遠藤徹の業界ココに注目!ニューモデルの価格政策に注目

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9月から年末にかけて登場するニューモデルの傾向で、価格政策の動向に注目したい。クオリティアップや新技術の導入、安全対策強化などによるコスト高で価格が大幅にアップしている。

2・0リッタークラスでも300万円以上の価格設定になるモデルが多い。フルモデルチェンジする小型車クラスで30万円以上もの値上がりをしている。消費税引き上げもその要因のひとつに上げられる。

こうした価格対策が、初期の販売動向に大きく影響を与える可能性がある。新型車であれば値引きがあまりできないので、実質価格はさらにアップすることになる。

これの対応策のひとつとして採用される方向にあるのは、残価設定クレジットである。3~5年後残価を設定し、この分を差し引いた残り部分を割賦で支払う仕組みだ。

残価は3~5年後に精算するのである。こうすることで毎月の負担が少なくなる。これを低金利、ナビサービス、サービスパック料金などを組み合わせることで販売店各社独自の売りにしたりしている。こうすれば、高い価格設定もカバーすることができる。

このため、最近この残価設定クレジットを利用するユーザーが増え、新車購入の半分以上に達し、従来のローン販売を大きく上回っている。残価は3年後で車両本体価格の40~50%が一般的だが、メーカーや系列店によっては55%と高く設定したりしている。

この方が毎月の支払い額が少なくて済むが、この時点でこの使用過程車の価値を本当に維持できるかどうかという問題もある。できなかったら、その分はメーカーやディーラーが負担しなければならないことになる。これがどういう結果になるか、3~5年後の動向に注目したい。

 

遠藤徹プロフィール

専門分野はマーケット分析、商品戦略、販売戦略、執筆先:ベストカー、ドライバー、ザ・マイカー、カーアンドレジャー、その他週刊誌など。単行本執筆は約20冊

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