C、E、Sと、FRベースのセダンラインアップに、昨年メルセデス・ベンツ初のFFベースとなるAクラスセダンが加わった。内外装のデザインテイストやプラットフォームはハッチバックと共通ながら、セダンの上級グレード「A250 4MATIC」には2.0Lターボエンジンが与えられていることも特徴だ。
搭載する2.0Lターボエンジンは（最高出力224PS／最大トルク350Nm）突出したスペックではないが、1800－4000rpmという広範囲で最大トルクを発揮。実用域での使い勝手も非常に高く、特に発進から中速域までの淀みない加速と、軽快感あふれる走りは特筆すべきポイントだ。1.4Lターボでは高速域での加速の頭打ちはあったが、2.0Lターボにおいては動力性能に不満を感じることは全く無かった。
ハンドリングはハッチバックと同様に適度な重さを残しながら、クセも無く素直なので扱いにくさは皆無。しなやかな回頭性と接地感によってもたらされるクルマとの一体感は、セダンにおいても失われていない。
また、試乗した上級グレードは、リヤサスペンションがマルチリンク（同車以外のＡクラスはトーションビーム）になっており、硬質に感じられたハッチバックと比較してマイルドになった印象。路面からの突き上げも極めて少なく、どの速度域でもしなやかな乗り味であった。
さらに、ロードノイズや風切り音などの遮音性が高く、室内の静粛性も非常に高い。マイルドで上質な乗り心地と合わせて、セダンが持つフォーマルな印象を体現していた。
ボディサイズも全長4550mm×全幅1800mm×全高1430mmと、大柄な輸入車セダンの中においても扱いやすいサイズ感を実現。日本の道路事情にもマッチした1台となっている。
