<トヨタモビリティ東京 片山社長インタビュー動画付> 全車種取り扱い機に、お客様の気持ちに寄り添い、何でもできる店舗へ

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東京都内のトヨタ自動車直営の販売チャネル4社(旧・東京トヨペット、東京トヨタ、ネッツ東京、東京カローラ)とトヨタ東京販売ホールディングスが融合し、今年4月に新会社「トヨタモビリティ東京」が誕生した。世界に類を見ない200以上の店舗、7000人を超える〝メガ〟カーディーラーとなったトヨタモビリティ東京の舵取りを担う片山守社長に、融合後の約2カ月を振り返ってもらい、今後の課題、展望を聞いた。

■7000人の情報共有にデジタルデバイスを有効活用
──融合から2カ月、新体制づくりの進捗は?

それぞれ歴史ある販売会社が融合するだけに、大変なエネルギーがいるだろうと覚悟して融合に取組みましたが、想定した通り、各社の持つ風土や文化の違いを目の当たりにしました。しかし、社員みなさんの努力もあり、ひとつになろうと理解して前に進んでくれています。

取り組みについては、トップの考えをいち早く第一線に伝えるにはどうすればいいかということをまず考えました。ネッツ東京は1000人規模でしたが、今度は7000人ですから、今までのやり方では時間が掛かってしまう。そこでデジタルツールを使うことで、一瞬のうちに現場に伝わる仕組みを構築しました。このおかげで比較的早く進んでいます。

例えば、本社内では146の部署グループと2000人近いスタッフで情報を共有するため、アドレスフリーとインターネット電話を導入しました。インターネット電話(Teams)は、電話以外にチャットやファイル共有ができますし、アドレスフリーだからイス一つ持ってくればミーティングや会議ができます。そういう職場環境をみんなで頑張って作ってきました。

最初は戸惑いもあったかと思いますが、本社のメンバーは新しい環境にひと月も経たないうちになじみ、前向きに活用していますし、融合後に顕在化した課題も、比較的早く解決できているかと思います。

──情報共有が果たした役割が大きい?

ツールとしては、社内の検討課題を共有できる情報共有ツール「Teams」と、決定事項を共有する「Brain」があります。

「Teams」は、日々発生する現場での課題を本社の担当者に問い合わせるとチャット形式で瞬時に回答が得られます。すべてのやりとりが議事録にもなり、ここでの知見が「Brain」に掲載の電子マニュアル「虎の巻(TMTスタンダード)」に格納され、マニュアルが充実されます。

また、その場で解決できず、会議で議論することもあります。しかし、会議の前に出席者が情報を共有しているのでスピード化が図れます。2000人の本部メンバーが情報共有ツールを使い、少しでもいい会社にしていこうという動きが出始めているかと思います。

また「Brain」は、まさに当社の〝頭脳〟であり、販売会社4社とトヨタ東京販売ホールディングスの5社の頭脳が集まった知恵袋。会議資料や動画も共有できます。

お客様のニーズにきめ細かく対応できる店舗を目指す

──さて、全国に先駆けて全車種併売となりましたが?

自社客との絆の強いスタッフ、店舗から〝新しい取り扱い車〟が順調に売れ、そうした面では全国以上の伸びを示しています。

旧チャネル時代のウィークポイントが解消しつつあります。東京カローラとネッツ東京は山の手線内を中心に店舗を展開し、コンパクトカー中心のラインアップを持っていましたが、この地域は現在ではプレミアム輸入車が強い市場に変わっています。そこで新たにラージ系のクラウンやランドクルーザー、ハリアーを扱えるようになり、お客様ニーズにお応えできるようになりました。

一方、多摩地区や都県境ではコンパクトカーのニーズが高く、東京トヨタ、東京トヨペットは手駒が少なかった。それがカローラやヴィッツを扱うようになり、地域のニーズに応えられるようになりました。

──お客様がクルマを選びやすくなった。

全車種併売だけでなく、幅広いお客様に的確なサービス、アドバイスをする店舗でなければいけないと思います。

ここ数年、クルマはハイブリッド化や先進安全装備、コネクティッド化と、付加価値とともに車両価格が高くなりました。最先端装備を重視するお客様には最適ですが、もう少し手軽なクルマを求めるお客様にはU-Carをお勧めし、ご要望に応える。

従来は、別の中古車拠点をご案内していましたが、これはディーラー中心の考え方。お客様の目線や気持ちに寄り添うには、新車もU-Carも取り扱っていますと、スタッフの鞄を大きくする必要があります。

