東京キャンピングカーショー2019「ケイワークス」 新リチウムイオンバッテリーを初公開

キャンピングカー イベント

ハイエースを中心としたバンコン(バンコンバージョン)や、日本の環境に即したトレーラーを自社で開発する「ケイワークス」。拠点を置く愛知県豊橋市は古くから腕のいい家具職人を輩出。地域の特性を製造に活かした高品質なキャンピングカーは、多くの支持とファンを獲得している。今回の「東京キャンピングカーショー2019」では、ケイワークスがかねてから開発を進めてきた新リチウムイオンサブバッテリーシステムを初公開。次世代を見据えた新たな電装システムに注目だ。

●新リチウムイオンバッテリー

室内の快適性や居住性の向上を求めて、キャブコン(キャブコンバージョン)だけでなく、一部上級バンコンにまで、テレビや冷蔵庫、電子レンジといった家電製品を搭載するモデルが増えてきている。一方で、これらを稼働させるには高出力の電力が必要となり、従来使われてきた鉛バッテリーだと容量が小さい上に、数百回の充電を繰り返すと寿命になるという課題があった この課題を解決するのが、ケイワークスが開発したリチウムイオンバッテリーだ。一つのバッテリーで1200Wの高出力を実現し、長寿命かつ優れた耐久性を持つ画期的な電装システムとなっている。

■劣化率の大幅低減で長寿命を実現

今回開発されたカーボンナノチューブリン酸鉄リチウムイオンバッテリーは、バッテリーセル1枚あたりの容量を従来から約1・4倍となったことで、バッテリーの電気容量を向上。加えて、一般的な鉛バッテリーは50%の充放電サイクルが一般的だが、リチウムは100%の充放電サイクルが可能であり、同じ電気容量であれば1サイクルにおける消費可能量は2倍となるため、小型ながら大きな出力を得られるのが特徴。電子レンジや電気ケトル等、1000W以上の電力消費が必要な場面でも安心して使うことができる他、エアコンも約8時間稼働させることが可能だ。

また、鉛バッテリーは容量の低下とともにバッテリー電圧が低下し、総電力量の半分も使用すると1000Wを超える電化製品は使えなくなったりする。必要最低限な電圧を下回る深放電、過放電の状態でバッテリー容量を使いきってしまった場合には、電極が損傷し再起不能になることから交換が必要となるケースもある。

一方、リチウムイオンバッテリーは容量が減少しても一定の電圧を保つため安定的に電力の供給を受けることができ、電気機器を使いっぱなしの状態になった場合でも電極が受ける損傷が少ない。これによってバッテリーの劣化率を大幅に低減し、鉛バッテリー約4倍以上となる2000~3000回の充電サイクルという圧倒的な長寿命を実現している。

■高い安全性を確保

リチウムイオンバッテリーでの心配事は、バッテリー充電中に発生する熱膨張への対応だ。新開発バッテリーは正極へ熱安定性の高いリン酸鉄を用い、バッテリーマネージメントシステム(BMS)によって充放電を制御し、熱膨張を伴うような温度上昇を防ぎ安全性を確保。同社の実験結果では、1000Wの負荷で約15℃、20Aの充電時で約30℃となり、ファン等の冷却装置を必要としない従来の鉛バッテリーと同様の使い勝手を実現している。

また、ソーラーパネルの定格最大出力は従来の216Wから、新バッテリーに合わせて270Wに強化。加えて、最大入力80 ahリチウムイオンサブバッテリー+アイドリング時に約20 ah送電で、トータル50 ah発電と急速充電を実現し、バッテリー上がりを心配することなく常時電源を稼働させて様々な電気製品を使えることも大きな魅力となっている。

新リチウムイオンサブバッテリーは、まもなく正式受注を開始し、オーロラスタークルーズ(SLを除く)、デリカD:5クルーズ、トレイルワークスに標準装備される予定になっている。加えて、既存ユーザーの車両への搭載も視野に入れており、電化製品を利用した快適な車中泊を安心して行える環境が整えられることになる。

●デリカ:D5クルーズ

三菱自動車のデリカD:5をベースとした数少ないキャンピングカーの一つが「デリカD:5クルーズ」だ。フロントフェイスの一新やディーゼルエンジンのブラッシュアップ等、ビッグマイナーチェンジを実施した最新のベース車のD:5クルーズが、「東京キャンピングカーショー2019」で初公開される。

室内は、ケイワークス開発のオリジナルセカンドシートを新型モデルに合わせて大幅に改良。シート幅は就寝時に100mm拡張、座面を530mmから480mmにしたことで、足元の広さを確保した。3列目シートと向かい合わせにもセットでき、就寝時にはフラットなスペースを創出する。

加えて、新開発リチウムイオンサブバッテリーも搭載し、シングルバッテリーでも従来からバッテリー容量約2倍とした他、メンテナンス性も高めている。

さらに、オプションのポップアップルーフを装着すると最大4名の就寝に対応し、ルーフベッドは1800mm×1160mmと大人2名がゆとりを持って過ごせるスペースが確保されている。キャンバス仕様のテントは3面を開放することで大きな窓となり、風通しや開放感も抜群なことに加えて、撥水係数は1000を超えて雨に強く耐候性にも優れる全天候型となっている。

