ZF,乗用車用2速電動ドライブを発表

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ZFは、電動モーターと変速機構およびパワーエレクトロニクス(インバーター)を統合した乗用車向けの新型2速電動ドライブを発表した。エネルギー変換効率の向上により、一充電あたりの走行可能距離が延びた。またコンパクトな設計により、小型乗用車に適したユニットになっている。スポーツカーや高性能車両向けに、チューニングおよびスケールアップが可能なモジュラー構造を採用している。

この2速電動ドライブにより、乗用車電動化を次のステージへと引き上げた。日常生活で使用する電気自動車は、1回の充電でより長い距離を走行できる性能が求められている。エネルギー変換効率を1%向上させることで、走行可能距離を2%延ばすことができといわれている。

新開発、電動車向け2速トランスミッション

ZFでは、システム化に関する知見を活用し、最高出力140kWのモーターと2速の変速機構を組み合わせ、高性能な新型電動アクスルドライブを開発した。新しい2速機構を採用することでエネルギー消費が削減され、1速のユニットと比較して航続距離は最大5%向上する。ギヤチェンジは時速70㎞で行われる。車両のCAN通信に接続することで、自動車メーカーの要望に応じてデジタルマップやGPSなどと連携した独自のシフトプログラムを設定することも可能だ。

例えば、次の充電スポットまでの距離を計算し、必要に応じてエコモードへの切り替えや、高速道路上での地形に応じた効率の良い変速を行うことも可能になる。また、システムのソフトウェアはクラウドへの接続によってアップデートが可能だ。

エネルギー効率の向上により、現状と同寸のバッテリーを搭載して航続距離を延ばすか、航続距離をそのままに小型のバッテリーを使用するか、自動車メーカーには二つの選択肢が生まれることになった。

これまで自動車メーカーは、トルクかトップスピードのいずれかを重視して電動モーターを選択してきた。電動ドライブがこの問題を解決する。例えば、トレーラーをけん引中の乗用車でも高速走行が可能になる。モジュラー設計の新型2速トランスミッションは、250kWまでの高出力モーターと組み合わせることで、より強い加速と高い最高速度を実現するなど様々なニーズに対応可能だという。