【アーカイブ】 ホンダ・2代目プレリュード試乗記(週刊Car&レジャー・1982年12月掲載)

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80年代を代表する1台といえるのが、82年に登場した2代目ホンダ・プレリュード。国内ではパッとしなかった初代プレリュードに代わり、スタイリングを大きく変えた2代目は「デートカー」とも呼ばれ、若者を中心にヒットした。今回はその2代目プレリュードが登場当時、どのように評価されたのか試乗記をみてみよう。

<週刊Car&レジャー 昭和57年12月25日発行号より>

■精悍!プレリュード

・身構えたピューマ

プレリュードは、FF車としては数少ないスペシャルティカーだ。スポーティなスタイリングとFFを意識させないハンドリングを持ち味とした個性派と言われたのがその前身だった。今回フルモデルチェンジして出現したニュープレリュードは、姿かたちや内容ともにさらにヤングハートをつかんで登場、鮮烈な再生ともいえるものだ。その個性あふれる性能を知りたくて、さっそく箱根で試乗してみた。

ニュープレリュードの車種は、受注生産のプライベートバージョンXC、スポーティバージョンのXZ、ラグジュアリーバージョンのXXの三車型にグレードを設定してあるが、それぞれに五速マニュアルとホンダマチック仕様とがある。そこで、試乗に選んだ車種は、XZの五速マニュアル車とXXのオートマチック車。

スタイリングは、まずリトラクタブルライトでフロント・ビューを一新。ブラッキーなフロントグリルが力のこもった精悍さを与えている。サイド・ビューは放たれた一本の矢のように前傾する低いボンネット。低いベルトライン。地上わずか五〇〇mmに設定された低重心。いかにも地をはっていく走りをうかがわせるスタイリングの中に静かなボルテージの高まりをみせている。それは獲物を狙い走りに身構えたピューマの姿だ。

さっそく乗り込んで、まずびっくりさせられたのはドライビングポジションの低さだ。フルバケットシートに包まれたヒップポイントは地上高四一〇mm。これは、前モデルよりもさらに三〇mmも低位置としたもので、走り行く大地との一体感を予感させる。直径三七cmの小径スタアリングはスポーティな三本スポーク。レザーグリップがしっとりと手になじむ感覚で、あとはエンジンのキーを回すだけだ。

新開発CV・デュアルキャブ十二バルブエンジンの始動は実に良好。キーをひとひねりするだけですぐ目覚めた。最高出力は一二五馬力(五八〇〇回転/分)で、前モデルの九七馬力から二八馬力の大幅なパワーアップを果たしている。と同時に最大トルクは一五・六kg-m(四〇〇〇回転/分)を確保したのは、吸気系2バルブ排気系1バルブ、合計十二バルブによる吸気効率の向上と9.4という高圧縮比を達成したホンダ独自のエンジン設計によるもの。

クラッチは軽い。なんの抵抗もなく、すっと床までペダルを踏みつけてしまう。この軽いタッチは疲労度を軽減するから大歓迎だ。しかもただ軽いだけでなく、足の裏は空に浮かぶ雲を踏むような軽さなので、動力の伝達ものがさずキャッチできる。じつに感じのいいクラッチ感が伝わってくる。

走りの方は、滑らかにして力に満ちている。5速ミッションのギヤ比は適切なセッティングだ。1速で60km/h、2速で80km/h、3速で140km/hまで引っぱれるし、各ギヤのつながりもスムーズだ。

ワイド&ローの低いフォルム、ロー・ドライビングポジションでありながらワイドな視界を確保。ガラス視界面積は前モデルよりも11%も拡大しているとのこと。

高速での走行はすばらしい。125馬力の底力がグイグイ加速する迫力を味わせてくれる。スピードはスムーズに高まっていく。高回転にまわしていっても、エンジンはきわめて滑らかで、余裕のほどがうかがえる。その実力の表現はスマートであり、小憎らしいかぎりだ。

ワインディングな山岳路でも、軽快な走りのスポーティな足どりを失いはしない。なによりもその足を保証しているのは、ダブルウィッシュボーンのフロントサスペンションと、ストラット・リア・サスペンションのようだ。タイトコーナーをパワーにまかせてアプローチから攻めていっても、強アンダーに悩まされることはない。一度、的確にステアリングを決めると、そのままの状態でコーナーをクリアしてしまう。

山岳路では、さらに低速域でのねばり強さがものをいう。4速で30km/hを十分に走ることができ、その実力は見かけばかりではない。急坂は3速でグイグイ登り切るタフなパワー。

パワステでなく、ノーマルであるため多少重い感じがしないでもないが、実はスピードに乗ってしまえば、それこそがスポーティフィーリングを味わせてくれるかくし味であったことに気がつくであろうし、何の無理もない操舵感に馴れてしまうにちがいない。

・パワフルな走り実感

一方、ロックアップ機構付ホンダマチック4速フルオートは、Dレンジでの一般走行をはじめ、☆レンジでの加速フィーリングがなめらかだ。とくに☆レンジは、1速から3速までカバー、登坂、降坂の多い山岳路でパワフルな走りを実現している。ただ、スタート時は加速が緩慢なため、Lレンジの助けを借り、L-☆とたくみにシフトして、スポーティ・フィーリングを味わうことができた。

ニュープレリュードのエンジンは静かで、コクピットでの乗り心地はきわめて優秀。スポーティな走りをみせるニュープレリュードは、エキサイティングな体験を味わせてくれた。それはエキサイティングな故に性急な感がなきにしもあらずだが、ヤングハートに反響する熱いドライビングを実感させてくれるものだった。

 

 

 

<解説>

2代目プレリュードのボディサイズは全長4295mm×全幅1690mm×全高1295mm。全幅に対して全高が極端に低い「ワイド&ロー」のプロポーションで、特にボンネットフードの低さが際立ち、リトラクタブルヘッドライトの採用も相まって日本車離れしたスタイリングを特徴としていた。記事では触れていないが、運転席側にも助手席のリクライニングノブが付いていたことも話題のひとつ。売れ筋は装備が充実した「XX」に集中したのも特徴である。

「デートカー」として軟派なイメージが強いが、ホンダとしては走行性能の向上にも力を入れたモデルで、新開発エンジン、軽量・高剛性のモノコックボディ、日本初となる4輪ABSを搭載するなど、数多くの先進技術が投入されていたのも特徴である。85年には2L・DOHCエンジンを搭載した「Si」も追加され、さらに走行性能が引き上げられている。

記事中にある「ホンダマチック」は、80年代まで搭載されていたホンダ独自の機構を持つATのこと。操作もやや独特なもので、当時のホンダ車はLレンジでスタートし、加速してから☆(スター)レンジに入れるという使い方が一般的であった。

2代目プレリュードは総生産台数は60万台を超え、スペシャリティカーとしては望外の大ヒットとなり、キープコンセプトで進化した3代目も記録的な販売台数となった。当時のベルノ店を牽引する看板車種となったが、91年に登場した4代目からはコンセプトを大きく変えたこともあって人気が急落。96年の5代目モデルで終了となった。

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