また、ポップアップルーフを装着した状態でも全高は2m以下となっているため、立体駐車場や地下駐車場にも対応し、1795mmという全幅と取り回しの良さもあわせ都市部での使い勝手も高いのが大きな魅力だ。最低地上高を20 mm向上し雪道や泥濘等の悪路での走行に強く、ミニバンとしての高い基本性能を持つモデルなので、季節を選ばずアウトドアを楽しむ家族はもちろんのこと、他のバンコンとは一味違うモデルを求めている人にも最適な1台と言える。

【車両スペック】

ベース車両:三菱自動車・デリカD:5
乗車定員/就寝人数7名/2~4名
登録ナンバー:3
全長×全幅×全高:4790㎜×1795㎜×1870㎜(ポップアップルーフ装着車は1990㎜)
価格:406万5000円~(税別)

●トレイルワークス

広い寝室や充実した装備で、車内にいることを忘れさせるほどの抜群の居住性を誇るキャンピングトレーラー。欧米ではトレーラーで旅を楽しむという文化が育まれているが、日本ではユーザー数がまだまだ少ないのが現状だ。その要因は様々であるが、ケイワークスでは国内の道路や住環境に適したモデルが少ないと考え、トレーラーを自社開発。その想いが結実したのが「トレイルワークス」である。

輸入トレーラーは全長6m~8m、全高3mに迫るモデルが一般的だが、トレイルワークスは「日本の環境に適した日本のための国産トラベルトレーラー」をコンセプトに、全長5・3m×全幅2・1m×全高2・5mと、トレーラーとしてはコンパクトなサイズ感を実現。車重を750㎏以下とすることでけん引免許を不要(仕様によっては必要)とした。

加えて、エンジンがないのでメンテナンスの手間も掛からず、任意保険が不要であることに加え、自動車税は年間1万200円となり、キャンピングカーと比較して維持コストが格段に安いことも大きな魅力となっている。

ゆとりあるスペースと自由度の高いレイアウトを活かし、常設ベッドやキッチン等を設え、快適な車中泊を楽しめるトラベルトレーラー、あるいはオートバイや自転車のメンテナンスといった趣味に特化したガレージトレーラー等、使い方はオーナーによって様々だ。

さらにキッチンカー、工事現場での会議や更衣、パソコン・コピー機・スキャナー・デスク・電源等を備えればモバイルオフィスとしての活用も可能。旅や趣味だけでなく、新しい働き方をサポートするツールとして、ますます注目を集める存在となりそうだ。

【車両スペック】

全長×全幅×全高:5310㎜×2120㎜×2520㎜
価格:298万円~

●オーロラスタークルーズシリーズ

「オーロラスタークルーズ」シリーズは、トヨタ・ハイエース/レジアスエースをベースとしたケイワークスの看板モデル。デザインテイスト、仕様が異なるモデルをラインアップし、ライフスタイルや好みに合わせて選べるのが魅力となっている。

特にこだわっているのは、標準装備されるREVOシートだ。自然な体勢での「座る・寝る」をテーマに、オリジナルウレタン成形の特別加工を施し、座面の底付きなど不快な座り心地を改善。長距離移動や快適な車中泊をサポートするために、目に見えないところまで細かな配慮がなされたケイワークスのものづくりの真骨頂が発揮されている。

さらに、豊富なカスタマイズオプションも用意され、自分好みのキャンピングカーに仕立てることも可能。ポップアップルーフは、独自ノウハウにより、雨や雪といった環境下でも使用できる他、降雪時など気温0℃以下でも、FFヒーターや防寒インナーを装着すればテント内はポカポカだ。テントは3方向全開、メッシュ、全閉の3ウェイ構造となっており、太陽の角度や風向きに応じてフレキシブルに使えることもポイントとなっている。

【車両スペック】

ベース車両:トヨタ・ハイエース/レジアスエース
乗車定員/就寝人数7名/3~6名※
登録ナンバー:8※
全長×全幅×全高:4845㎜×1880㎜×2105㎜※
価格:448万5000円~(税別)※
※表示はオーロラスタークルーズ。乗車定員、登録ナンバー、車両サイズ、価格帯はベース車両の各ボディタイプや仕様によって異なる。

●関東圏のユーザーに朗報! 千葉でアンコール商談会を開催

「東京キャンピングカーショー2019」の翌週は、ケイワークスの協力販売店である「サトウオート Y’s Dealerワイズディーラー」の特設会場にて、アンコール商談会が開催される。当日はケイワークスのスタッフも常駐するので、ショーで気になったモデルをじっくりと見学する良い機会となりそうだ。

【サトウオート Y’s Dealerワイズディーラー 】住所=千葉県千葉市稲毛区長沼原町30-1▽開催時間=10時~17時

 

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