遠藤徹の業界ココに注目!モデル改良が一段と多様化

コラム・特集

最近の自動車メーカー各社のフルモデルチェンジ、マイナーチェンジ、一部改良などの内容をチェックすると、一段と多様化、複雑化していることが伺える。フルモデルチェンジは文字通り全面改良であるから、名称は継承していても、別のまったく新しい新型車に引き継ぐことであるから説明しやすい。固有の名称である「型式」を変更する改良である。

マイナーチェンジはいろいろある。フルモデルチェンジに限りなく近いビッグマイナーチェンジ、内外装のデザインを変更する一般的なマイナーチェンジがあるが、いずれもかなりの幅がある。ビッグマイナーチェンジはドア以外のすべてのボディパネルを変更するケースもある。パワーユニットを新しく加たり、異なるテイストのグレードを設定するケースもある。フルモデルチェンジと決定的に違うのは型式が変わらないことだ。

一部改良もいろいろある。メーカーによっては「マイナーモデルチェンジ」などと表現している場合もある。最近よく見られるのは自動ブレーキ、認識機能の拡大などの安全対策強化や燃費表記をJC08モードから、より実走行に近い「WLTC」モードに切り替える等の内容だ。

狙いはマーケットニーズに合わせる、販売促進、法規対応などである。開発投資額も大きな幅がある。フルモデルチェンジは400~500億円、ビッグマイナーチェンジでも50億円以上といわれる。投資額は早く回収して収益を上げる必要がある。新型車効果で販売が回復しやすいのはフルモデルチェンジであるが、成功も失敗もある。今後、重要なポイントとなるのは、いかにビッグマイナーチェンジで新型車効果を発揮させるかである。

 

遠藤徹プロフィール

専門分野はマーケット分析、商品戦略、販売戦略、執筆先:ベストカー、ドライバー、ザ・マイカー、カーアンドレジャー、その他週刊誌など。単行本執筆は約20冊

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