東かがわトヨタ自動車販売合同会社 来年4月に始動 全国で2例目となる資本を超えたトヨタの販売合同会社

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香川トヨタ、香川トヨペット、トヨタカローラ香川、ネッツトヨタ高松は来年4月に、4社による100%共同出資となる合同会社「東かがわトヨタ自動車販売合同会社」を設立し、東かがわ市内に店舗を構えて営業を開始する。資本の異なるトヨタ販売店での合同会社は、北海道の「ひだかトヨタ自動車販売合同会社」に続く2例目となるが、今回はその新会社の社長に就任するトヨタカローラ香川の向井良太郎専務に、設立背景や今後の展望などを伺った。

過疎地においても“トヨタの看板”を残す

―合同会社を設立する背景

最初の発端は2017年の12月に行われた、香川県内5社の社長が集る代表者会議でこの話が上がったことです。今回一緒になった4社というのは元々親戚同士でもあり、配送や板金を協業しようという話は以前からありましたが、計画しては頓挫を繰り返していました。一番の目的は、トヨタの看板を維持していくことですが、過疎地において今後4社の店舗があることは効率が悪く、最悪の場合共倒れする危機感もありました。過疎地においてもトヨタの看板は残したいというのが大前提にあり、そのために資本を超えて“新しいトヨタ販売店の形成”を、まずは東かがわで協業という形でできないかと検討を始めました。

―なぜ東かがわ市なのか

東かがわ市は香川県内でも特に人口減少・高齢化が顕著である中で、このままで“今までのお客様を守れるのか”という危機感を持ちました。共同店舗にしてもすぐに収支を黒字化することは難しいと思います。ただ、4社が4店舗展開するより、合同店舗とすることで赤字を減らすことはできると考えています。各社が儲かるとか儲からないとかではなく、まずは利益を上げることは一旦置いて、トヨタの看板を残すということを大前提としてスタートしました。

また、同市内のトヨタとカローラの店舗の建て直しが創業以来できておらず、それであれば4店舗を統合(香川トヨタ三本松店、香川トヨペットE PoiNT三本松店、カローラ香川三本松店、ネッツ高松さつき店)した上で、新しい拠点を作るという方向性になりました。

新店舗は現在トヨタ店とカローラ店が隣接しているため、そこを更地にした上で建設し、ネッツ、トヨペットの店舗は当面バックヤードとして活用していきます。

東かがわ市に建設される新店舗のイメージ図

 

新会社での経験を親会社に還元

―新店舗のスタッフ構成

営業スタッフは、各社から2名ずつの計8名、メカニックは9名となり、すべて親会社から新会社への出向という形になります。出向となる社員には、新会社での経験を将来的には親会社に還元してほしいということもあり、出向となっています。

また、各社から一人幹部候補を任命して本部メンバーとし、親会社が本部機能をサポートするということを前提に最小限にしています。

―現時点での懸念

営業のオペレーションでは大きな問題はないと思いますが、メカニックは各社でやり方や使用している機械も異なるので、最初は時間も無い中で混乱すると思います。立ち上がる直前の研修やスタートしてから1・2ヶ月の間でどこまでサービスのオペレーションを構築できるかが最大の課題になると考えています。

議論が始まった4社が協業するとなって「本当にまとまるのか?」という波がありましたが、一番大事なのはどれだけ新会社に対する覚悟を持てるかということです。4社ともある程度損も得あるということを覚悟した上で、すべて私に任せてくれてのはやりやすいですね。

新会社の社長に就任するトヨタカローラ香川の向井良太郎専務

 

―東かがわ以外での展開

現時点では東かがわ市での取り組み以外何も決まっていませんが、東かがわの合同会社が上手くいけば横展開していくことも考えられます。僕らは一から販売店を立ち上げた経験がない中で難しさや面白さもあると思いますが、出資している4社の参考になるような取り組みを行うトライ店舗のような役割を担い、4社にフィードバックしていきます。人材育成についても4社から人が集まるので、いいところを参考に成長してフィードバックします。

―今後の展望

新会社の存在というのは、トヨタの看板を過疎地においても残すというのが大前提で、多少の損得は飲み込んでやろうという覚悟感の現れです。その中で、資本を超えて4社合同でというのは全国2例目で考え方は「四方良し」です。地域が良くなって、お客様が良くなって、社員が良くなって、会社が良くなるということです。新会社を通して親会社も成長するきっかけになればいいなと思っています。

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