日野、自動検知式ドライバー異常時対応システムを商用車に世界初搭載 ヒューマンエラーによる事故低減に向けた先進技術を装備

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日野自動車は6月14日、報道関係者向けに最新安全技術試乗会を実施し、商用車で世界初搭載となる自動検知式「ドライバー異常時対応システム(EDSS)」などのデモンストレーションを公開した。

大型バス「セレガ」に標準装備されるEDSSは、運転席前方に設置されたカメラが運転士の姿勢や顔の向きを監視。脇見や気絶などを検知した場合警告音を発し、時速60km以上で車線の逸脱が一定時間以上確認された場合、最終的にブレーキ操作まで自動で行う。これに加えて、異常に気づいた乗客が押すことで自動停車できる緊急ボタンも搭載している。

異常を検知すると赤いランプが点灯し、車内に異常を伝える

EDSS作動時はホーンが断続的に鳴り、ハザードランプと減速のブレーキランプが点灯し周囲に異常と停止を知らせ、車室内は赤い非常ランプが点滅する。乗客の乗車を想定しているため、停止時は急ブレーキではなく、徐々に減速する制御になっている。

 

ドライバーを監視する赤外線カメラ(写真上)は、従来は顔の目や鼻といった特徴点のみの検知だったが、性能向上と画像認識のAI技術を採用することによって顔の特徴点だけでなく、顔の向きや輪郭、まぶたの開閉、上半身の姿勢をはじめ、メガネ、サングラス、マスクを装着しいていても認識するようになった。

大型トラック「プロフィア」に搭載される「サイドアラウンドモニターシステム」は、フロントバンパーに取り付けられたミリ波レーダーが、見通しの悪い交差点などで接近してくる自動車、バイク、自転車、歩行者を検知。横断中の対歩行者に次いで多い出会い頭の衝突事故の低減に貢献する。

また、小型トラック「デュトロ」にはフロントグリルとバンパーに四つの超音波センサーが搭載され、これを利用した「前進誤発進抑制機能」「低速衝突被害軽減機能」「クリアランスソナー」を標準装備。進行方向にある壁やガラス窓などの障害物を認識時にアクセルの誤操作があった場合、トルクカットとブレーキの介入制御によって停車時もしくは時速10km以下での走行時の被害軽減に貢献する。さらに、超音波センサーは前方と斜め前方を監視し、その状態はメータパネルにインジケーターが表示される。狭い場所や駐車時での接触回避を支援するものとなっている。

フロントグリルとバンパーに四つの超音波センサーを搭載