ナッツRV、ついに海外進出!

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中国・北京「AIC」初出展

国内最大手のキャンピングカーメーカーであり、キャンピングカー文化を広く国内に普及するための様々な活動を続けているナッツRV(本社:福岡県遠賀郡)が、ついに海外での販売展開に向けた第一歩を踏み出した。

同社は2019年6月14日から16日まで中国・北京で開催された「All in CARAVANING」、通称AICと呼ばれる中国最大級のキャンピングカーショーに、国内メーカーとして初めて出展を果たした。同イベントは、世界最大のキャンピングカーショーとして有名な、ドイツ・デュッセルドルフで毎年開催される「キャラバンサロン」のいわば中国版だ。中国では近年、一般家庭の消費力が向上し、質の高いライフスタイルが求められている中、RV(レジャー・ビークル)への関心も高まってきている。こうした動きを受け、キャラバンサロンを主催するメッセ・デュッセルドルフの中国法人が2012年より開催したのが、今年で8回目となるAICだ。

ナッツRV・荒木代表

 

販売担うパートナーづくりのために

AICへの出展についてナッツRVの荒木賢治代表は、「海外に販売拠点をつくり、本格的にキャンピングカーを販売していくための第一歩」と語る。
中国にはもともと、同社の自社生産工場のひとつがある。「ナッツRVが中国に工場を持ち、生産をスタートさせてから20年、昨今は中国でもRVブームが高まりを見せており、われわれとしても生産だけではなく、中国国内でキャンピングカーの販売を開始するいい機会と捉えている」と話す。

すでに中国では生産拠点、大量生産のノウハウを持つため、次の展開は販売拠点やネットワークの構築となる。そこで、「業界関係者が多く集まるAICに出展することで、カーディーラーの運営会社や販売網を持つ中国企業との接点をつくり、販売面を担う“パートナーづくり”をしていくことが、今回出展した目的のひとつ」と荒木代表。イベント会期中に「何社か手を挙げてきた」とし、「これからは交渉段階に入っていくところまできている」と話す。

 

(出展したイヴェコベースの「ボーダーバンクス」)

■ 中国専売車「ボーダー」披露

連日多くの来場者で賑わいを見せたAICのナッツRVブースでは、国内販売のない新型車両が展示された。同モデルは、イタリアの産業用車両メーカーIVECO(イヴェコ)社の中国で生産されたキャンパー仕様車がベースで、ナッツRVの最高峰モデル「ボーダー/ボーダーバンクス」の上質なシートやファニチャーを加工してセッティング。日本販売モデルではイヴェコベースのモデルはなく、ほぼ一からビルドアップした中国専売モデルだ。車名も「(中国版)ボーダー(ボーダーバンクス)」とし、中国の富裕層に向けた最上級モデルとして披露した。

ボーダーバンクスの室内

■ ジャパンテクノロジーをアピール

中国版ボーダーバンクスの注目すべき点は、ナッツRVが開発した急速充電システム「EVOLITE」が搭載されていることだ。これは、充電効率を最大限高めることで急速充電を実現し、電力の使い勝手を大幅に向上させる画期的なシステムで、特に注目が集まった。

その理由のひとつは、電装システムを強化したキャンピングカーは珍しく、他にはない特徴だからだ。日本はでは車載できるLPGの基準が欧米やオセアニアよりも厳しく、キャンピングカーに必須のガスコンロや冷蔵庫、ヒーター等の稼働を電力で賄ってき事情がある。そのため、各メーカー日進月歩で電装関系のテクノロジーを進化させた結果、ナッツRVはいち早く独自の画期的システムを開発。他国のキャンピングカーにはない強みを持つことになった。

周知の通り中国では今、クルマ社会はEVへのシフト化が進んでいる。その中にあって、電装系に強みを持つナッツRVの車両は、同国の社会事情とも親和性が高く、特に注目を集めたというわけだ。同社もこの強みを「ジャパンテクノロジー」として前面に押し出し、さらに細部まで手を抜かないクオリティの高さや、キャンピングカーを大量生産するノウハウ等をアピール。総じて関心が高かったという。
荒木代表は「中国は今、クルマ文化が急速に拡大している。これから先、もっとレジャー施設や交通インフラが整備されていけば、本当の意味でクルマを使った遊びの文化も根付いてくる」と期待感を持って話す。国内最大手であるナッツRVの海外進出は、他の国内メーカーへの指針にもなる。その動向に、これからも注視していきたい。

(LED間接照明が付いたエントランスステップ(左)、プルタイプ・ガスコンロを装備)

ナッツRV ホームページ:http://nutsrv.co.jp/

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