日野、100℃以下の廃熱を利用可能な蓄熱システムの本格実証試験を開始

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日野自動車とNEDO、高砂熱学工業(株)、石原産業(株)、東京電力エナジーパートナー(株)、森松工業(株)、産業技術総合研究所、羽村市は、100℃以下の低温廃熱を利用可能な蓄熱材を約12t利用した蓄熱システムの本格実証試験を、2019年7月から開始したことを発表した。

今回の実証試験で用いる蓄熱材は、産業技術総合研究所が2008年に開発した「ハスクレイ」をベースに高性能化・高耐久化を図ったもので、従来から使用されている潜熱蓄熱材よりも体積当たりで2倍以上の蓄熱が可能である。

国内における工業製品の国際競争力向上や地球温暖化などの環境問題の観点から、大幅な省エネルギーが求められている。中でも、100℃程度の低温廃熱は、発生場所における用途が限定されることなどから大部分が未利用のまま放出されているという課題があり、低温廃熱の有効利用が求められているほか、電気と熱を同時に供給するコージェネレーションシステム(CGS)は省エネルギー技術として期待されているが、熱需要が少なく余剰の熱エネルギーが発生している場合が多いという課題があり、有効な熱の活用技術も求められている。

今回の実証では、オフライン熱輸送型と定置型の2通りの蓄熱システムを通年検証し、オフライン熱輸送型では、日野自動車 羽村工場のコージェネレーションシステム(CGS)設備で発生した廃熱を蓄熱材に蓄熱し、産業空調設備で利用することに加えて、約2km離れた羽村市スイミングセンターへ大型トレーラで輸送、温水プールの熱源としても利用する。また、定置型では、石原産業(株)四日市工場の酸化チタンを乾燥させる工程で、上流側の高温の酸化チタンから発生する熱を蓄熱材に蓄熱し、下流側の比較的低温の酸化チタンへ放熱し乾燥に用いることで、既存の加熱用蒸気の消費量を削減する。

 

 

これらの実証試験を、季節ごとの実証データを取得しながら2020年2月まで実施し、コージェネレーションシステムの廃熱や工場廃熱を除湿・暖房・乾燥工程などへ適用する熱利用システムの技術を確立し、市場展開を目指すとしている。

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