【ワンダー速報】他にはない個性が爆発!シトロエン・ベルランゴ デビューエディション 試乗インプレッション

試乗レポート

先日も寄稿させていただいたポルシェパナメーラに続いて、JAIA(日本自動車輸入組合)の試乗会でシトロエンベルランゴに試乗してきました。

私自身、シトロエンは現行型C3に乗っていた身ですので、デザインとか面白さは多少なり理解しているつもりでしたが、このベルランゴは私の想像の遥か上を行っていました。元シトロエンオーナーとして、フランス車あるあるを交えつつ、良いところ悪いところをレポートします。

シトロエン・ベルランゴ デビューエディション 車両本体価格は325万円。

■個性的で好みが分かれそうなエクステリア

試乗車はシトロエンベルランゴのデビューエディションという初期限定モデルです。

車両本体価格は325万円からと、輸入車のマルチパーパスカーとしてはかなりリーズナブルな価格となっていますが、残念ながらこのデビューエディションはすでに完売。

再度追加販売されたものも5時間で売り切れるという人気ぶりです。

正式なカタログモデルが発売されるのは2020年秋頃と、約1年遅れての導入になってしまいます。

エクステリアは、C3にも似た昨今のシトロエンフェイスになっています。

ダブルシェブロンというアローヘッドが2つ重なったデザインのブランドロゴをモチーフにしたグリルから、左右に繋がるように配置されたライトは、ポジションランプ兼デイタイムランニングライトになっています。

このポジションランプ兼デイライトはLEDなんですが、その下にあるヘッドライトやフォグランプはハロゲンとなっています。

私が乗っていたC3もそうでしたが、今どきハロゲンのみしか選べないというのは、売り方として日本に最適化されているとは言い難いですね。

せめてオプションでも選べたら良いのですが、それすら用意がありません。

全長4,403mm×全幅1,848mm×全高1,844mm、ホイールベース2,785mmとCセグメント車よりも短い全長。

ベルランゴのボディサイズは、全長4,403mm×全幅1,848mm×全高1,844mm、ホイールベース2,785mmとなっています。

意外にも全長はかなりコンパクトで、CセグメントのメルセデスAクラスやMAZDA3などよりも短くなっています。

Cセグメント車よりも短いのに、車内は広いという、魔法のようなクルマ。

本来、こうしたパッケージは日本車の得意とする所のはずですが、カングーやベルランゴのようなマルチパーパスカーは、日本ではさらに一回り小さいフリードやシエンタくらいしか思いつきません。

NV200は商用車色が強すぎて、個人で使うにはカスタムして乗らないとサマにならない印象が強いです。

マルチパーパスカーと言えば、商用バンのイメージで、ルノーのカングーが一強状態でしたが、そのジャンルに一石を投じるモデルになりそうです。

見た目的にもファニーで可愛く、男性でも女性でも支持されそうなデザインなのはC3やC5同様。

ブラックアウトされたAピラーや、デビューエディションの専用装備でもある16インチのアルミホイール、ルーフレール、そしてシトロエンの特徴でもあるサイドロアにあるエアバンプと呼ばれる衝撃吸収材のブラックが、ボディ全体をリズミカルに統一しています。

