【ワンダー速報】スパルタンだけど欲しくなる!アルピーヌA110とA110S乗り比べました。

試乗レポート

アルピーヌのA110SとA110のサーキット試乗会に参加させていただきました。

初のサーキット試乗、初のアルピーヌとなった私ですが、フューチャーレトロなスタイルと刺激的な走りに、五感を揺さぶられました。

■フューチャーレトロなエクステリアは、かつてのA110のリバイバル

1960年代に誕生したアルピーヌは、70年代にラリーでその名を轟かせていましたが、1995年に撤退。

往年の名車であるA110を現代にリバイバルさせたのが新型A110ですが、日本では2018年から発売されています。

A110はピュアとリネージという2グレードで販売されていましたが、それにさらにスポーティで精緻なグレードA110Sが2019年11月より追加になりました。

まずは、A110Sのエクステリアから見てみましょう。

2シーターでミッドシップレイアウトのスパルタンなA110は、全長4.2m程度とゴルフよりもコンパクト。

全長4.2mしかないA110は、ゴルフよりもコンパクトなサイズ。

往年のA110を彷彿とさせる丸目4灯のヘッドライトにボンネットフードに入ったラインなど、当時を知る人は思わずニヤリとするのではないでしょうか。

往年のA110の要素を取り入れているデザインなので、どこかフューチャーレトロ感があってカッコいいです。

ヘッドライトはフルLEDで、デイライトも備わるなど必要な装備は備わっている感じ。

リアビューはピュアスポーツらしい絞り込まれたデザイン。

センター1本出しのマフラーは、かなりやる気にさせるエキゾーストを響かせます。

 

 

これはぜひ動画で見ていただきたいですね↓

 

A110のピュアというベースグレードは804.6万円から。

A110Sは、ノーマルのA110と比較して、オレンジのブレーキキャリパーやカーボンルーフなど、専用装備も色々付いて899万円というプライスになっています。

安くはないですが、ライバルになるポルシェ・ケイマンSやアウディ・TT、BMW・Z4などと比べれば高すぎるわけではないです。

こちらはノーマルのA110。A110Sではカーボンルーフ、オレンジのブレーキキャリパー、専用アルミホイールなどで見た目も差別化される。

 

■内装はスパルタン!シートの調整すらできない(笑)

続いてA110Sの内装ですが、二人乗りでフルパケットシートになっており、前後の調整はできるものの高さの調整はボルトを外す必要があります。

めちゃくちゃスパルタンなんですが、手に触れる部分にはソフトパッドなどが使われており、チープな印象は受けません。しっかり質感は確保されています。

手に触れる部分にはソフトパッドなどが使われ質感も高い

フルデジタル液晶メーターは先進的な見た目ですが、ドイツ車のように地図を表示するようなことはできません。

7インチのマルチファンクションディスプレイが付いていますが、今日日ではやや小ぶり。さらにこれはナビの機能はなく車両の情報を表示するに留まります。

どこまでスパルタン(笑)

ただ、アフターパーツでナビ化するソフトの提供も始まったようです。

7インチのマルチファンクションディスプレイにナビ機能は備わらない。スマホ接続でカーナビタイムを有償で使うことは可能となった。

A110にはシフトノブはなく、スイッチ式。

しかもD、R、Nしかないので、Pにするときにはどうすればよいか悩みましたが、Nを長押しでPになるとのこと。

これはさすがにわかりづらすぎです。

そして電動パーキングブレーキはありますが、フランス車ではオートホールド機能がないので、信号停止時などにブレーキホールドすることはできません。

このあたりも、ドイツ車などと比べると、装備機能面では弱い印象です。

■走りはホット!A110とA110Sの走りを比較!

続いて、サーキット走行に入ります。

まずは、2018年デビューのA110のほうから。

左ハンドルでのサーキット走行だったので、まともなインプレッションが出来るか心配でしたが、数周するうちに慣れてレポートすることができました。

A110はエンジンをミッドシップに搭載するMRですが、雨の降るサーキットでも安定した走りを見せてくれました。

ステアフィールもドッシリしていて、地面に磁石でくっついているんじゃないかと思えるほどの接地感。そしてアクセルを踏み込めば背中から聞こえる「グララララァ!」というエキゾーストサウンドは、否が応でも気持ちが高ぶります。

もっと踏んでいたい!と思える加速感とサウンドは、街中でも楽しめると思います。何気ない信号からの加速でも非日常感が味わえるクルマなんじゃないかと。

乗り心地も想像しているよりもずっとコンフォートで、硬いとか跳ねるとかそういうレベルではなく、街乗りでも不快になりすぎないようにチューニングしてある印象でした。

ただ、スポーツ走行をしていて気になったのは、固定式のパドルシフトです。

ステアリングを切っていって、コーナーでシフトダウンなどしたい場合でも、パドルシフトは固定式なのでステアリングを握っている位置から離れてしまっていることが多かったです。

パドルシフトは固定式※写真はA110のものですが、パドルシフトの位置はA110Sと同じです

この点は、ステアリング一体型のパドルシフトのほうが、よりスポーツ走行を楽しめるのではないかと思いました。

続いて乗り換えたのが、新しく追加されたA110S。こちらは右ハンドルでした。

ノーマルのA110よりも40PS高められた最高出力と、より広くなったトルクバンドによって、特に高回転域でのスピードの伸びを体感できました。

もっとスポーティな味付けになっているかと思いきや、乗り心地自体はこちらのA110Sでも悪くなく、コーナーでのスタビリティが高まった印象を受けます。

特にアウト側にGがかかる際の踏ん張り具合などがA110Sのほうが感じられ、コーナーの出口から加速していくシーンなどではより早い段階で加速態勢に入れるようになっています。

たしかにA110Sのほうが上位互換と言った感じで、A110の乗り心地を維持したまま、より精緻に走れるチューニングになっていますが、果たしてココまでの性能を使い切れる環境があるかというと、それこそサーキット走行にでも持ち出さないと体感できないのではないかと思いました。

街乗りやたまの山道走行くらいなら、ノーマルのA110でも十分すぎるくらいです。

ただ、A110のピュアが804.6万円、リネージが844万円、そしてA110Sが899万円と考えれば、価格差もそれほどあるわけではなくので、いっそのことA110Sを買ってしまうというのもアリだと思います。

両車の走りの違いは、是非動画で御覧ください↓

■装備のネガを走りと見た目でチャラにできるか

見た目良し、内装の質感も良し、走りも良しのアルピーヌA110ですが、一番の焦点は実用性でしょう。

2シーターでナビも標準では用意がなく、ドイツ車のスポーツカーなどと比較しても安全装備や運転支援装備、快適装備などは遥かに劣る印象です。

Z4やTT、718ケイマンなどともバッティングしてくる価格帯なので、走りの楽しさと見た目で、それらに勝てるかと言うと、あとは好み次第ではないでしょうか。

ミッドシップにエンジンを搭載するので、ボンネットは物入れになっている。

ただ、それらのライバルと比較して、圧倒的に市場に出回っている数は少ないと思うので、他と被らないという魅力はあるでしょう。

往年のA110を知る人なら、フューチャーレトロなスタイルと相まって所有欲は満たしてくれそうです。

[ドラヨス]
月間71万PVのブログ「ワンダー速報」と、月間330万再生以上のYouTubeチャンネル「ワンソクtube」の管理人。
クルマ買うチューバーを自称し、年に何台もクルマを購入してレビューするスタイルが好評。

ワンダー速報ブログ:https://wansoku.com/

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