ベンチャーキャピタル投資部門 ボルボ・カーズ・テック・ファンド、イスラエルのテクノロジー・スタートアップ企業の2社に投資

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ボルボ・カーズは、ベンチャーキャピタル投資部門のボルボ・カーズ・テック・ファンドを通じてイスラエルの有望なテクノロジー・スタートアップ企業の2社に投資したことを発表した。

 

ボルボ・カーズ・テック・ファンドは、高い技術革新の可能性を持つ世界中の新興企業に投資することを目的として昨年設立された。テック・ファンドは人工知能、電動化、自動運転、デジタルモビリティサービスなど、自動車産業を変革させる戦略的なテクノロジートレンドに沿った投資をしている。

 

2018年以来、ボルボ・カーズ・テック・ファンドは、自動運転車用高度センサー技術の開発を主導する企業のLuminar Technologies(ルミナー・テクノロジーズ)、高性能な拡張現実(VR)ヘッドセットメーカーのVarjo(バリヨ)、子供向けのライドシェア・サービスを提供するZum(ズーム)など、多くの企業に投資しており、その他にも、電気自動車用充電装置を開発するFreeWire(フリーワイヤー)や、印刷が可能で伸縮性のあるコネクテッド電子機器を開発するForciot(フォルシオット)にも投資している。

 

Uveye(ユーブイアイ)社およびMDGo(エムディーゴー)社はイスラエルのテルアビブに本社を置いており、テルアビブで両企業を支援しているDRIVE(ドライブ)社はモビリティ分野のスタートアップ企業のために事業を発展させるサポートを手掛けている。ボルボ・カーズは、2017年以来、このDRIVEと関係があり、UVeyeおよびMDGoは、近年、DRIVEの支援を受けて事業を発展させ、それぞれの品質や安全性を向上させている。

 

今回の投資は、テック・ファンドが米国および欧州以外で行った最初の案件となる。MDGoは、医療用人工知能(メディカルAI)と呼ばれるテクノロジーに特化した企業で、高度な機械学習技術を使用することで自動車事故によって受けた傷害を特定し、それに従って確実な治療を提供することで多くの命を救うことを目的としている。

 

MDGoの技術は、車両からの事故時のリアルタイム・データと医療知識を組み合わせ、事故現場で救急隊員が遭遇する可能性が高い怪我の種類に関して、自動的に早期または即時の予測を提供することを目的としており、ボルボ・カーズは、上記データが事故に巻き込まれた人々に対してより適切な治療を施せるように、クラウドベースのプラットフォームを通じて外傷医や救急隊員に転送されることで、合併症の可能性を減らし、ひいては深刻な死亡者や負傷者を減らす可能性があると述べている。

 

また、テック・ファンドのもう一つの投資先であるUVeyeは、先進技術を活用した車両外部の自動検査により損傷・へこみ傷・こすり傷をスキャンするための高度な技術を開発した。ボルボ・カーズは、UVeyeへの投資だけでなく、生産ラインを出た車両の外装検査にUVeyeの技術を採用することも検討している。

 

ボルボ・カーズは、UVeyeの技術を利用して工場から出荷する車両の品質をさらに向上させ、小さな欠陥でも確実に検出できるようになると考えており、最初のテストは、スウェーデンのトースランダ工場で今年後半に開始する予定となっている。この技術は、物流のさまざまな段階や販売店でも利用できる可能性があると述べている。

 

ボルボ・カーズ・テック・ファンド最高経営責任者(CEO)のザキ・ファシウディン氏は、「MDGoの技術の目指すところは、ボルボの大事にしている人の生命を救いたいという想いです。MDGoの企業としてのミッションはボルボ・カーズのミッションともシームレスにつながるため、MDGoの開発を継続的に支援できることを嬉しく思います。優れた品質基準はボルボ・ブランドのコアであり、ボルボ・カーズはUVeyeの技術がもたらす可能性に興味を持っています。この種の高度なスキャニング技術により、品質の次の段階に踏み出すことができるでしょう。」と述べた。

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