【第40回JAIA試乗会レポート】楽しさ溢れるひと際個性的な内外装 シトロエン・C3エアクロスSUV

試乗レポート

昨年7月、シトロエン初のコンパクトSUVとして発売されたのが「C3エアクロスSUV」。名前を見せればわかる通り、コンパクトカーの「C3」をベースにSUVスタイルに仕立てたモデルであり、C5エアクロスSUVの弟分にあたるモデルだ。

このモデルの最大の特徴は、その内外装デザインにあるといえるだろう。シトロエンらしい、陽気で明るく楽しい雰囲気に満ち溢れたエクステリアとインテリアは、ライバルが多いこのコンパクトSUVカテゴリーの中でも一際個性的である。

プラットフォームはベースとなったC3と共通。エンジンも同じで、直列3気筒の1.2Lターボを搭載し、最高出力110ps、最大トルク205Nmという数値も変わらない。ただしボディはC3より若干大きく、全長4160×全幅1765×全高1630mm。特に全高はC3よりも135mmも拡大されている。地上高はどちらも160mmで同じだから、SUVスタイルとすることで居住空間、特に頭上空間が大きく広がったことが最大の違いといえるだろう。ちなみに駆動方式はFFのみの設定だが、試乗した「SHINEパッケージ」には、路面状況に合わせてトラクションを最適化するグリップコントロールが装備されており、4WDまでとまではいかないが、ある程度の悪路操作性は期待できる。

実際に乗り込んでみると、着座位置が高いので見晴らしの良さが印象的。インパネ全体のデザインはカラーの使い方を含めてPOPな印象だが、メーターだけは機能本位の普通の針式であり、この辺りのメリハリのつけ方、操作系に対する考え方は面白いところだ。室内全体の雰囲気は明るくカジュアルで、無理に上質に見せようとしていないところも好ましい。この辺りは精密機械のようなカッチリとした精度や重厚な質感を良しとするドイツ車とはまったく異なる思想だ。

走らせてみると、その印象はますます強まる。ステアリングに伝わってくる操舵感覚、足周りともにきわめてソフト。エンジンは低速域から十分なトルクを発生するが、上まで回してみても特にパワフルというわけでもない。つまり至って普通の実用車である。が、それ故に運転していて変に気を遣うこともない。神経質なところがまったくないからだ。

気負ってドライビングを楽しむようなクルマではなく、日常の中で気軽に楽しむクルマである。大容量の荷室スペースに荷物をたくさん積み込んで、ノンビリと旅を楽しむ。そんなゆとりある生活にぴったりなモデルだ。

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