来の意味のGTになっている」という車だ。

時速220キロを出せる車が東京都内を4、50キロで走っている図は、あまりカッコイイものではないが、スタイルの良さと、55キロ/時で1リットル当たり15キロ(運輸省の公式テスト)という経済性からみると、フォード・ムスタングが東京を走っているのと同じことで、決しておかしくもないわけである。

高速道路があと2年もすれば東名、中央道とも供用開始され、東北縦貫自動車道も四十五年度中に開通するという日本の高速自動車道の環境からみれば、当然、この種のスポーティな車は、今後もますます増えていくだろうし、需要も高まっていくものとみられよう。

スポーツカーなり、スポーティカーの魅力は、何といっても一瞬の鋭いダッシュ力だ。交差点で一斉にスタートしても、2、3秒後には並進した車をバックミラーの中に収める快感は、若者の心を捉えてはなさない。それがまたスポーツカーに乗る特権でもあるわけだ。

メーカーの方をみれば、スポーティカーは別としても、本格的なスポーツカーは、そのメーカーのレベルを表示するものとして、一種のシンボル商品になる。

ましてや輸出に力を入れている国産メーカーとしては、海外のオーナーに与える影響も考える。

日産自動車はプリンスと合併して天皇の御料車をつくっているというシンボルがあり、トヨタはトヨタで、世界に名の通った007の主人公ジェームス・ボンド氏がアストン・マーチンにかわって乗るトヨタ2000GTということで、すっかり名声を売ってしまい格好なシンボル商品になった。これは三つの世界新記録、13の国際新記録をつくったスピード・トライアルということでも、世界に知られる減員をつくっている。

東洋工業にしても、ロータリーエンジンを搭載した実車ということで、これもシンボル商品になっているわけだ。

スポーティ・ムードから本格的なスポーツカーへ、今年から移行していきそうな気配にあるが、それも単なるスピードのみを追求したレーシング専門の車よりも、市内走行に耐え、乗心地、居住性のすぐれたパーソナルカー的な車が人気を呼ぶことになりそうだ。

アメリカでフォード・ムスタングの成功からカマロが登場しているように、トヨタ2000GTが成功すれば、各メーカーからもこれを追ってこのクラスの車が続々と登場してくるのではないか。

オーナーにとって、みるだけでも夢のある車が増えることは楽しみなことであり、話題も豊富になってくる。そして、いつかは乗れるチャンスもあるというものだ。

<解説>

1966年(昭和41年)は日産・サニー、トヨタ・カローラの登場でファミリーカーがブームになったが、翌1967年はトヨタ2000GTの登場でスポーツカー・ブームになりそうだ、という記事である。

67年は3月に日産がフェアレディ2000(SR311型)、5月にトヨタ・2000GTとマツダ・コスモスポーツが発売されており、これら高性能車が各社のイメージリーダーとして市場を牽引していくだろうと記事ではまとめている。実際にクーペスタイルのスポーティーカーが一般に普及していくのは70年代になってからだが、確かにこの年はその礎となった年といえるだろう。ちなみに東名高速が開通したのは翌68年。本格的な高速道路時代の到来を見据えたタイミングでもあった。

記事の冒頭にある「東京トヨペットのスポーツカー係」は、今でいうGRガレージのようなものといえるだろう。東京トヨペット(現トヨタモビリティ東京)は2000GT発売に合わせて、当時の品川本社ショールームを改装して設置、2000GTの他、コロナ1600S、クラウンSなど当時のスポーツモデルを並べ、専任スタッフも常駐していた。

なお、トヨタ2000GTは5月16日に発売。東京トヨペット、大阪トヨペット、愛知トヨタから販売されたが、全国どの府県でも地元のトヨタ・トヨペット店を通じて購入できる仕組みとなっていた。

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