また、現在一部の店舗では、試乗車を「わ」ナンバー(レンタカー)にして、自社客に貸し出しています。コンパクトカーのお客様が〝今日はたくさん人が乗るから〟と、ミニバンを使うことができます。このように、お客様の気持ちに寄り添い、ニーズにきめ細かく対応できる店舗を目指すべきだと思います。

──新しいクルマの買い方も始まりました。

残価設定型割賦やリースもあり、お客様の家族構成やライフステージに応じた支払方法や買い方があります。お客様の人生を長いスパンで見据え、いろいろご提案しコンサルティングするディーラーになるべきでしょう。新会社がそう変われるチャンスであると思います。

── 一方で保有台数減少も懸念されています。

最もクルマを愛し〝クルマを持つことが当然〟だった団塊の世代の方々が、2025年以降は全て後期高齢者になり間違いなく保有は減ります。それに対応する経営、ビジネスモデルの方向性は見えています。

現在、お客様の保有期間は平均7~8年ですが、それを新しいクルマの買い方を提案することで、お客様に負担をかけない範囲で早く買い替えていただく。数年後には自動ブレーキや踏み間違い防止装置が標準化され、保有期間を短縮してU-carとして世に出回ることで、先進安全装備装着車がより多くのお客様の手に渡るようになります。

新車ディーラーはまだそういう売り方に慣れていないですが、当社が全国に先駆け、さまざまなことにチャレンジし、直営店として全国トヨタ販売店にケーススタディを提供することも、当社のミッションの一つと思っています。

 

■基幹システムの変更でワクワクする成果を期待

──これらからの課題や取り組みは?

現在、販売店の全業務はメーカーのai(アイ)21という基幹システムに則って行われています。これはチャネル別に開発されたシステムで、チャネルの枠を超えた情報のやりとりができません。そこが今も当社が苦労している点で、3年後の2022年頃には新システムが完成すると伺っています。

その次期ai21は処理能力が増強され、お客様情報を〝名寄せ〟することもでき、家族一人ひとりが異なるチャネルで購入されていても、家族単位でのお付き合いができるようになります。

──次期ai21導入後はどう変わりますか?

新会社発足の19年から3年間(21年まで)を「TMTチャレンジ1」、次期ai21導入以降22年から3年間(24年まで)を「TMTチャレンジ2」として、本格的な融合のシナジー効果が出るのに6年ぐらいかかると考えています。

6年間を3年ずつに分けた理由は、基幹システムが融合する前にやるべきことがたくさんあるからです。例えば車検の作業時間もラージ系の高級車を取り扱っていたトヨタ店、トヨペット店とコンパクトカー中心のカローラ店、ネッツ店では異なります。

一方、お客様がスマホで予約できる新しい点検入庫予約システム「My TOYOTA」が導入されると、店舗、車種を問わず同じ時間での作業が必須です。

My TOYOTAを運用するには、この3年間でサービス工場内の作業手順や工程をクルマのタイプ別に決め、それを完遂するため、高いスキルを持つスタッフを常時一定数揃える必要もあります。併せて、サービス入庫の平準化も考えないといけません。そのため、秋をめどにコールセンターで誘致を一手に担うシステムを構築し、お客様に直接入庫誘致を行います。入庫誘致、入庫時の応対、サービスオペレーション、全てが機能的に動かないと、スマホでの入庫予約は受け入れられないでしょう。

こうした課題の解決策が「新ディーラーオペレーション」であり、策定プロジェクトが5月末にキックオフしました。

サービスエンジニアが、効率よく業務を進められるアイテムの導入も進めています。例えば、車検帳票システム。いわゆる電子保適の仕組みは、車検ごとに各種データが入力不要で、ミスもなくカルテに反映されます。

お客様応対では、サービス工場からエンジニアが送ってきたデータを、営業スタッフがデバイス上でお客様にお見せできる「TEC SET」を用いることで、部品交換を勧める時にお客様をサービス工場にお連れして説明することもなくなります。これも順次導入を進めています。
このほか、継続車検のOSSや電子署名、保険のウェブ契約なども順次拡大し、営業スタッフやエンジニアの時間を作っていくようにします。

こうした基盤が出来上がり「チャレンジ2」になると、従来の拠点配置の見直し等、本格的な融合のシナジー効果を出せるフェイズに入ります。

配置の見直しは新車拠点に限らず、BP(板金塗装)拠点とU-Car商品化センターを近接させ、流れが効率化されれば日当たりの台数が増えます。

すべてはaiの統一が前提です。規模が大きいですから、ワクワクするような成果が出てくるはずです。
同時に、市場の環境変化に耐えうる経営体質にしなければなりません。何があっても、7000人の社員と家族を守れる会社にしなければなりません。チャレンジ1とチャレンジ2でそうした会社に変えていきます。

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