遠藤徹の業界ココに注目!残クレが今後の新車販売の行方を左右する?!

コラム・特集

最近、自動車ディーラー各社の新車販売に、残価設定クレジットが重要な施策として浮上しつつある。従来は通常ローンが主流だったが、最近は残価設定クレジットが新車購入の半分を超え、新車販売の主流になりつつある。

従来、残価は量販モデルだと、3年後の36回払いで車両価格の40%程度が一般的だったが、最近はニューモデル発売時に50%を超えるケースも多く出現している。こうなると毎月の支払額が低額になりクレジットを組む場合、売りやすくなる。これに低金利を設定することで余計増販に優位に働く。

最近の新車価格はハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、電気自動車などの電動化、自動ブレーキなどの安全対策強化、自動運転支援デバイスの採用などで、車両価格が大幅にアップ、販売店のマージン幅引き下げなどで、値引き余力がなくなっている。このため新車販売の促進がしにくくなっているわけだが、残価設定クレジットの活用強化でカバーしやすい状況になっている。

最近は低金利の設定だけでなく、サービスパック、安全デバイスなどもセットで組むことで、割安感をさらに強調し成果を上げている販社も多い。3年、4年、5年の支払いが終了すると、再ローン、現金での購入、次の新車への乗り換えなどを選ぶわけだが、もう一度残価設定クレジットを組み直すことが可能な施策を講じる販売店も目につく。

こうすることで、自社ユーザーの囲い込みを促進する狙いもあるが、ユーザーにとっても得になる側面もある。様々のアフターケアの恩恵があるためだ。ただいろいろなメーカーの車種に乗りたいユーザーにとっては他車代替しにくいデメリットもある。

遠藤徹プロフィール

専門分野はマーケット分析、商品戦略、販売戦略、執筆先:ベストカー、ドライバー、ザ・マイカー、カーアンドレジャー、その他週刊誌など。単行本執筆は約20冊

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