ボッシュ、ベビーカー向けスマート電動ドライブを開発

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独ボッシュは、ベビーカー向けスマート電動ドライブを開発したことを発表した。シングル、ツイン、シブリング(兄弟姉妹)のいずれのベビーカーにも対応しており、2020年初頭から、スウェーデンのベビーカーメーカーEmmaljunga社の製品に搭載される予定で、複数のメーカーとの協働計画も進行している。

 

ベビーカー向けのアシスタンスシステムであるeストローラー システムは、電動ドライブの域を遥かに超え、快適さと安全性を向上する包括的な機能を備えており、ベビーカーに60 kph(ビューフォート風力階級7)の気流を当てた風洞試験では、人の手で押さえていなくてもベビーカー自体が動くことはなかった。また、アシスト機能および自動ブレーキング機能に加え、スマートフォンアプリを利用したネットワーク機能、アラーム機能など、さまざまなハイテクセンサーも搭載している。

 

【センサーが利用者が欲する操作を瞬時に計算し加速とブレーキングを支援】

ボッシュが0歳~4歳までの子どもを持つ男女および出産を控えた親を対象として実施した聞き取り調査では、10人中9人がベビーカーの購入を検討する際に快適性と安全性を重視している結果となった。ベビーカー向け電動アシスタンス システムのドライブユニットは、後軸に搭載される2つの静粛性に優れた電動モーターとBluetoothモジュール、およびスマートセンサーシステムで構成されている。これらのセンサーは、スマートフォンにも採用されているもので、ベビーカーが走行する路面の状態を検知しながら、速度や加速状況なども測定する仕組みとなっており、アルゴリズムを利用することで、上り坂では電動二輪車と同様にモーターが自動でベビーカーをアシストし、下り坂ではブレーキ操作に介入するなど、利用者が欲する操作を瞬時に計算する。また、万が一ベビーカーから手が離れても、モーターによるブレーキが暴走を防ぎ、電気機械式ロックでパーキングブレーキを作動させる仕組みとなっている。

 

【ベビーカーを押す姿勢改善など人間工学の観点からも優れた電動アシスタンス システム】

電動アシスタンス システムは、ベビーカーの快適性や安全性を向上させるだけでなく、人間工学の観点からもより優れた製品づくりに貢献している。ボッシュのユーザーテストでは、eストローラー システムにより、上り坂や凸凹道、向かい風の中であっても押す力が大幅に抑えられるため、ベビーカーを押す際の大幅な姿勢改善につながることが立証された。また、自動ブレーキング機能を備えた電動ドライブにより、下り坂での腰にかかる負担を大きく軽減するほか、ベビーカーを片手で押す際のステアリングサポートにより、特に曲がり角での操作性を向上することも明らかとなった。さらに、この駆動システムにより、横方向に傾斜した道でもベビーカーを容易に操作することが可能となっている。

 

【Bluetoothを介してスマートフォンでネットワーク化】

関連するスマートフォンアプリ(AndroidおよびiOS対応)の利用により、3つの電動アシスタンス レベルを選択することが可能となっており、このアプリがBluetoothを介してeストローラー システムと通信を行い、着脱式バッテリーの充電レベルや、充電が切れそうになったときは適切なタイミングで警告を表示する。バッテリーは、18ボルトの扱いやすい軽量リチウムイオンバッテリーで、ロック式のコンパートメントに格納されている。コードレスドライバーなどのボッシュの標準電動工具に使用されているものと同じバッテリーのため、いざというときはベビーカーのバッテリーをほかの工具に使用することも可能で、またその逆も可能となっている。充電時間は約2時間半で、アシスタンス機能の利用状況やベビーカーの重量にもよるものの、フル充電時で最大15 km走行できる。

 

また、システムのUSBポートからスマートフォンを充電できるほか、カフェの外にベビーカーを停めておく場合などには、アプリを利用して警告機能を設定することも可能で、スマートフォンとの間にBluetooth接続が確立されていれば、誰かがベビーカーを動かそうとすると警告が表示されるようになっている。さらに、ベビーカーに組み込まれたスピーカーから警告音も発せられ、自動でパーキングブレーキが作動する。なお、バッテリーの充電が完全に切れた場合でも、特にモーターの抵抗を感じることなく、通常のベビーカーとして使用することが可能となっている。

 

取締役会メンバーで、モビリティ ソリューションズ事業部門長のシュテファン・ハルトゥング氏は、「eストローラー システムには、ボッシュのあらゆるノウハウを結集しています。技術と品質に関しては、風洞試験を始めとした、自動車部門と同様の厳格な基準を適用しています。ボッシュは、お子様が歩き出す前からサポートできるようなモビリティ ソリューションの構築を目指し、生活のあらゆる場面にインテリジェントなモビリティを提供します」と述べた。

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