サイドウインドウのデザインも単なる四角にならずに角が丸められているのもオシャレで、デザインに関しては「さすが」と言わざるを得ないです。

私もこのシトロエンのデザインのオシャレさに惚れて、C3を一目惚れで購入したのでした。

■内装はフランス車あるあるのネガティブな所も…

続いては内装も見てみましょう。

ドア周りは予想通りプラスチッキーですが、肘置き部分はファブリックが貼られています。

また、一部石材のようなテクスチャの樹脂があり、それもまたユニーク。ハードプラながら安っぽく見えない工夫がされています。

プラスチッキーながらチープに見えない造りはさすがシトロエン。ただドリンクホルダー事情は悪い。

C3のような水平基調のシンプルなデザインとは多少異なり、立体的に機能別に分けられたデザインになっています。

ナビは8インチで24万円のオプションですが、AppleCarPlayなどにも対応しています。

メーターはオーソドックスな2眼タイプで、中央はカラーのマルチインフォメーションディスプレイになっていますが、商業車としたらこれでも十分すぎるほど。

そして運転席周りで最も特徴的なのが、ダイヤル式のシフトです。

かつてのジャガーのように回してシフトを選択するタイプですが、正直な感想としてはめちゃくちゃ操作しづらかったです。

高さが1cmくらいしかなくて、しかも結構硬いので狙ったタイミングで素早く操作、というわけにはいかず、バックで駐車する時に切り返しをする際などにはストレスになりそう。

これはイマイチと言わざるを得ない…。

そして今どきのクルマらしく電動パーキングブレーキ完備!

しかし、フランス車あるあるですが、ブレーキホールド機能は残念ながらありません。

個人的には、ホールド機能がない電動パーキングブレーキは、信号停止時にブレーキペダルを踏み続けなければならず、あまり恩恵がないです。

電動パーキングブレーキだけあっても、Pレンジに入れた時くらいしか恩恵がなく、一番必要な「信号待ちのときにブレーキペダルから足が開放される」というのができません。

これは実に惜しい…。

そしてなぜかスマホの非接触給電Qiは標準装備。

輸入車ではQiが標準装備のものも多いいですね。

フランス車あるあるですが、カップホルダー事情が悪いです。

ドアポケットにもドリンクが置けるような形にはなっていませんし、ダッシュボード左右にあるカップホルダーは、ショート缶くらいしか置けないんじゃないかというほど、小型。

プジョーは最近改善されてきていますが、シトロエンは未だカップホルダー事情が悪いです。

■ネガを打ち消すベルランゴの魅力! 頭上や後席・ラゲッジにも独創的なギミックがいっぱい!

頭上にはパノラマルーフと収納が一体化したモジュトップが特徴的。

ネガティブな事ばかり続きましたが、ここからはベルランゴの良いところです。

まず驚くのが、天井ですね。

「MODUTOP(モジュトップ)」と呼ばれる、後席の方まで広がる広大なパノラマルーフですが、中央部分はすりガラスになっており、そこに物が置けるようになっています。

走行中に異音が発生しないかが心配ですが、ユニークなストレージですね。

さらに、運転席助手席の頭上にも収納があり、そこへも物がヒョイと投げ込んで置けるようになっています。

このあたりは動画で撮ってきたので、併せて見ていただけるとわかりやすいと思います。

 

続いて後席を見てみたいと思いますが、両側スライドドアは残念ながら手動。

軽自動車でもパワースライドドアが当たり前になっている昨今、これはちょっと残念すぎます。

開閉するには結構重いです。

商用バンとしてタフに使うなら、手動のほうが良いのかもしれませんが、マルチパーパスカーとして個人で使うならパワースライドドアはあってほしいところです。

後席足元も余裕の広さ。シートバックテーブルも標準装備。

ベルランゴの後席は、独立三座のシートになっていて、膝前にもコブシ2個分くらいの余裕があります。

MAZDA3よりも短い全長なのに、結構広いですよね。

さらにシートバックテーブルやポケット類も充実しています。

それにしてもシトロエンはシートが最高。

ファブリックシートなら世界一なんじゃないか?と思えるほど、シトロエンのファブリックシートは座り心地がいいんですよね。

それは運転席も後席も同様です。

張りがあるソファに座っているかのような座り心地で、腰も痛くならないです。

カラーリングもオシャレですしね。

シトロエンらしい座り心地の良いファブリックシート。

続いてはラゲッジスペースですが、これもギミック多数。

まず、バックドアですが、パワーテールゲートなどの設定はありませんが、ガラスハッチ部分だけ開閉が可能。

そして、ラゲッジ容量は、後席を使用した状態でも597Lもの容積を確保。さらに、後席を倒せば、最大2,126Lもの広大なラゲッジスペースになります。

助手席までフラットになる荷室は2.7mもの長尺物も積載可能。

助手席もフラットに折り畳めるので、最大で2.7mもの長尺物を積載可能。

ほぼフラットなスペースとなるので、車中泊とかお店をやるにもアレンジが効きそうですよね。

さらにユニークだったのが、ラゲッジの天井にあるスト

レージ。

ここの収納はガラスハッチからでもアクセスでき、後席側からも取り出せる60Lの収納になっています。

スキーとかスノボなど、用品とかをヒョイヒョイ投げ込んでおけるストレージは便利!

収納においてはギミック満載のベルランゴでした。

ラゲッジ頭上にあるストレージは60Lを確保。後席側からもアクセス可能。
■走りも痛快!他にはない個性が光る

続いては、試乗へと駆り出します。

シトロエンベルランゴには、1.5Lディーゼルターボエンジンに、8速ATが組み合わされていますが、走っているときはあまりディーゼル感もなく、それでいてしっかりとトルクフルなので、純粋に走りが楽しいと感じます。

4.4m程度の全長に、全幅は1.84mあるので、高さはあるけど左右に振られることもなくスタビリティもしっかりしていました。

高速の合流時などにキックダウンスイッチまでアクセルを踏んでみると、絶対的な加速感はそれほどでもありません。ただ、高速巡航時にはディーゼルのトルクと多段ATの8速が効いていてとても静かでトルクフルに車速を維持してくれます。

ステアフィールはドイツ車のそれとも異なる、重さは感じない軽めのものですが、それでもしっかりとした路面の反力を感じるシトロエンらしい乗り味。

ベルランゴでは、ライバルのカングーよりも安全装備も今どきのものが付いており、歩行者を検知できる衝突被害軽減ブレーキ(緊急自動ブレーキ)や車間距離を自動制御できるアクティブクルーズコントロール、車線維持をサポートするレーンキープアシストまでが装備されています。カングーは設計の古さゆえ、緊急時ブレーキアシストくらいしか安全装備や運転支援装備画はありません。

ドイツ車や国産勢と比べると、やはり安全装備や運転支援では遅れを感じるフランス車ですが、最低限の装備は網羅されている印象です。

座り心地の良いシートと相まって、ついついどこまででも走っていたくなる、そんなベルランゴのドライブフィールでした。

 

シトロエンベルランゴの試乗ドライブフィールの動画もアップ済みですので、併せてご覧いただければと思います。

元C3オーナーとして見過ごせないフランス車あるあるのマイナス点としては、

・ナビのルート案内の音声が出てる時、BGMが完全ミュートされる(ラジオとか音楽が聞こえない)

・ドリンクホルダーにドリンクが置けない(大きなペットボトルとか入らない可能性もある)

・電動パーキングブレーキにブレーキホールドがない

 

などがありますが、これが許容できれば大いに買いだと思います。

こうしたネガティブも、「アバタにエクボ」で可愛がってあげられるおおらかな人にこそ、フランス車は似合うのかもしれませんね(笑)

1.5Lディーゼルターボと8速ATの組み合わせは走りも痛快!

ここまで個性が光っている商用車は他にはないので、個人商店などには特におすすめですが、残念ながらデビューエディションが完売してしまった今となっては、2020年秋のカタログモデルの正式発売を待つしかありません。

首を長くして待ちましょう。

[ドラヨス]
月間100万PVのブログ「ワンダー速報」と、月間100万再生以上のYouTubeチャンネル「ワンソクtube」の管理人。
クルマ買うチューバーを自称し、年に何台もクルマを購入してレビューするスタイルが好評。

ワンダー速報ブログ:https://wansoku.com/

 

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